2022.12.23
日本選手権5000m4位などの活躍で「青学大の鈴木」から卒業
──2022年ももうすぐ終わります。今季の自己評価をお願いいたします。
鈴木 今季は日本選手権の入賞を目標にしてきました。ニューイヤー駅伝後にギックリ腰になって出遅れましたが、5月のゴールデンゲームズ(宮崎・延岡市)の5000mで13分30秒を切って、6月の日本選手権(大阪市)で勝負するというプランを立てたんです。2つとも目標を達成できて、日本選手権5000mは4位(13分32秒39)に入ることができました。青学大を卒業して、やっと自分で誇れるような結果を残せた。「青学大の鈴木」と言われ続けることがコンプレックスだったので、それを払拭することができたと思います。

今季の鈴木は日本選手権の5000mで4位入賞するなどチームの主力に成長した
中谷 僕は、高校時代も大学時代もそうだったんですけど、環境の変化に慣れるまで結構時間かかるタイプなので、今季もシーズン通してうまくいかないことが多かったですね。いろんなことが空回りしちゃったかなという感じがします。新しいステージに入ったので、練習の強度を上げました。動きを重視して設定より少し速くしたりした結果、オーバートレーニングになってしまったんです。夏合宿前から左アキレス腱に痛みが出て、9月下旬の全日本実業団陸上(岐阜市)が終わって悪化しました。学生時代を含めても一番辛いシーズンになってしまったのかなという感じがします。
橋本は関西実業団駅伝でいきなり最長区間を担う
橋本 僕は入社してすぐに左足首上部がコンパートメント症候群(腫れてしびれや痛みが出る症状)になり、10日間ほど入院しました。7月から走り始めて、10月16日の東京レガシーハーフマラソンで自己ベスト(1時間3分01秒)。関西実業団駅伝(和歌山・田辺市)も任された区間でそれなりに走れたので、徐々に調子を上げられているかなと思います。
──2連覇がかかった11月13日の関西実業団駅伝はNTT西日本に先着を許しての2位。橋本選手は最長区間の5区(16.0㎞)を任されて、区間3位でした。
橋本 自分はスピードでガンガン行くよりも淡々と走る方が得意ですが、終盤で大塚製薬・上門大祐さんに離されました。全体的な走力が足りなかったと思うので、トレーニングを継続して、もっと土台を上げていきたいです。また、最長区間を任されたのをひとつの自信にしたいと思います。

11月中旬の関西実業団駅伝で新人ながら最長16.0kmの5区を任された橋本(左)。右は6区を務めた湯澤舜
鈴木 自分は別のレースに出ていたので、今年の関西実業団駅伝のレースの雰囲気はわからないですけど、もっと結果は良くないのかなと覚悟していました。走った選手はがんばってくれたと思いますし、特に橋本は初出場で最長区間。雨も降って、難しい展開でしたけど、ニューイヤー駅伝に向けてはプラスになる材料も多かったと思います。
ニューイヤー駅伝では「5位以内」を狙いたい
──次は28年連続29回目のニューイヤー駅伝です。現在の状態と個人の目標を教えてください。
鈴木 去年は関西実業団駅伝の後に少し故障してしまい、ニューイヤー駅伝にギリギリ合わせた感じでした。今年は1月1日に調子が合うように、ピーキングを少しずらしながらやっています。前回の3区はキロ2分50秒ペースで押していけばいいと思っていたんですけど、周囲のレベルが予想以上に高かった。今季は5000mで13分30秒をクリアできたので、キロ2分45秒ペースで13.6㎞を押していきたい。また3区を任されることになると思いますが、1・2区の選手がいい順位できてくれるのを願っています。
中谷 状態を100%戻すのは厳しいと思うので、80%ぐらいまでは戻して、任された区間をしっかりと走りたい。今季は納得いくレースはほとんどないので、ニューイヤー駅伝で存在感をアピールして、来季のトラックシーズンにつなげていきたいです。
橋本 僕がニューイヤー駅伝に出場するとしたら後半区間だと思うので、6区あたりを狙いたいですね。区間10番以内をひとつの目標に置いています。11月27日の日体大長距離競技会10000mでも28分36秒02の自己ベストが出ましたし、最後の宮崎合宿でしっかりとトレーニングを積んでいきたいです。
──ニューイヤー駅伝のチーム目標を教えてください。
鈴木 前回以上、自分としては、できれば「5位以内」を狙いたいと考えています。普段は東京と滋賀で別々に練習をしていますが、12月中旬から宮崎合宿で同じメニューをやりました。元日を走れるのは7人だけなので、本当にピリピリした雰囲気の合宿になりました。

