◇東京マラソン(3月6日/都庁前スタート、東京駅前・行幸通りフィニッシュ)
「東京マラソン2021」の女子は2時間14分04秒の世界記録を持つブリジット・コスゲイ(ケニア)が圧倒的な強さを見せた。
第1集団は2時間16分26秒ペースの1㎞3分14秒前後で進み、中間点を1時間8分06秒で通過。ペースメーカーのいなくなった30㎞を過ぎて、コスゲイがアシェテ・ベケレとゴティトム・ゲブレシラシエのエチオピア勢を突き放す。状態に不安があったというものの、大会記録(2時間17分45秒)を大きく上回る2時間16分02秒のセカンドベストで圧勝した。
日本勢は東京五輪で8位入賞を果たした一山麻緒(ワコール)と、10000mとハーフマラソンで日本記録を持つ新谷仁美(積水化学)の直接対決に注目が集まった。
日本記録(2時間19分12秒)と2時間19分台を視野に入れていた2人は2時間18分32秒ペースとなる1km3分17秒設定の第2集団でレースを進行。中間点は1時間9分29秒、30 kmは1時間39分02秒で通過した。
ペースメーカーがいなくなった後は一山が引っ張り、新谷が後ろにつくかたちになった。しかし、終盤は向かい風もあり、ペースが上がらない。30 kmからの5kmが17分04秒、次の5kmは17分21秒とスピードダウンした。
隊列が崩れたのは40 km手前。「前だけを見て走っていました」という一山が新谷を引き離す。2時間21分02秒でフィニッシュに飛び込み、夫の鈴木健吾(富士通)に続いて日本人トップの6位。13年ぶりのマラソンとなった新谷も2時間21分17秒(日本歴代6位)の好タイムをマークした。
一山は新谷を見つけると、「一緒に走ってくれてありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えた。しかし、レース内容は満足できるものではなかったという。30kmまでは「ジョグ感覚」で行く予定だったが、終盤は余裕がなくなった。それでも「オレゴン世界選手権の代表を勝ち取りたい」という強い思いが脚を動かした。
「今回は最後まで動かすような練習をしっかり積んできました。今日のレースも余裕がないわりには、最後まで大きくフォームを崩さずに走ることができたのは練習の成果が出たのかなと思います」
手応えをつかんだ反面、「目指していたのは2時間20分を切るところだった」と悔しさがにじんだ。
永山忠幸監督も「日本人トップは想定通りでしたが、自己ベストを出せなかったのはもったいなかった。仕上がりが良かったので、第1集団で行こうか迷ったんですけど、世界選手権の代表を確実につかむために私も慎重になり過ぎました。30km以降は(新谷との)勝負になって、向かい風もあったのできつかったですね」と好タイムを逃したのを残念がった。
一方、東京五輪の女子10000mで21位(32分23秒87)に沈み、「過去の自分と決別したくて、今回の挑戦を決めました」と話していた新谷は『新たな自分』に出会えたようだ。
「どういう結果になるのかわからないままスタートしたんですけど、そのときに思ったのが仮に失敗したとしても自分を責めずに、この先も陸上競技を続けたいなという思いでした。勝負の意味では負けましたが、マラソンという種目に関しては自己ベストを更新できて良かった。不思議と気持ちは軽やかというか、思い悩むほどのものじゃないんだなという感じがあります」
オレゴン世界選手権を大きく引き寄せた一山と13年ぶりのマラソンで自己ベストを10分近くも短縮した新谷。日本女子長距離を牽引する2人はまだまだ進化していく。
文/酒井政人
◇東京マラソン(3月6日/都庁前スタート、東京駅前・行幸通りフィニッシュ)「東京マラソン2021」の女子は2時間14分04秒の世界記録を持つブリジット・コスゲイ(ケニア)が圧倒的な強さを見せた。第1集団は2時間16分26秒ペースの1㎞3分14秒前後で進み、中間点を1時間8分06秒で通過。ペースメーカーのいなくなった30㎞を過ぎて、コスゲイがアシェテ・ベケレとゴティトム・ゲブレシラシエのエチオピア勢を突き放す。状態に不安があったというものの、大会記録(2時間17分45秒)を大きく上回る2時間16分02秒のセカンドベストで圧勝した。日本勢は東京五輪で8位入賞を果たした一山麻緒(ワコール)と、10000mとハーフマラソンで日本記録を持つ新谷仁美(積水化学)の直接対決に注目が集まった。日本記録(2時間19分12秒)と2時間19分台を視野に入れていた2人は2時間18分32秒ペースとなる1km3分17秒設定の第2集団でレースを進行。中間点は1時間9分29秒、30 kmは1時間39分02秒で通過した。ペースメーカーがいなくなった後は一山が引っ張り、新谷が後ろにつくかたちになった。しかし、終盤は向かい風もあり、ペースが上がらない。30 kmからの5kmが17分04秒、次の5kmは17分21秒とスピードダウンした。隊列が崩れたのは40 km手前。「前だけを見て走っていました」という一山が新谷を引き離す。2時間21分02秒でフィニッシュに飛び込み、夫の鈴木健吾(富士通)に続いて日本人トップの6位。13年ぶりのマラソンとなった新谷も2時間21分17秒(日本歴代6位)の好タイムをマークした。一山は新谷を見つけると、「一緒に走ってくれてありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えた。しかし、レース内容は満足できるものではなかったという。30kmまでは「ジョグ感覚」で行く予定だったが、終盤は余裕がなくなった。それでも「オレゴン世界選手権の代表を勝ち取りたい」という強い思いが脚を動かした。「今回は最後まで動かすような練習をしっかり積んできました。今日のレースも余裕がないわりには、最後まで大きくフォームを崩さずに走ることができたのは練習の成果が出たのかなと思います」手応えをつかんだ反面、「目指していたのは2時間20分を切るところだった」と悔しさがにじんだ。永山忠幸監督も「日本人トップは想定通りでしたが、自己ベストを出せなかったのはもったいなかった。仕上がりが良かったので、第1集団で行こうか迷ったんですけど、世界選手権の代表を確実につかむために私も慎重になり過ぎました。30km以降は(新谷との)勝負になって、向かい風もあったのできつかったですね」と好タイムを逃したのを残念がった。一方、東京五輪の女子10000mで21位(32分23秒87)に沈み、「過去の自分と決別したくて、今回の挑戦を決めました」と話していた新谷は『新たな自分』に出会えたようだ。「どういう結果になるのかわからないままスタートしたんですけど、そのときに思ったのが仮に失敗したとしても自分を責めずに、この先も陸上競技を続けたいなという思いでした。勝負の意味では負けましたが、マラソンという種目に関しては自己ベストを更新できて良かった。不思議と気持ちは軽やかというか、思い悩むほどのものじゃないんだなという感じがあります」オレゴン世界選手権を大きく引き寄せた一山と13年ぶりのマラソンで自己ベストを10分近くも短縮した新谷。日本女子長距離を牽引する2人はまだまだ進化していく。文/酒井政人RECOMMENDED おすすめの記事
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