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2025.12.22

箱根駅伝Stories/悔しさを味わってきた東農大・原田洋輔 「がっつり爪痕を残したい」 地元・戸塚で貢献を

東農大の原田洋輔は前々回の箱根(写真)で区間19位。2年ぶりのレースはリベンジの舞台となる

新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。

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身近にあった箱根駅伝

10月の箱根駅伝予選会で東農大は6位を占め、2年ぶり71回目の本戦出場を決めて歓喜に沸いた。副主将の原田洋輔(4年)は5月に大腿骨を疲労骨折し、苦しい時期が長引いたが、駅伝シーズンには何とか間に合い、大一番に向けて準備を進めている。

原田にとって箱根駅伝は、「物心つく前から」身近にあるものだった。自宅は戸塚中継所から徒歩数分。正月は家族でテレビ中継を見ながら過ごし、「もうそろそろ来るね」というタイミングで沿道に出て、選手を応援するのが毎年の恒例行事になっていた。ただ、自分がその舞台に立ちたいと本気で思うのは、それから10数年後、東農大に入ってからのことだ。

もともと走ることは好きだったものの、中学の陸上部で始めた短距離は「男女問わず、部で一番遅く、全く成長しなかった」。2年目に長距離に転向するも、「練習がつらく、とんでもないところに来てしまった……」と、結局、駅伝以外の公式戦は一度も出場機会がなかった。

しかし、中学の恩師から「最後までやり切る力がある」と評され、自身も「あきらめないことだけは取り柄だった」と言うように、陸上部を辞めることはなかった。

進学した神奈川・鎌倉学園高は、19年秋の関東高校駅伝を制し、前年に続いて2度目の全国高校駅伝出場を果たす。当時、1年生だった原田の5000mの持ちタイムは、部員13人中11番目。「ギリギリでエントリーメンバーに入れなかったのが悔しくて、そこから都大路を走りたいというスイッチが入りました」と当時を思い返す。

年が明けるとコロナ禍が始まり、部活動が数ヵ月できない時期に突入したが、原田はそれを好機と捉えた。

「自分にしかできない努力をしようと思い、週2回、30km走をやりました。あとは強くなるにはフォームが一番大事だという結論になって、独学で解剖学や生理学を勉強し、疑問があれば治療院などで教えていただいて吸収しました。自分を媒体に試行錯誤を重ねたら、フォームがすごく良くなった感覚がありました」

都大路出場という目標は果たせなかったものの、努力は着実に実を結ぶ。2年時の秋に5000mで初めて15分を切り、県高校駅伝では4区で区間2位と好走。3年時には3区で区間賞に輝いた。とはいえ、この頃もまだ箱根駅伝ははるか遠い存在だった。

「いくら高校で伸びたとはいえ、強い高校生には全く太刀打ちできないレベルでした。それよりも自分の勉強したい分野を極めようと思って、東農大の農芸化学科を志望しました」と当時を振り返る。

「学んだことを自分の身体に生かすという経験が面白く、ハマってしまったからです。陸上も勉強もできて、当時箱根の本戦から遠ざかっていた東農大は、僕にとっては身の丈に合った大学でした」と明かした。

[caption id="attachment_194109" align="alignnone" width="800"] 東農大の原田洋輔は前々回の箱根(写真)で区間19位。2年ぶりのレースはリベンジの舞台となる[/caption] 新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。

