2025.12.20
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。
1年目はケガや長期離脱
「こうすれば良かった、という後悔が一切ない走りができれば“勝ち”だと思うんです。駅伝はチーム競技ですけど、陸上は個人種目。やるからには負けたくないし、勝ったら気持ちが良い。勝てる走りができれば、自然とチームへ貢献もできると思います」
少し笑みを浮かべながらも、言葉ははっきりとしている。「負けたくない」という強い思いが、日大の山口彰太(3年)からにじみ出ていた。
新雅弘駅伝監督が就任してからの“1期生”でもある山口は、まずはそのトレーニング量の多さに驚いた。レースの距離も高校までは5000mが主軸だが、トラックでは10000m、ロードはハーフが当たり前。自然と走る距離も長くなる。日大に入学した当初は、結果を求める以前に、練習量とレース距離に対応できる身体づくりからのスタートだった。
「特に1年目は、練習についていけなかったり、左膝をケガしては治り、また痛めるということを繰り返して長期離脱したりと、本当に大変でした」と話す。
一つ壁を越えたきっかけは、2024年3月の日本学生ハーフだった。膝のケガを繰り返し、走れなかった時期を乗り越えてようやく出場できた大学でのレース。初めてのハーフで記録は1時間5分33秒。チーム内9番手という結果を残した。
「復帰明けのレースで、自分でも納得できる走りができました。成長とケガからの回復を実感できて、本当にうれしかったです。次につながるレースだと感じられました」と実感を込めて語る。
その年の夏合宿あたりから、徐々に新監督のトレーニングにも対応できるようになっていく。日々の取り組む姿勢や、その成果を冷静に見極めて箱根駅伝メンバーを選考する新監督。負けん気の強さを前面に押し出し、常に前で走る姿勢を示し続けたことが評価され、山口は前回大会の本戦メンバー入りを果たした。
しかし本戦当日、チームは体調不良者が続出。準備や想定も十分とは言えない厳しい状況の中で、10区を任される。緊張と興奮のなか迎えた本番。9区を走る先輩の小路翔琉(現・4年)から受け取るはずだった桜色のタスキは届かず、汗の染み込んでいないタスキで走ることになった。
悔しさだけが残った。もう一度、箱根という大舞台で、自校のタスキをかけ、自分の走りをしたい。その思いを胸に、今シーズンが始まった。
1年目はケガや長期離脱
「こうすれば良かった、という後悔が一切ない走りができれば“勝ち”だと思うんです。駅伝はチーム競技ですけど、陸上は個人種目。やるからには負けたくないし、勝ったら気持ちが良い。勝てる走りができれば、自然とチームへ貢献もできると思います」 少し笑みを浮かべながらも、言葉ははっきりとしている。「負けたくない」という強い思いが、日大の山口彰太(3年)からにじみ出ていた。 新雅弘駅伝監督が就任してからの“1期生”でもある山口は、まずはそのトレーニング量の多さに驚いた。レースの距離も高校までは5000mが主軸だが、トラックでは10000m、ロードはハーフが当たり前。自然と走る距離も長くなる。日大に入学した当初は、結果を求める以前に、練習量とレース距離に対応できる身体づくりからのスタートだった。 「特に1年目は、練習についていけなかったり、左膝をケガしては治り、また痛めるということを繰り返して長期離脱したりと、本当に大変でした」と話す。 一つ壁を越えたきっかけは、2024年3月の日本学生ハーフだった。膝のケガを繰り返し、走れなかった時期を乗り越えてようやく出場できた大学でのレース。初めてのハーフで記録は1時間5分33秒。チーム内9番手という結果を残した。 「復帰明けのレースで、自分でも納得できる走りができました。成長とケガからの回復を実感できて、本当にうれしかったです。次につながるレースだと感じられました」と実感を込めて語る。 その年の夏合宿あたりから、徐々に新監督のトレーニングにも対応できるようになっていく。日々の取り組む姿勢や、その成果を冷静に見極めて箱根駅伝メンバーを選考する新監督。負けん気の強さを前面に押し出し、常に前で走る姿勢を示し続けたことが評価され、山口は前回大会の本戦メンバー入りを果たした。 しかし本戦当日、チームは体調不良者が続出。準備や想定も十分とは言えない厳しい状況の中で、10区を任される。緊張と興奮のなか迎えた本番。9区を走る先輩の小路翔琉(現・4年)から受け取るはずだった桜色のタスキは届かず、汗の染み込んでいないタスキで走ることになった。 悔しさだけが残った。もう一度、箱根という大舞台で、自校のタスキをかけ、自分の走りをしたい。その思いを胸に、今シーズンが始まった。高校時代から双子の弟と頭角表す
年明け早々の丸亀ハーフでは1時間2分04秒まで記録を縮めて好発進。しかしその後、肉離れなど小さな故障が重なり、思うようにレースへ出場できない時期が続く。総合4位で本大会出場を決めた全日本大学駅伝選考会も、走ることができなかった。 それでも長期離脱には至らず、トレーニングは継続。夏合宿も高い消化率で乗り切った。迎えた箱根駅伝予選会では、同学年のシャドラック・キップケメイ、主将の中澤星音(4年)に次ぐチーム3番手でフィニッシュし、確かな存在感を示した。 小学生時代はサッカーに取り組んでいた。箱根路へのあこがれを抱いたのは、本格的に陸上に取り組み始めた栃木・足利二中時代。学生トップ選手たちがしのぎを削り、走り、争う姿に心打たれた。 「自分も箱根で走りたい」 明確な目標を持つと、双子の弟・聡太とともに徐々に頭角を現していく。高校は県内の名門・佐野日大へ進学。学年が上がるごとに着実に記録を伸ばし、3年時には全国高校駅伝で1区を任されるまでに成長した。 双子ランナーとして注目を集め、聡太とともに日大へ。山口の負けず嫌いは、弟に対しても顔をのぞかせる。「弟は同じチームの仲間であり家族ですけど、同時に絶対に負けたくないライバルでもあります」 今年の全日本では、1区と2区で兄弟リレーが実現。うれしさもあったが、自分の走りには不満が残る。「レース展開を自分でコントロールできませんでした。最低限の仕事はできたと思いますが、ラストスパートの切り替えに課題が残ります」と反省を口にした。 記録よりも他校との勝負でいかに打ち克つかがポイントとなる1区。自分の力を発揮できなかったことが悔しかった。だから、箱根本戦では「隣で走る選手には、絶対に負けないように走りたいです」と強く宣言する。 「本戦では、後半の粘り強さが生きる往路区間で走りたいですね。体調管理なども含めて、当たり前のことを徹底して、身体の面もメンタル面も万全の状態で本戦を迎えたいです」 他校との勝負に強くこだわった、闘争心あふれる山口の2度目の箱根が始まる。 [caption id="attachment_193755" align="alignnone" width="800"]
予選会ではチーム3番手と力走した山口彰太[/caption]
文/田坂友暁 RECOMMENDED おすすめの記事
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