HOME 学生長距離

2022.12.27

箱根駅伝Stories/前回4位の東洋大 エース不在も“鉄紺の走り”でトップ3返り咲き狙う
箱根駅伝Stories/前回4位の東洋大 エース不在も“鉄紺の走り”でトップ3返り咲き狙う

東洋大の柏優吾(右)と梅崎蓮

箱根駅伝Stories

新春の風物詩・箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。12月19日から区間エントリーが発表される29日まで、全校の特集記事を掲載していく。

2009年から19年まで11年連続3位以内、総合優勝4回を誇る東洋大。しかし、20年以降は10位、3位、4位と2度も“定位置”を逃している。このまま終わるわけにはいかない。エースを欠くなかで厳しい戦いが予想されても、鉄紺軍団は目標達成を決してあきらめていない。

広告の下にコンテンツが続きます

「3位以内」がターゲット

花の2区を2年連続で快走した松山和希(3年)がエントリーで外れたが、東洋大は“鉄紺のプライド”を失っていない。それどころかチームは団結力を高めている。

秋の駅伝はエース欠場が響き、出雲駅伝は9位、全日本大学駅伝は8位。この結果に選手たちは危機感を覚えた。

「掲げている目標からすると、1人ひとりがもっと突っ込まないといけなかった。鉄紺の走りを追求していかないと、箱根では通用しないと思っています」と、主将の前田義弘(4年)は熱い気持ちでチームを引っ張っている。

広告の下にコンテンツが続きます

松山が不在で、3年連続で5区を担ってきた区間記録保持者・宮下隼人(現・コニカミノルタ)が卒業。今回の箱根は2区と5区で新たな選手が起用されることになる。

それでも酒井俊幸監督は、「鉄紺のプライドを持って挑み、前回以上の成績を目指していきます」と、「トップ3」を狙う構えを崩していない。

今季は5月の関東インカレで“過去最高レベル”の結果を残している。長距離勢は1500m、5000m、10000m、ハーフの4種目すべてで得点をゲット。10000mとハーフではトリプル入賞を果たし、男子1部のトラック優勝に貢献した。

14年ぶりの参戦となった6月の全日本大学駅伝選考会は2位で通過。8月の北海道マラソンは柏優吾(4年)が2時間11分41秒で2位(日本人トップ)に食い込み、パリ五輪代表選考会であるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)出場権を獲得。清野太雅(4年)が2時間12分20秒の6位、村上太一(3年)も2時間16分34秒で17位に入った。

次のページ 「中間層は例年よりも厚くなっている」

箱根駅伝Stories 新春の風物詩・箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。12月19日から区間エントリーが発表される29日まで、全校の特集記事を掲載していく。 2009年から19年まで11年連続3位以内、総合優勝4回を誇る東洋大。しかし、20年以降は10位、3位、4位と2度も“定位置”を逃している。このまま終わるわけにはいかない。エースを欠くなかで厳しい戦いが予想されても、鉄紺軍団は目標達成を決してあきらめていない。

「3位以内」がターゲット

花の2区を2年連続で快走した松山和希(3年)がエントリーで外れたが、東洋大は“鉄紺のプライド”を失っていない。それどころかチームは団結力を高めている。 秋の駅伝はエース欠場が響き、出雲駅伝は9位、全日本大学駅伝は8位。この結果に選手たちは危機感を覚えた。 「掲げている目標からすると、1人ひとりがもっと突っ込まないといけなかった。鉄紺の走りを追求していかないと、箱根では通用しないと思っています」と、主将の前田義弘(4年)は熱い気持ちでチームを引っ張っている。 松山が不在で、3年連続で5区を担ってきた区間記録保持者・宮下隼人(現・コニカミノルタ)が卒業。今回の箱根は2区と5区で新たな選手が起用されることになる。 それでも酒井俊幸監督は、「鉄紺のプライドを持って挑み、前回以上の成績を目指していきます」と、「トップ3」を狙う構えを崩していない。 今季は5月の関東インカレで“過去最高レベル”の結果を残している。長距離勢は1500m、5000m、10000m、ハーフの4種目すべてで得点をゲット。10000mとハーフではトリプル入賞を果たし、男子1部のトラック優勝に貢献した。 14年ぶりの参戦となった6月の全日本大学駅伝選考会は2位で通過。8月の北海道マラソンは柏優吾(4年)が2時間11分41秒で2位(日本人トップ)に食い込み、パリ五輪代表選考会であるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)出場権を獲得。清野太雅(4年)が2時間12分20秒の6位、村上太一(3年)も2時間16分34秒で17位に入った。 次のページ 「中間層は例年よりも厚くなっている」

