HOME 編集部コラム

2025.03.01

編集部コラム「目指せレコードホルダー!」

毎週金曜日更新!?

★月陸編集部★

攻め(?)のアンダーハンド
リレーコラム🔥
毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!

第279回「目指せレコードホルダー!(大久保雅文)

現在、編集部では3月14日に発売予定の月刊陸上競技4月号の制作を進めています。月陸4月号では毎年、前年のランキングと大会結果をまとめた「記録年鑑」が付録でついてきます。

今年も世界から日本、大学、高校、中学の記録を収録予定で、記録のチェック作業が進んでいます。

その「記録年鑑」の冒頭に掲載されているのが世界記録、日本記録といった、各カテゴリーの最高記録です。男子100mの世界記録、ウサイン・ボルトの9秒58はもちろん、昨年樹立された男女100m、男子3000mの中学記録まであらゆる最高記録を網羅し、記録保持者を称えています。

広告の下にコンテンツが続きます

数多くの最高記録を見ると、当然どの記録もレジェンドが打ち立てた相当ハイレベルなものばかり。記録更新にはそうそう簡単ではないものが並びます。

ただ、一部では五輪や日本選手権、インターハイなど全国大会では実施されない種目、いわゆる「特殊種目」とも呼ばれる種目では“狙い目”な記録もあるのです。

特殊種目で有名な記録として挙げられるのが、25000m1時間13分55秒8と30000m1時間29分18秒8の日本記録。いずれも瀬古利彦さんが81年の記録会で樹立したもので、当時の世界記録でもありました(2011年にM.モソップが更新)。現在は世界陸連から世界記録の対象種目外とされていますが、日本陸連はホームページでいずれも最高記録として掲載しています。

ただ、30kmの日本記録が1時間28分00秒(05年/松宮隆行)であり、昨今の長距離の高速化を考えれば、この記録を更新できる選手も多いのではないでしょうか。

同様に50000m競歩(4時間7分24秒7/今村文男)や、2時間競歩(25739m/園原健弘)など、長い距離の競歩もロードの記録と比較すれば、記録更新の可能性が高いのではないかと思われます。記録更新への障壁は、競技時間の長いこれらの種目をどのように開催するかになるでしょう。

一方、2月に行われた室内競技会で、多田修平選手(住友電工)が50mで5秒73の日本新記録をマークするというニュースがありました。

室内競技会では60mで行われるのが一般的です。この競技会も60mでレースで争われましたが、大会側が通過の50mも計測。公認記録として世界陸連に申請したことで、多田選手の記録も日本記録として認められることになりました。

男子の50mは多田選手や、前記録保持者の朝原宣治さんの記録(5秒75)が非常に高い水準ですが、女子は81年に出された6秒47が最高となっています。近年の女子100mのレース分析によれば、インターハイでも50mの通過が6秒3台の選手が現れており、計測する機会があれば、多くの選手にチャンスがあると思われます。

それでも、女子50mもまだ簡単とは言い切れないタイム。なにか、簡単に日本記録保持者になれる種目がないかと探していたところ、1種目だけ容易な種目がありました。

それが、ショートットラック女子4×800mリレーです。

ショートトラックは昨年から新しく設けられた区分で、1周が200mトラックで行われる種目となります。この区分はかつて多くが室内種目として扱われ、日本ではあまり行われないことから、いくぶん記録水準が低くなっていました。その中で、女子4×800mリレーはまだ日本人が挑戦したことがなく、日本記録が存在しない種目となっているのです。

仮に、ショートトラックの公認競技会で同種目が実施された場合、トップのチームの記録が日本記録として認定されることになります。

このコラムを読んで、やってみようとやる気になった方は、日本記録保持者を目指して頑張ってみてください。

大久保雅文(おおくぼ・まさふみ)
月刊陸上競技編集部
1984年9月生まれ。175cm、63kg。三重県伊勢市出身。小学1年から競泳、レスリング、野球などをするも、吉田沙保里さんにタックルを受けたこと以外は特にこれといった実績も残せず。中学で「雨が降ったら練習が休みになるはず」という理由から陸上部に入部。長距離を専門とし、5000mと3000m障害で県インターハイ決勝出場(ただし、三重県には支部予選もなく、県大会もタイムレース決勝である)

過去の編集部コラムはこちら

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。 暇つぶし程度にご覧ください!

