HOME 国内

2023.01.30

日本人トップの安藤友香「悔しい気持ちでいっぱい」勝負所での“我慢“がパリ五輪への課題/大阪国際女子マラソン
日本人トップの安藤友香「悔しい気持ちでいっぱい」勝負所での“我慢“がパリ五輪への課題/大阪国際女子マラソン

日本人トップの3位に入った安藤友香(2023年大阪国際女子マラソン)

◇第42回大阪国際女子マラソン(1月29日/大阪・ヤンマーフィールド長居発着)

JMCシリーズG1でブダペスト世界選手権代表選考会となる第42回大阪国際女子マラソンが行われた。

日本人トップの3位でフィニッシュした安藤友香(ワコール)だったが、目標に掲げていた自己ベスト(2時間21分36秒)の更新を逃す2時間22分59秒に、「悔しい気持ちでいっぱいです」と、その表情に笑顔はなかった。

それでも前半は日本記録(2時間19分12秒)を上回るハイペースに食らいつき、「30kmまでは、ペースメーカーと強い海外勢の力を借り、これまでになくリズム良くいけた」と、収穫を得た貴重なレースとなった。

入りの10㎞を32分56秒で通過。その後も快調なペースで飛ばし、20㎞手前で他の日本人選手が脱落するなか、ただ1人先頭集団でレースを進める。ハーフは1時間9分45秒。「思った以上にハーフの通過も速かったので、このまま粘り強くいけば、自分の望む結果がでるはず」と余裕を持ってレースを進めた。

しかし、レースが動くと読んでいたペースメーカーが外れる30km地点で、「前についていく勇気が持てなかった」。エチオピア勢のリズムアップに対応できず少しずつ後退。その後も粘りを見せただけに、それまでの1km3分20秒を少し切るペースから一気に10秒以上アップした勝負どころでの遅れに、「せっかくそれまでいいリズムで刻めていただけに、1kmの我慢がきかなかった」と唇を噛んだ。

広告の下にコンテンツが続きます

記録の更新はもちろん世界を相手に戦っていくためには、この勝負どころでの我慢がカギとなってくる。「苦しいところでの乗り越え方が今後の課題。気持ち的にも肉体的にも余裕を持って対応できるよう練習を積んでいきたい」とリベンジを誓った。

初マラソンで出した自己記録は未だ更新できず。「走れてしまったレース。今でも何が良かったなどは思い出せない」と振り返る安藤。それでも今回で3度目の2時間22分台に、「これまではついていくのに必死でしたが、ハイペースで進む中でも、序盤からフォームやリズムなどを考えながら走ることができた」と、自身の変化、成長を口にする。

17年ロンドン世界選手権はマラソンで出場。だが、東京五輪は10000mでの代表入りとなった。ブダペスト世界選手権の派遣設定記録(2時間23分18秒)は突破したが、マラソンでの代表を逃したオリンピックへの思いを強く抱く。すでに10月15日のパリ五輪代表選考会マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の切符は持っている。

今後の予定は白紙とはいうものの「パリ五輪は本職のマラソンで出場したいと思っています」ときっぱり。12年ぶりに新コースとなった大阪をステップに、ずっと支えてくれている周囲への感謝の気持ちを込めて、10月のMGCに挑む心構えだ。

