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2025.06.13

400mH・豊田将樹のアンチ・ドーピング規則違反「意図的ではない」と認定 CASがWADAの申し立てを棄却「晴れやかな気持ちで取り組める」
400mH・豊田将樹のアンチ・ドーピング規則違反「意図的ではない」と認定 CASがWADAの申し立てを棄却「晴れやかな気持ちで取り組める」

豊田将樹(25年静岡国際)

富士通陸上競技部は6月13日、ホームページ上に「豊田将樹選手に対するアンチ・ドーピング規則違反の処分に関するスポーツ仲裁裁判所(CAS)の決定について」と題したリリースを掲載し、豊田のアンチ・ドーピング規則違反が「意図的な摂取ではない」という主張が再度認められたことを報告した。

豊田は2022年5月19日早朝、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)によるドーピング検査の尿検体から禁止物質「トレンボロン」が検出されたことにより、2022年5月21日から2年間の資格停止処分を受けていた。

資格停止処分期間について、禁止物質が検出された場合は「原則として4年」だが、豊田は禁止物質を摂取した認識はなかったとし、関係者を含め(1)「意図的ではないこと」を立証、(2)「汚染製品に由来すること及び(重大な)過誤・過失がないことを立証」を実施。その結果、2024年1月にJADAから「豊田選手側において、禁止物質(トレンボロン)の体内侵入経路を確定的に証明できたとまで認めることはできない」「しかしながら各事実を考え合わせると、豊田選手による禁止物質(トレンボロン)の摂取が意図的でなかったことを証明できたものと判断する」とし、本件が「意図的でないことを認定」が認められて、4年間から短縮され2年間の資格停止処分が決まっていた。

だが、この裁定に対して、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)からスポーツ仲裁裁判所(CAS)に対して、処分期間を4年間へと変更することを求める不服申立てがなされていた。

その申し立ての結論が2025年5月28日付で出され、CASにおいて、WADAによる当該不服申立てには理由がないものとして棄却が決定した。これにより、「意図的な摂取ではない」という豊田の主張が認められたことが確定し、資格停止期間は2年間に。豊田は2024年5月21日から競技に復帰しており、今後も競技活動を継続していく。

富士通陸上競技部はリリース内で「意図的でない旨が改めて認められたとはいえ、アンチ・ドーピング規則違反として2年間の資格停止処分となったことは事実であり、富士通陸上競技部としては、本件判明後、チーム内の管理体制の見直しや選手への再教育等、アンチ・ドーピングに対する取り組みを強く推進してまいりました。今後も継続して取り組みを強化するとともに、社内外への啓発を進めてまいります」とコメント。

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合わせて豊田も、「資格停⽌期間中や不服申し⽴て期間は、先⾏きが⾒えない不安感があり、競技に対して前を向いて戦う気持ちが湧いてこなかった時期もありました。しかし今回の決定を受け、今は晴れやかな気持ちで、⽬標に向かって全⼒で取り組める状態です」とし、「私はこれまで、本当にたくさんの⽅々に⽀えられ、導かれ、守られてきました。⾃分は与える側ではなく、与えられてばかりの存在だったと、改めて感じています。だからこそ、これからは⼀歩⼀歩、前に進んでいくことで、お世話になった⽅々に少しでも何かを返していけたらと思っています」と綴った。

豊田は今季、5月3日の静岡国際で資格停止明け初の49秒台となる49秒95をマーク。6月上旬の関西実業団選手権(オープン参加)では49秒54まで短縮している。「⽇本代表争いは決して楽な道ではありませんが、また⽇の丸を背負って⾛れるよう、これからも全⼒で競技に向き合っていきます」と豊田。19年ドーハ大会以来3大会ぶりの世界選手権代表入りを目指し、7月の日本選手権に挑む。