身近にあった箱根駅伝

10月の箱根駅伝予選会で東農大は6位を占め、2年ぶり71回目の本戦出場を決めて歓喜に沸いた。副主将の原田洋輔(4年)は5月に大腿骨を疲労骨折し、苦しい時期が長引いたが、駅伝シーズンには何とか間に合い、大一番に向けて準備を進めている。 原田にとって箱根駅伝は、「物心つく前から」身近にあるものだった。自宅は戸塚中継所から徒歩数分。正月は家族でテレビ中継を見ながら過ごし、「もうそろそろ来るね」というタイミングで沿道に出て、選手を応援するのが毎年の恒例行事になっていた。ただ、自分がその舞台に立ちたいと本気で思うのは、それから10数年後、東農大に入ってからのことだ。 もともと走ることは好きだったものの、中学の陸上部で始めた短距離は「男女問わず、部で一番遅く、全く成長しなかった」。2年目に長距離に転向するも、「練習がつらく、とんでもないところに来てしまった……」と、結局、駅伝以外の公式戦は一度も出場機会がなかった。 しかし、中学の恩師から「最後までやり切る力がある」と評され、自身も「あきらめないことだけは取り柄だった」と言うように、陸上部を辞めることはなかった。 進学した神奈川・鎌倉学園高は、19年秋の関東高校駅伝を制し、前年に続いて2度目の全国高校駅伝出場を果たす。当時、1年生だった原田の5000mの持ちタイムは、部員13人中11番目。「ギリギリでエントリーメンバーに入れなかったのが悔しくて、そこから都大路を走りたいというスイッチが入りました」と当時を思い返す。 年が明けるとコロナ禍が始まり、部活動が数ヵ月できない時期に突入したが、原田はそれを好機と捉えた。 「自分にしかできない努力をしようと思い、週2回、30km走をやりました。あとは強くなるにはフォームが一番大事だという結論になって、独学で解剖学や生理学を勉強し、疑問があれば治療院などで教えていただいて吸収しました。自分を媒体に試行錯誤を重ねたら、フォームがすごく良くなった感覚がありました」 都大路出場という目標は果たせなかったものの、努力は着実に実を結ぶ。2年時の秋に5000mで初めて15分を切り、県高校駅伝では4区で区間2位と好走。3年時には3区で区間賞に輝いた。とはいえ、この頃もまだ箱根駅伝ははるか遠い存在だった。 「いくら高校で伸びたとはいえ、強い高校生には全く太刀打ちできないレベルでした。それよりも自分の勉強したい分野を極めようと思って、東農大の農芸化学科を志望しました」と当時を振り返る。 「学んだことを自分の身体に生かすという経験が面白く、ハマってしまったからです。陸上も勉強もできて、当時箱根の本戦から遠ざかっていた東農大は、僕にとっては身の丈に合った大学でした」と明かした。

“1秒差”をスマートフォンの画面に設定

大学進学後も原田は地道な努力を重ね、「速いペースで淡々と押せる」という持ち味を武器に、1年目から箱根駅伝予選会に出場する機会をつかんだ。 しかし、初めてのハーフマラソンは1時間6分06秒で210位。チームも、前年まで5年連続で16~18位に沈んでいた流れを断ち切れず、17位に終わった。 「そのとき、本当に箱根駅伝を目指せる場所にいるんだと実感した一方で、全然本気で目指そうとしていなかった自分が、すごく情けなく感じました。チームの力になれなかったことも悔しくて、もうこんな悔し涙は流したくない。そこから本気で箱根を目指そうと誓いました」 気持ちを切り替えた2年目は10000mで28分台に突入し、東農大は10年ぶりに箱根予選会を突破。チーム3番手だった原田も1時間3分32秒の61位で、前年から大きく成長した姿を見せた。 だが、初めて挑んだ箱根本戦では、厳しい現実を突きつけられる。4区に入った原田は、「緊張もありましたが、雨が降っていて、寒いというより“冷たい”という感覚でした。3kmでもうきつくなり、まったく楽しめない21kmでした」と振り返る。結果は区間19位。17位で受け取ったタスキを20位まで下げ、「大事な流れを決める4区に起用してもらったのに、不甲斐ない走りをしてしまった」と唇をかむ。 さらに昨季は、予選会で再び落選。しかも総合タイムで1秒差の次点という、あまりにも悔しい結果だった。エースの前田和摩(現・3年)を欠くなか、原田は“タイムの稼ぎ役”を任されたが、「暑さに負けて、本来の走りができませんでした」という。その悔しさから、予選会の結果をスマートフォンのホーム画面に設定し、常に目に入るようにしていた。 「忘れたいと思ったこともあります。でも、走るたびに“1秒”をふっと意識したり、僕は食事や掃除など私生活でも誠実さを大事にしているので、何か少しでも欠けるものがあると、『やばい、0.1秒衰退したかもしれない』と考えたり。心の面でもかなりしんどい1年間でした」 それでも、チーム全員が雪辱を誓い合い、東農大は2年ぶりに箱根路へと戻ってきた。目標は15年ぶりとなるシード権獲得。そのためには、原田の快走が欠かせない。 「地元が戸塚なので3区を走れたらベスト。僕の走り方も下り基調の3区に合っている気がします。でも、チームに一番貢献できる区間ならどこでも。区間上位で走り切りたいです」と気持ちを高める。 これまでを振り返れば、箱根駅伝は予選会を含め、ずっと悔しさばかりを味わってきた。「がっつり爪痕を残したいです」と意気込む最後の箱根こそ、笑顔で締めくくるつもりだ。 [caption id="attachment_194108" align="alignnone" width="800"] 自身の箱根駅伝は悔しさばかりという原田。最後の舞台で快走を期す[/caption]文/小野哲史

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