第279回「目指せレコードホルダー!(大久保雅文)

現在、編集部では3月14日に発売予定の月刊陸上競技4月号の制作を進めています。月陸4月号では毎年、前年のランキングと大会結果をまとめた「記録年鑑」が付録でついてきます。 今年も世界から日本、大学、高校、中学の記録を収録予定で、記録のチェック作業が進んでいます。 その「記録年鑑」の冒頭に掲載されているのが世界記録、日本記録といった、各カテゴリーの最高記録です。男子100mの世界記録、ウサイン・ボルトの9秒58はもちろん、昨年樹立された男女100m、男子3000mの中学記録まであらゆる最高記録を網羅し、記録保持者を称えています。 数多くの最高記録を見ると、当然どの記録もレジェンドが打ち立てた相当ハイレベルなものばかり。記録更新にはそうそう簡単ではないものが並びます。 ただ、一部では五輪や日本選手権、インターハイなど全国大会では実施されない種目、いわゆる「特殊種目」とも呼ばれる種目では“狙い目”な記録もあるのです。 特殊種目で有名な記録として挙げられるのが、25000m1時間13分55秒8と30000m1時間29分18秒8の日本記録。いずれも瀬古利彦さんが81年の記録会で樹立したもので、当時の世界記録でもありました(2011年にM.モソップが更新)。現在は世界陸連から世界記録の対象種目外とされていますが、日本陸連はホームページでいずれも最高記録として掲載しています。 ただ、30kmの日本記録が1時間28分00秒(05年/松宮隆行)であり、昨今の長距離の高速化を考えれば、この記録を更新できる選手も多いのではないでしょうか。 同様に50000m競歩(4時間7分24秒7/今村文男)や、2時間競歩(25739m/園原健弘)など、長い距離の競歩もロードの記録と比較すれば、記録更新の可能性が高いのではないかと思われます。記録更新への障壁は、競技時間の長いこれらの種目をどのように開催するかになるでしょう。 一方、2月に行われた室内競技会で、多田修平選手(住友電工)が50mで5秒73の日本新記録をマークするというニュースがありました。 室内競技会では60mで行われるのが一般的です。この競技会も60mでレースで争われましたが、大会側が通過の50mも計測。公認記録として世界陸連に申請したことで、多田選手の記録も日本記録として認められることになりました。 男子の50mは多田選手や、前記録保持者の朝原宣治さんの記録(5秒75)が非常に高い水準ですが、女子は81年に出された6秒47が最高となっています。近年の女子100mのレース分析によれば、インターハイでも50mの通過が6秒3台の選手が現れており、計測する機会があれば、多くの選手にチャンスがあると思われます。 それでも、女子50mもまだ簡単とは言い切れないタイム。なにか、簡単に日本記録保持者になれる種目がないかと探していたところ、1種目だけ容易な種目がありました。 それが、ショートットラック女子4×800mリレーです。 ショートトラックは昨年から新しく設けられた区分で、1周が200mトラックで行われる種目となります。この区分はかつて多くが室内種目として扱われ、日本ではあまり行われないことから、いくぶん記録水準が低くなっていました。その中で、女子4×800mリレーはまだ日本人が挑戦したことがなく、日本記録が存在しない種目となっているのです。 仮に、ショートトラックの公認競技会で同種目が実施された場合、トップのチームの記録が日本記録として認定されることになります。 このコラムを読んで、やってみようとやる気になった方は、日本記録保持者を目指して頑張ってみてください。
大久保雅文(おおくぼ・まさふみ) 月刊陸上競技編集部 1984年9月生まれ。175cm、63kg。三重県伊勢市出身。小学1年から競泳、レスリング、野球などをするも、吉田沙保里さんにタックルを受けたこと以外は特にこれといった実績も残せず。中学で「雨が降ったら練習が休みになるはず」という理由から陸上部に入部。長距離を専門とし、5000mと3000m障害で県インターハイ決勝出場(ただし、三重県には支部予選もなく、県大会もタイムレース決勝である)
過去の編集部コラムはこちら

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.04.30

5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]

NEWS 26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

2025.04.30

26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]

NEWS 100mH寺田明日香 恩師の訃報に「熱意と愛情を少しでも次の世代へ引き継げるように」

2025.04.30

100mH寺田明日香 恩師の訃報に「熱意と愛情を少しでも次の世代へ引き継げるように」

福島千里や寺田明日香ら女子短距離を中心に数々の名選手を育成した中村宏之氏が4月29日に79歳で他界したことを受け、寺田が自身のSNSを更新して思いを綴った。 寺田は北海道・恵庭北高時代に中村氏の指導を受け、100mハード […]

NEWS 9月の東京世界陸上に都内の子どもを無料招待 引率含め40,000人 6月から応募スタート

2025.04.30

9月の東京世界陸上に都内の子どもを無料招待 引率含め40,000人 6月から応募スタート

東京都は今年9月に国立競技場をメイン会場として開かれる世界選手権に都内の子どもたちを無料招待すると発表した。 「臨場感あふれる会場での観戦を通じて、都内の子供たちにスポーツの素晴らしさや夢と希望を届ける」というのが目的。 […]

NEWS 新しい形の競技会「THE GAME」が9月14日 大阪・万博記念競技場で開催決定!

2025.04.30

新しい形の競技会「THE GAME」が9月14日 大阪・万博記念競技場で開催決定!

「陸上競技の魅力を最大限に引き出し、観客と選手の双方にとって忘れられない体験を」をコンセプトに、三重県で開催されてきた『THE GAME』。今年は会場を大阪府。万博記念競技場を移して、9月14日に行われることが決まった。 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top