「意図的な摂取ではない」という富士通の経緯説明詳細はこちら

富士通陸上競技部は6月13日、ホームページ上に「豊田将樹選手に対するアンチ・ドーピング規則違反の処分に関するスポーツ仲裁裁判所(CAS)の決定について」と題したリリースを掲載し、豊田のアンチ・ドーピング規則違反が「意図的な摂取ではない」という主張が再度認められたことを報告した。 豊田は2022年5月19日早朝、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)によるドーピング検査の尿検体から禁止物質「トレンボロン」が検出されたことにより、2022年5月21日から2年間の資格停止処分を受けていた。 資格停止処分期間について、禁止物質が検出された場合は「原則として4年」だが、豊田は禁止物質を摂取した認識はなかったとし、関係者を含め(1)「意図的ではないこと」を立証、(2)「汚染製品に由来すること及び(重大な)過誤・過失がないことを立証」を実施。その結果、2024年1月にJADAから「豊田選手側において、禁止物質(トレンボロン)の体内侵入経路を確定的に証明できたとまで認めることはできない」「しかしながら各事実を考え合わせると、豊田選手による禁止物質(トレンボロン)の摂取が意図的でなかったことを証明できたものと判断する」とし、本件が「意図的でないことを認定」が認められて、4年間から短縮され2年間の資格停止処分が決まっていた。 だが、この裁定に対して、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)からスポーツ仲裁裁判所(CAS)に対して、処分期間を4年間へと変更することを求める不服申立てがなされていた。 その申し立ての結論が2025年5月28日付で出され、CASにおいて、WADAによる当該不服申立てには理由がないものとして棄却が決定した。これにより、「意図的な摂取ではない」という豊田の主張が認められたことが確定し、資格停止期間は2年間に。豊田は2024年5月21日から競技に復帰しており、今後も競技活動を継続していく。 富士通陸上競技部はリリース内で「意図的でない旨が改めて認められたとはいえ、アンチ・ドーピング規則違反として2年間の資格停止処分となったことは事実であり、富士通陸上競技部としては、本件判明後、チーム内の管理体制の見直しや選手への再教育等、アンチ・ドーピングに対する取り組みを強く推進してまいりました。今後も継続して取り組みを強化するとともに、社内外への啓発を進めてまいります」とコメント。 合わせて豊田も、「資格停⽌期間中や不服申し⽴て期間は、先⾏きが⾒えない不安感があり、競技に対して前を向いて戦う気持ちが湧いてこなかった時期もありました。しかし今回の決定を受け、今は晴れやかな気持ちで、⽬標に向かって全⼒で取り組める状態です」とし、「私はこれまで、本当にたくさんの⽅々に⽀えられ、導かれ、守られてきました。⾃分は与える側ではなく、与えられてばかりの存在だったと、改めて感じています。だからこそ、これからは⼀歩⼀歩、前に進んでいくことで、お世話になった⽅々に少しでも何かを返していけたらと思っています」と綴った。 豊田は今季、5月3日の静岡国際で資格停止明け初の49秒台となる49秒95をマーク。6月上旬の関西実業団選手権(オープン参加)では49秒54まで短縮している。「⽇本代表争いは決して楽な道ではありませんが、また⽇の丸を背負って⾛れるよう、これからも全⼒で競技に向き合っていきます」と豊田。19年ドーハ大会以来3大会ぶりの世界選手権代表入りを目指し、7月の日本選手権に挑む。 「意図的な摂取ではない」という富士通の経緯説明詳細はこちら

豊田将樹コメント全文「⼀歩⼀歩前に進むことで、お世話になった⽅々に何かを返していけたら」

まずは、本件に関わってくださった皆様に、⼼より感謝申し上げます。 2022年6⽉にJADAからアンチ・ドーピング規則違反の通知を受けて以降、意図的な禁⽌薬物の摂取ではないことを証明すべく、約3年間にわたり、多くの⽅々のご協⼒を得ながら取り組んできました。国内での2度の審理ではいずれも意図的でないことが認められましたが、WADAからの不服申し⽴てにより、国際的な場であるCASでの審理へと進み、2025年5⽉28⽇、ようやく最終的な決定として認められました。 資格停⽌期間中や不服申し⽴て期間は、先⾏きが⾒えない不安感があり、競技に対して前を向いて戦う気持ちが湧いてこなかった時期もありました。しかし今回の決定を受け、今は晴れやかな気持ちで、⽬標に向かって全⼒で取り組める状態です。 よくアスリートは「結果で恩返しを」と⾔いますが、本当にそれで恩返しになるのだろうかと、私はずっと半信半疑でした。しかし先⽇、7⽉に⾏われる⽇本選⼿権の申込資格記録を突破した際に、⼼から喜んでくれる⽅々がいて、初めて「こういう形も恩返しと⾔えるのかもしれない」と感じました。そして今は、もう⼀度⽇本代表として国際舞台に⽴ち、応援してくださった皆さんに良い報告ができるような結果を残したいという思いが、⾃然と湧いきています。 私はこれまで、本当にたくさんの⽅々に⽀えられ、導かれ、守られてきました。⾃分は与える側ではなく、与えられてばかりの存在だったと、改めて感じています。だからこそ、これからは⼀歩⼀歩、前に進んでいくことで、お世話になった⽅々に少しでも何かを返していけたらと思っています。 ⽇本代表争いは決して楽な道ではありませんが、また⽇の丸を背負って⾛れるよう、これからも全⼒で競技に向き合っていきます。今後もどうぞよろしくお願いいたします。

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