ニューイヤー駅伝に向けて意気込みを語る鈴木
全国高校駅伝の思い出
──12月25日にはSGホールディングスが特別協賛している全国高校駅伝が開催されます。中谷選手は長野・佐久長聖高時代に大活躍しました。一番の思い出はどんなことですか?
中谷 やはり全国優勝した高3の時(2018年)ですね。3年時は狙って、勝つことができました。1年間目標にしていたので本当にうれしかったです。監督も1区(10km)に起用するか、(複数の留学生とも競う)3区(8.0875km)に起用するか迷っていたようで、最後は「どっちに行きたいんだ?」と聞かれて、希望していた1区に決まりました。区間賞でしたけど、2区だった2学年下の服部凱杏(現・立教大)からは「ちょっと予想外でした」と言われました(笑)。

高3の2017年に全国高校駅伝で〝花の1区〟を制し、チームの優勝に貢献した中谷
──中谷選手と橋本選手は高校時代、大きな差があったと思います。
橋本 高校時代(兵庫・須磨学園)、僕は全国高校駅伝でも沿道で応援する係でした。中谷の走りを見て、すごい選手が同学年にいるのに驚きましたし、いずれチームメイトになるとはまったく想像もしていませんでした。別次元の存在だったので、今、隣にいるのもすごく不思議な感覚です。
──橋本選手は高校時代、チームのレギュラーではなかったそうですね。
橋本 3年時、チームは全国高校駅伝に出場したんですけど、僕は登録メンバーにも入ることができなかったんです。そのなかで中谷は、自分が勝てない須磨学園のチームメイトを1区で1分近くも引き離した。ただただすごいレベルの選手でしたね。僕の高校時代の5000mのベストは15分09秒ですけど、中谷は13分47秒でしたから。
──鈴木選手も千葉・流経大柏高3年時(2015年)には全国高校駅伝に出場しています。
鈴木 記念大会の年で、県大会は負けたんですけど、関東大会で優勝して都大路初出場を決めたんです。チームとしてゼロからやってきたので、その瞬間が人生のなかで一番うれしかったですね。大学時代の箱根駅伝の優勝よりもうれしかった。ただ、都大路に向けてお祭り騒ぎのような雰囲気になって、本番は浮き足だってしまいました(笑)。もう一度走るなら箱根よりも都大路ですね。年末年始の駅伝は、全国高校駅伝が最初にあります。高校駅伝が盛り上がってくれれば、次は僕たちのニューイヤー駅伝です。ジュニア世代は学生駅伝が一番大きな目標になると思うんですけど、大学生の次は社会人になる。学生駅伝がすべてじゃないということを僕らが伝えることで陸上界の発展につながると思っています。
──来季は近藤幸太郎選手(青学大)、中村唯翔選手(青学大)、竹村拓真選手(東海大)、イマヌエル・キプチルチル選手(倉敷高)が入社予定です。SGホールディングスのさらなる躍進を楽しみにしたいと思います。
◎構成/酒井政人、撮影/船越陽一郎、月刊陸上競技

