◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)11日目
パリ五輪・陸上競技最終日となる11日目に女子マラソンが行われ、鈴木優花(第一生命グループ)が2時間24分02秒の自己新で6位入賞を果たした。
初めてのシニア世界大会が五輪の舞台。その中で、鈴木は堂々とパリの街を駆け抜けた。
五輪史上最高難度と謳われたコースに向けての準備は万端。米国・ボルダーで、指導を受ける山下佐知子コーチと「一緒に相談しながらアップダウンの厳しコースを作って、何回も取り組んできました」。約2ヵ月の合宿は「できる限りのことはしてきました」と胸を張るほど。勝負のポイントを「15km前後から長い上り坂、そして下り終わりまでで、いかに消耗せずに行けるか」と挙げていたが、まさにその通りの走りを見せる。
日本時間午後3時にスタートしたレースは、最初の5kmが17分24秒とスローな展開で幕明け。しばらく大集団で進んだが、10kmを過ぎてアフリカ勢がペースを上げると、鈴木は一山麻緒(資生堂)とともにやや後退した。
だが、鈴木は14km過ぎから始まる上りを利用して追い上げ、16kmで集団に追いつく。そこからは、難所と海外トップランナーに立ち向かった。
「初めてケニア、エチオピアの選手のペース変動を身をもって体感しました」と鈴木。中間点を1時間13分25秒で通過すると、28km過ぎから始まる急坂に、7人の海外勢とともに先頭集団で挑む。
約900m、壁のように続く急坂に1人、また1人と脱落していく。その中で、鈴木は力強い走りを見せた。
昨年10月のパリ五輪代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」では終盤の急坂で独走態勢を築いて勝負を決定づけ、初の五輪へとつなげた。振り返れば大東大1年時には、富士山女子駅伝7区の富士山麓の急坂で区間新記録を樹立した実績を持つ。上りは鈴木の持ち味の一つだ。
坂を上り切った段階で集団は4人に。鈴木はやや遅れただけの5位で踏ん張る。その後の平坦、下り、上りを繰り返し、先頭のペースもアップダウンする中で、「つくのも不安が1度よぎるんですけど、つかないと入賞はできないと思ったので、行けるところまで行こうと決めて必死についていきました」。粘り、時に集団に追いつく。そうして、後方を突き放し、入賞を確固たるものとしていった。
初めて挑んだ五輪の42.195kmで、自己ベストを7秒更新。五輪代表を懸けた緊迫のレース、しかも激しい雨が降りしきる中だったMGCで2時間24分09秒の自己新を出し、五輪でその記録を更新した。大舞台で、力を発揮する能力はずば抜けている。
「このアップダウンの中でわずかでも自己ベストを更新できたということや、国内の平坦なコースだったり、海外のきっろくが出やすいコースに挑んだ時にどこまでいけるのか、ちょっと見えたかなと思います」と大きな手応えをつかんだ。
何よりも、「第一生命グループに入ったからには、やっぱり入賞だけでなく、こういったところでもメダルを獲得できるところまでなんとしてでも行きたい」という新たな、大きな目標を明確に持つことができた。
これが、まだ4度目のマラソン。24歳の鈴木には、大きな世界が広がっている。
【動画】鈴木優花のインタビューをチェック!
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.06.15
小原響が3000m障害で8分22秒64の日本歴代8位!セイコーGGPに続く自己新マーク
-
2025.06.11
2025.05.28
女子10000mがレース途中で異例の中断!! 大雨と雷の影響も選手困惑/アジア選手権
2025.05.16
2025高校最新ランキング【女子】
-
2025.05.15
-
2025.05.15
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.06.15
NCG5000mはアジア選手権5位・荒井七海が13分47秒58で日本人トップ!東海大・永本脩が学生トップ/日体大長距離競技会
第322回日本体育大学長距離競技会兼第16回NITTAIDAI Challenge Games(NCG)の2日目が6月15日に行われ、最終種目のNCG男子5000mはB.キプトゥー(麗澤大)が13分46秒77で1着を占め […]
2025.06.15
小原響が3000m障害で8分22秒64の日本歴代8位!セイコーGGPに続く自己新マーク
6月14日に米国・ポートランドで行われたポートランド・トラックフェスティバルの男子3000m障害で、小原響(GMOインターネットグループ)が日本歴代8位の8分22秒64をマークした。 大会は世界陸連コンチネンタルツアー・ […]
Latest Issue
最新号

2025年7月号 (6月13日発売)
詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会