2022.10.17
◇東京レガシーハーフマラソン(10月16日/国立競技場発着)
国立競技場をスタート・フィニッシュとして開催された東京レガシーハーフマラソン男子の部は、実業団のYKKに所属していたヴィンセント・キプケモイ(ケニア)が、1時間00分10秒で優勝を果たした。ハーフマラソン世界歴代4位の57分59秒を持つアレクサンダ―・ムティソ(NDソフト)が1時間00分29秒で2位に入り、ケニア勢が上位を席巻した。
一方で日本勢は、村山謙太(旭化成)、上門大祐(大塚製薬)、西山雄介(トヨタ自動車)の3人が、国立競技場に戻ってきてからデッドヒートを繰り広げた。最後はスピードに勝る村山が、ラストスパートで振り切って、1時間2分14秒で日本人トップの9位でフィニッシュした。1秒差で2位に上門、3位に西山と続いた。
日本人トップ争いを繰り広げた三者は、このレースに臨む意図がそれぞれで違っていた。2023年秋にパリ五輪のマラソン日本代表選手選考レースとして開催されるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権を、すでに獲得しているのが上門と西山に対し、まだ出場権を持っていない村山は、12月の福岡国際マラソンで狙っている。
「12月に向けて、自分の現状を確認するため」というのが村山の出場目的。5kmを14分24秒で通過し、ムティソが一気にペースアップを図ると、他の日本人選手が自重するなか、ただ一人、村山だけがついていく選択をとった。
「思った以上にペースは上がりましたが、ここまでの過程でトレーニングはしてきていましたし、そのままのペースでは行かないだろうという気持ちもあったので、なるべく離されないように付いていこうと思いました」
10kmを28分43秒で通過してからは先頭集団から遅れをとったものの、その後も大きくペースダウンすることはなかった。上門、西山に追いつかれてからも、粘りの走りを見せた。
「最後の競り合いに関して、上門選手も西山選手も引き離そうという走りをしていたけどしっかりと食らいつき、自分の持ち味であるスパートに持ち込むことができた。MGCに出場する選手に、『ここまでいったら(ラスト勝負になったら)村山だ』という印象を残す走りになったかなと思います」
もちろんマラソンとハーフとでは距離が異なるが、得意な展開で勝つことができ、手応えをつかんだ様子だった。
日本人2番手の上門も、この冬にマラソン出場を予定している。
「このハーフと秋の駅伝とニューイヤー駅伝を揃えて、スピードを強化し、冬のマラソンにつなげたい。あと、このコースが来年のMGCのコースになるかもしれないので、最後の叩き合いで日本人2番か3番以内に入れたら自信になるかなと思っていました。(ケニア勢とは)持ちタイムにだいぶ開きがあったので、そこで勝負するよりは日本人選手にチャレンジしようと思って走りました。日本人選手も格上の選手ばかりだったので。タイムはちょっと物足りないですけど、目標は達成できたかな」
いったんは村山や西山に置いていかれながらも、競技場にたどり着いた時点では再び追いつくことができた。「坂にはそんなに苦手意識がないので、余裕さえあれば勝負できる。いかに中盤を余裕を持って迎えられるかだと思う。今日は負けてしまいましたが、ロードでならば、多少はスパートでも勝負できると感じました」と収穫を口にした。
2019年のMGCは11位に終わり、代表争いに絡むことができなかった。今回、狙い通りのレースができ、自信を深めた。
今夏のオレゴン世界選手権に出場(13位)した西山は、同選手権後の初レースとなった。
「今回は、世界選手権後のレースなので状態確認と、来年のMGCのコースかもしれないので、勝負となるポイント探し、コース確認がメインの目的でした」と言う。
そのため、5km過ぎに先頭集団がペースアップした場面でも、無理してついていくことはなかった。「自分のペースでもしっかりと押していくことができたので、状態確認という部分では本当に良かった」と、上々の再始動になった。
また、来秋のMGC対策としては、終盤(17〜18km)の上りを意識して走った。3年前のMGCでは、駒大時代の2学年先輩の中村匠吾(富士通)が勝負を仕掛けた箇所に当たる。
「中村さんが勝負を決めたあの坂は、想像でもずっと意識してきましたし、動画でも何回も見てきました。今回はイメージしながら走れたので、本当に良かったと思います」
西山は、その上りでペースを上げて上門を引き離し、ラスト1kmで村山に追いついた。まさに、MGCさながら勝負所と踏んでレースに臨んでいた。最後のラスト勝負で敗れたのは課題として残ったが、得られたものはそれ以上に大きかった。
村山、上門、西山、三者三様の目的を持って臨んだ東京レガシーハーフマラソンは、それぞれに収穫の多いレースになったようだ。パリ五輪に向けた男子マラソンの日本代表争いは、ますます激化していきそうだ。