「中間層は例年よりも厚くなっている」

出雲と全日本は不発だったが、「箱根駅伝を見据えて経験を積ませてきた部分もある」と指揮官は言う。 「前回は往路が想定よりも4分くらい悪かったですし、松山がいなくても、十分に往路は前回(9位)ぐらいいけるかなと思います。2区は下級生にチャンスを与えるのか。それとも上級生でつないでいくのか。エース力は例年より少し落ちますが、中間層は例年よりも厚くなっています。前半耐えていければ、復路で上がっていけるチャンスはある」と酒井監督は戦いを見据えている。 1区は関東インカレ10000m3位の児玉悠輔(4年)が有力だ。他にも往路・復路で好走している前田、全日本でアンカーを務めた柏、前回3区区間8位の佐藤真優(3年)、関東インカレのハーフ2位の梅崎蓮(2年)、出雲と全日本で主要区間を担った石田洸介(2年)らが往路の候補になる。2区は「1時間8分30秒」でしのぎ、3~4区で順位を上げていきたい考えだ。 未経験者が出走することになる5区は、「武器になるように考えていきたい」と酒井監督。関東インカレ5000m4位の九嶋恵舜(3年)は平地に回すプランもあるが、6区に起用する場合は「58分30秒」を想定している。 全日本不出場者の中には関東インカレのハーフ5位の木本大地(4年)、10月に10000m28分36秒36をマークした熊崎貴哉(3年)、前回10区区間2位の清野らが控えており、復路は強力メンバーで固めることができる。 5000mの元高校記録保持者で出雲と全日本で主要区間を担った石田は“エース”としての役割を担おうとしている。 「当初10000mに出る予定でしたが、自分は箱根の経験がありません。監督と相談して、この冬は箱根一本に合わせています。イメージしやすいのは前回準備していた4区ですが、2区に抜擢されてもいいような準備もしていきます。エースになるならどんな状況でも走らないといけないですから」 [caption id="attachment_89768" align="alignnone" width="800"] 練習前に選手たちへ声をかける酒井俊幸監督[/caption] 1年時の全日本から学生駅伝に参戦してきた主将・前田は、最後の戦いで、悲願のタイトルを狙っている。 「チームにとって必要な区間で役割を果たすのが自分の仕事かなと思っていますが、個人的には9区が希望です。任されることになれば前回マークした東洋大記録(1時間8分59秒)を1分短縮したい。これまで一度も区間賞がないので、最後は区間賞を獲得して、チームに恩返ししたいと思います」 初優勝した2009年から19年まで11年連続3位以内をキープした実績がある東洋大。前回は目標にしていた3位に2秒届かなかったが、今回こそはかつての“定位置”を奪い返すつもりだ。 文/酒井政人

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.10.24

「3強」立命大の連覇か、名城大のV奪還か、大東大の初優勝か?城西大、大阪学大らも追随/全日本大学女子駅伝見どころ

第43回全日本大学女子駅伝対校選手権大会は10月26日、宮城県仙台市の弘進ゴムアスリートパーク仙台(仙台市陸上競技場)をスタート・フィニッシュとする6区間38.0kmで開催される。 前回8位までに入ってシード権を持つ立命 […]

NEWS 競歩新距離で日本初開催!世界陸上メダリスト・勝木隼人、入賞の吉川絢斗も登録 アジア大会選考がスタート/高畠競歩

2025.10.24

競歩新距離で日本初開催!世界陸上メダリスト・勝木隼人、入賞の吉川絢斗も登録 アジア大会選考がスタート/高畠競歩

来年の名古屋アジア大会の代表選考会を兼ねた第62回全日本競歩高畠大会が10月26日に山形県高畠町で開かれる。 競歩はこれまで20㎞、35㎞(以前は50㎞)という2種目で行われてきたが、世界陸連(WA)はハーフマラソン(2 […]

NEWS 前回V國學院大の2冠か!? 駒大、青学大、中大、創価大も有力 早大、城西大、帝京大の底力は? 独自の最新データで分析/全日本大学駅伝

2025.10.24

前回V國學院大の2冠か!? 駒大、青学大、中大、創価大も有力 早大、城西大、帝京大の底力は? 独自の最新データで分析/全日本大学駅伝

第57回全日本大学駅伝対校選手権大会は11月2日、愛知・熱田神宮西門前をスタートし、三重・伊勢神宮内宮宇治橋前にフィニッシュする8区間106.8㎞で行われる。 出雲駅伝では國學院大が2連覇を飾り、伊勢路でも連覇に照準を定 […]

NEWS 女子短距離の久保山晴菜が現役引退「もう一度やり直してもこの道を選ぶ」アジア選手権やDLにも出場

2025.10.24

女子短距離の久保山晴菜が現役引退「もう一度やり直してもこの道を選ぶ」アジア選手権やDLにも出場

今村病院はアスリート職員の女子短距離・久保山晴菜が今季限りで現役引退すると発表した。 久保山は佐賀県出身の29歳。小学校から陸上を始め、田代中時代に4×100mリレーで全中準決勝に進出。佐賀北高に進学して200m、400 […]

NEWS 後藤大樹が46秒80!!!初400mで高1最高を14年ぶりに更新 インターハイでは高1初400mH王者

2025.10.24

後藤大樹が46秒80!!!初400mで高1最高を14年ぶりに更新 インターハイでは高1初400mH王者

京都府私学総体が10月24日に西京極で行われ、男子400mで後藤大樹(洛南1)が46秒80を叩き出した。自身初の400m個人レースで出したこの記録は、山木伝説(九里学園)が2011年に樹立した高1最高(47秒31)を14 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top