レースはH.デッセが2時間21分13秒で優勝。M.シセイが2位に続きエチオピア勢がワンツーを果たしている。

文/花木 雫

◇第42回大阪国際女子マラソン(1月29日/大阪・ヤンマーフィールド長居発着) JMCシリーズG1でブダペスト世界選手権代表選考会となる第42回大阪国際女子マラソンが行われた。 日本人トップの3位でフィニッシュした安藤友香(ワコール)だったが、目標に掲げていた自己ベスト(2時間21分36秒)の更新を逃す2時間22分59秒に、「悔しい気持ちでいっぱいです」と、その表情に笑顔はなかった。 それでも前半は日本記録(2時間19分12秒)を上回るハイペースに食らいつき、「30kmまでは、ペースメーカーと強い海外勢の力を借り、これまでになくリズム良くいけた」と、収穫を得た貴重なレースとなった。 入りの10㎞を32分56秒で通過。その後も快調なペースで飛ばし、20㎞手前で他の日本人選手が脱落するなか、ただ1人先頭集団でレースを進める。ハーフは1時間9分45秒。「思った以上にハーフの通過も速かったので、このまま粘り強くいけば、自分の望む結果がでるはず」と余裕を持ってレースを進めた。 しかし、レースが動くと読んでいたペースメーカーが外れる30km地点で、「前についていく勇気が持てなかった」。エチオピア勢のリズムアップに対応できず少しずつ後退。その後も粘りを見せただけに、それまでの1km3分20秒を少し切るペースから一気に10秒以上アップした勝負どころでの遅れに、「せっかくそれまでいいリズムで刻めていただけに、1kmの我慢がきかなかった」と唇を噛んだ。 記録の更新はもちろん世界を相手に戦っていくためには、この勝負どころでの我慢がカギとなってくる。「苦しいところでの乗り越え方が今後の課題。気持ち的にも肉体的にも余裕を持って対応できるよう練習を積んでいきたい」とリベンジを誓った。 初マラソンで出した自己記録は未だ更新できず。「走れてしまったレース。今でも何が良かったなどは思い出せない」と振り返る安藤。それでも今回で3度目の2時間22分台に、「これまではついていくのに必死でしたが、ハイペースで進む中でも、序盤からフォームやリズムなどを考えながら走ることができた」と、自身の変化、成長を口にする。 17年ロンドン世界選手権はマラソンで出場。だが、東京五輪は10000mでの代表入りとなった。ブダペスト世界選手権の派遣設定記録(2時間23分18秒)は突破したが、マラソンでの代表を逃したオリンピックへの思いを強く抱く。すでに10月15日のパリ五輪代表選考会マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の切符は持っている。 今後の予定は白紙とはいうものの「パリ五輪は本職のマラソンで出場したいと思っています」ときっぱり。12年ぶりに新コースとなった大阪をステップに、ずっと支えてくれている周囲への感謝の気持ちを込めて、10月のMGCに挑む心構えだ。 レースはH.デッセが2時間21分13秒で優勝。M.シセイが2位に続きエチオピア勢がワンツーを果たしている。 文/花木 雫

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.05.21

ダイヤモンドリーグ・ラバトに北口榛花と三浦龍司がエントリー!ともに今季シリーズ2戦目

世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグ(DL)第4戦目のラバト大会(モロッコ)のエントリーリストが公開された。日本からは女子やり投の北口榛花(JAL)、男子3000m障害の三浦龍司(SUBARU)が登録している。いずれも […]

NEWS 世界室内選手権走高跳7位のコビェルスキに2年間の資格停止処分 24年欧州選手権の成績取り消し

2025.05.21

世界室内選手権走高跳7位のコビェルスキに2年間の資格停止処分 24年欧州選手権の成績取り消し

5月20日、アスリート・インテグリティー・ユニット(AIU、世界陸連の独立不正監査機関)は、男子走高跳のN.コビェルスキ(ポーランド)に対して、2024年7月23日から2年間の資格停止処分を下したことを発表した。 コビエ […]

NEWS 女子200m君嶋愛梨沙がアジア選手権辞退 代表の入れ替えはナシ

2025.05.21

女子200m君嶋愛梨沙がアジア選手権辞退 代表の入れ替えはナシ

日本陸連は5月21日、韓国・クミで行われるアジア選手権の代表選手1名の出場辞退を発表した。 女子200mの君嶋愛梨沙(土木管理総合)が辞退し、「ケガのため」としている。なお、これによる代表選手の入れ替えや追加招集はない。 […]

NEWS 関東学連が箱根駅伝、関東インカレ、関東大学女子駅伝で奨学金支給「競技力向上と学修支援の一助に」

2025.05.21

関東学連が箱根駅伝、関東インカレ、関東大学女子駅伝で奨学金支給「競技力向上と学修支援の一助に」

一般社団法人関東学生陸上競技連盟は2025年度から、箱根駅伝、関東インカレ、関東大学女子駅伝で奨学金を支給する。これまで、トワイライト・ゲームス、関東学生新人、関東学連10000mで贈られてきたが、3月の定例理事会で決定 […]

NEWS コニカミノルタが新ユニフォーム発表!白とブルーで「夜明け」をイメージ 東日本実業団でお披露目

2025.05.21

コニカミノルタが新ユニフォーム発表!白とブルーで「夜明け」をイメージ 東日本実業団でお披露目

コニカミノルタ陸上競技部は5月21日、公式試合で着用するユニフォームをリニューアルすることを発表した。 新デザインのイメージは「夜明け」。白を基調に、同社のコーポレートカラーであるブルーのグラデーションでそれを表現してい […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年6月号 (5月14日発売)

2025年6月号 (5月14日発売)

Road to TOKYO
Diamond League JAPANの挑戦
村竹ラシッド、三浦龍司が初戦で世界陸上内定

Road to EKIDEN Season 25-26
学生長距離最新戦力分析

page top