◇東京レガシーハーフマラソン(10月16日/国立競技場発着)
国立競技場をスタート・フィニッシュとして開催された東京レガシーハーフマラソン男子の部は、実業団のYKKに所属していたヴィンセント・キプケモイ(ケニア)が、1時間00分10秒で優勝を果たした。ハーフマラソン世界歴代4位の57分59秒を持つアレクサンダ―・ムティソ(NDソフト)が1時間00分29秒で2位に入り、ケニア勢が上位を席巻した。
一方で日本勢は、村山謙太(旭化成)、上門大祐(大塚製薬)、西山雄介(トヨタ自動車)の3人が、国立競技場に戻ってきてからデッドヒートを繰り広げた。最後はスピードに勝る村山が、ラストスパートで振り切って、1時間2分14秒で日本人トップの9位でフィニッシュした。1秒差で2位に上門、3位に西山と続いた。
日本人トップ争いを繰り広げた三者は、このレースに臨む意図がそれぞれで違っていた。2023年秋にパリ五輪のマラソン日本代表選手選考レースとして開催されるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権を、すでに獲得しているのが上門と西山に対し、まだ出場権を持っていない村山は、12月の福岡国際マラソンで狙っている。
「12月に向けて、自分の現状を確認するため」というのが村山の出場目的。5kmを14分24秒で通過し、ムティソが一気にペースアップを図ると、他の日本人選手が自重するなか、ただ一人、村山だけがついていく選択をとった。
「思った以上にペースは上がりましたが、ここまでの過程でトレーニングはしてきていましたし、そのままのペースでは行かないだろうという気持ちもあったので、なるべく離されないように付いていこうと思いました」
10kmを28分43秒で通過してからは先頭集団から遅れをとったものの、その後も大きくペースダウンすることはなかった。上門、西山に追いつかれてからも、粘りの走りを見せた。
「最後の競り合いに関して、上門選手も西山選手も引き離そうという走りをしていたけどしっかりと食らいつき、自分の持ち味であるスパートに持ち込むことができた。MGCに出場する選手に、『ここまでいったら(ラスト勝負になったら)村山だ』という印象を残す走りになったかなと思います」
もちろんマラソンとハーフとでは距離が異なるが、得意な展開で勝つことができ、手応えをつかんだ様子だった。
日本人2番手の上門も、この冬にマラソン出場を予定している。
「このハーフと秋の駅伝とニューイヤー駅伝を揃えて、スピードを強化し、冬のマラソンにつなげたい。あと、このコースが来年のMGCのコースになるかもしれないので、最後の叩き合いで日本人2番か3番以内に入れたら自信になるかなと思っていました。(ケニア勢とは)持ちタイムにだいぶ開きがあったので、そこで勝負するよりは日本人選手にチャレンジしようと思って走りました。日本人選手も格上の選手ばかりだったので。タイムはちょっと物足りないですけど、目標は達成できたかな」
いったんは村山や西山に置いていかれながらも、競技場にたどり着いた時点では再び追いつくことができた。「坂にはそんなに苦手意識がないので、余裕さえあれば勝負できる。いかに中盤を余裕を持って迎えられるかだと思う。今日は負けてしまいましたが、ロードでならば、多少はスパートでも勝負できると感じました」と収穫を口にした。
2019年のMGCは11位に終わり、代表争いに絡むことができなかった。今回、狙い通りのレースができ、自信を深めた。
今夏のオレゴン世界選手権に出場(13位)した西山は、同選手権後の初レースとなった。
「今回は、世界選手権後のレースなので状態確認と、来年のMGCのコースかもしれないので、勝負となるポイント探し、コース確認がメインの目的でした」と言う。
そのため、5km過ぎに先頭集団がペースアップした場面でも、無理してついていくことはなかった。「自分のペースでもしっかりと押していくことができたので、状態確認という部分では本当に良かった」と、上々の再始動になった。
また、来秋のMGC対策としては、終盤(17〜18km)の上りを意識して走った。3年前のMGCでは、駒大時代の2学年先輩の中村匠吾(富士通)が勝負を仕掛けた箇所に当たる。
「中村さんが勝負を決めたあの坂は、想像でもずっと意識してきましたし、動画でも何回も見てきました。今回はイメージしながら走れたので、本当に良かったと思います」
西山は、その上りでペースを上げて上門を引き離し、ラスト1kmで村山に追いついた。まさに、MGCさながら勝負所と踏んでレースに臨んでいた。最後のラスト勝負で敗れたのは課題として残ったが、得られたものはそれ以上に大きかった。
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