前回のニューイヤー駅伝は最終7区で11位から7位へ躍進
──前回のニューイヤー駅伝はチーム最高順位となる7位に入りました。それぞれどんな感想をお持ちですか? 鈴木 僕自身、1年目のニューイヤー駅伝(2021年)は最終7区で8位から10位に順位を落としてしまい、非常に悔しい思いをしました。前回は「今度こそ」という思いで1年間やってきて、スピード区間の3区(13.6km)で自分の力を100%発揮できたと思います(区間9位の走りで19位から15位に浮上)。ただ、競り合う選手が強く、力不足を感じた部分もありました。最後はアンカー(15.5km)の三上嵩斗さんの底力(11位から7位に浮上)を見させてもらって、僕も本当にうれしかったです。 [caption id="attachment_88895" align="alignnone" width="800"]
新人2人のSGホールディングス志望理由は?
──中谷選手と橋本選手は今年4月に入社しました。実業団で競技を続けるにあたりSGホールディングスを選んだ理由を教えてください。 中谷 早大時代は比較的自由にやらせていただいたので、自分なりにアレンジしながら練習できる環境を探していたんです。そのなかで、練習環境も良くて、強い先輩もいる。大学の流れを引き継いで競技を続けられるのかなと思って選びました。 [caption id="attachment_88896" align="alignnone" width="800"]
日本選手権5000m4位などの活躍で「青学大の鈴木」から卒業
──2022年ももうすぐ終わります。今季の自己評価をお願いいたします。 鈴木 今季は日本選手権の入賞を目標にしてきました。ニューイヤー駅伝後にギックリ腰になって出遅れましたが、5月のゴールデンゲームズ(宮崎・延岡市)の5000mで13分30秒を切って、6月の日本選手権(大阪市)で勝負するというプランを立てたんです。2つとも目標を達成できて、日本選手権5000mは4位(13分32秒39)に入ることができました。青学大を卒業して、やっと自分で誇れるような結果を残せた。「青学大の鈴木」と言われ続けることがコンプレックスだったので、それを払拭することができたと思います。 [caption id="attachment_88897" align="alignnone" width="800"]
橋本は関西実業団駅伝でいきなり最長区間を担う
橋本 僕は入社してすぐに左足首上部がコンパートメント症候群(腫れてしびれや痛みが出る症状)になり、10日間ほど入院しました。7月から走り始めて、10月16日の東京レガシーハーフマラソンで自己ベスト(1時間3分01秒)。関西実業団駅伝(和歌山・田辺市)も任された区間でそれなりに走れたので、徐々に調子を上げられているかなと思います。 ──2連覇がかかった11月13日の関西実業団駅伝はNTT西日本に先着を許しての2位。橋本選手は最長区間の5区(16.0㎞)を任されて、区間3位でした。 橋本 自分はスピードでガンガン行くよりも淡々と走る方が得意ですが、終盤で大塚製薬・上門大祐さんに離されました。全体的な走力が足りなかったと思うので、トレーニングを継続して、もっと土台を上げていきたいです。また、最長区間を任されたのをひとつの自信にしたいと思います。 [caption id="attachment_88898" align="alignnone" width="800"]
ニューイヤー駅伝では「5位以内」を狙いたい
──次は28年連続29回目のニューイヤー駅伝です。現在の状態と個人の目標を教えてください。 鈴木 去年は関西実業団駅伝の後に少し故障してしまい、ニューイヤー駅伝にギリギリ合わせた感じでした。今年は1月1日に調子が合うように、ピーキングを少しずらしながらやっています。前回の3区はキロ2分50秒ペースで押していけばいいと思っていたんですけど、周囲のレベルが予想以上に高かった。今季は5000mで13分30秒をクリアできたので、キロ2分45秒ペースで13.6㎞を押していきたい。また3区を任されることになると思いますが、1・2区の選手がいい順位できてくれるのを願っています。 中谷 状態を100%戻すのは厳しいと思うので、80%ぐらいまでは戻して、任された区間をしっかりと走りたい。今季は納得いくレースはほとんどないので、ニューイヤー駅伝で存在感をアピールして、来季のトラックシーズンにつなげていきたいです。 橋本 僕がニューイヤー駅伝に出場するとしたら後半区間だと思うので、6区あたりを狙いたいですね。区間10番以内をひとつの目標に置いています。11月27日の日体大長距離競技会10000mでも28分36秒02の自己ベストが出ましたし、最後の宮崎合宿でしっかりとトレーニングを積んでいきたいです。 ──ニューイヤー駅伝のチーム目標を教えてください。 鈴木 前回以上、自分としては、できれば「5位以内」を狙いたいと考えています。普段は東京と滋賀で別々に練習をしていますが、12月中旬から宮崎合宿で同じメニューをやりました。元日を走れるのは7人だけなので、本当にピリピリした雰囲気の合宿になりました。 [caption id="attachment_88899" align="alignnone" width="800"]
全国高校駅伝の思い出
──12月25日にはSGホールディングスが特別協賛している全国高校駅伝が開催されます。中谷選手は長野・佐久長聖高時代に大活躍しました。一番の思い出はどんなことですか? 中谷 やはり全国優勝した高3の時(2018年)ですね。3年時は狙って、勝つことができました。1年間目標にしていたので本当にうれしかったです。監督も1区(10km)に起用するか、(複数の留学生とも競う)3区(8.0875km)に起用するか迷っていたようで、最後は「どっちに行きたいんだ?」と聞かれて、希望していた1区に決まりました。区間賞でしたけど、2区だった2学年下の服部凱杏(現・立教大)からは「ちょっと予想外でした」と言われました(笑)。 [caption id="attachment_88900" align="alignnone" width="693"]
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