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2025.12.22

箱根駅伝Stories/継続中最長シード・東洋大 激動のシーズンに高まる結束力 2年生世代が台頭

苦戦したシーズン前半を経て、箱根本番でのシード死守を目指す東洋大

新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。

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「チームのために走る」

20年連続で箱根駅伝のシード権を守り続けている東洋大。今季チームが掲げたスローガンは「鉄紺の結束」だ。その思いについて、主将の網本佳悟(4年)が語る。

「前回の箱根駅伝では、主力だった梅崎さん(蓮、現・大塚製薬)や石田さん(洸介、現・SUBARU)が走れない状況のなか、連続シードを守ることができました。それは全員が『チームのために』という気持ちを持って挑んだ結果。それをもっと大事にしたいと思いました」

だが、今シーズンの船出は厳しいものだった。新チーム発足直後は、主力選手に故障や体調不良が相次ぎ、なかなか足並みがそろわなかった。例年より1カ月早く実施された5月の全日本大学駅伝選考会では苦戦を強いられ、「エントリーの段階から苦しい台所事情でした」と酒井俊幸監督が振り返るように、7位の日体大に11秒あまり届かず、18年ぶりに本大会出場を逃す結果となった。

「敗退直後は、簡単に気持ちを切り替えることができませんでした。4年生としての責任も感じていました」。網本は当時をそう振り返る。ミーティングを重ねるなかで、「このままでは箱根のシードも危ない」という危機感がチーム全体に広がっていったという。

転機となったのが、6月22日のあおもりディスタンスチャレンジ記録会10000m。緒方澪那斗(4年)、西村真周(4年)、迎暖人(2年)が28分台の自己新をマーク。その翌週の男鹿駅伝でも、1区の西村、6区の宮崎優(2年)が区間2位を占めるなど、選手たちは各競技会で自信を取り戻した。酒井監督も「やればできるということがわかって、安心感も生まれました。夏合宿前に切り替えることができたことは大きかったと思います」と話す。

今季、チーム内で存在感を高めているのが2年生世代だ。前回の箱根駅伝では、迎(3区8位)、宮崎(5区9位)、内堀勇(7区12位)と3選手が出走。「ケガの光明というか、前回主力が走れなかったことで、思い切った起用ができた世代。その経験を生かしてほしいです」と酒井監督からの期待も大きい。出雲駅伝でも5人が出走と、早くもチームの主力へと成長を遂げつつある。

[caption id="attachment_194110" align="alignnone" width="800"] 苦戦したシーズン前半を経て、箱根本番でのシード死守を目指す東洋大[/caption] 新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。

「チームのために走る」

20年連続で箱根駅伝のシード権を守り続けている東洋大。今季チームが掲げたスローガンは「鉄紺の結束」だ。その思いについて、主将の網本佳悟(4年)が語る。 「前回の箱根駅伝では、主力だった梅崎さん(蓮、現・大塚製薬)や石田さん(洸介、現・SUBARU)が走れない状況のなか、連続シードを守ることができました。それは全員が『チームのために』という気持ちを持って挑んだ結果。それをもっと大事にしたいと思いました」 だが、今シーズンの船出は厳しいものだった。新チーム発足直後は、主力選手に故障や体調不良が相次ぎ、なかなか足並みがそろわなかった。例年より1カ月早く実施された5月の全日本大学駅伝選考会では苦戦を強いられ、「エントリーの段階から苦しい台所事情でした」と酒井俊幸監督が振り返るように、7位の日体大に11秒あまり届かず、18年ぶりに本大会出場を逃す結果となった。 「敗退直後は、簡単に気持ちを切り替えることができませんでした。4年生としての責任も感じていました」。網本は当時をそう振り返る。ミーティングを重ねるなかで、「このままでは箱根のシードも危ない」という危機感がチーム全体に広がっていったという。 転機となったのが、6月22日のあおもりディスタンスチャレンジ記録会10000m。緒方澪那斗(4年)、西村真周(4年)、迎暖人(2年)が28分台の自己新をマーク。その翌週の男鹿駅伝でも、1区の西村、6区の宮崎優(2年)が区間2位を占めるなど、選手たちは各競技会で自信を取り戻した。酒井監督も「やればできるということがわかって、安心感も生まれました。夏合宿前に切り替えることができたことは大きかったと思います」と話す。 今季、チーム内で存在感を高めているのが2年生世代だ。前回の箱根駅伝では、迎(3区8位)、宮崎(5区9位)、内堀勇(7区12位)と3選手が出走。「ケガの光明というか、前回主力が走れなかったことで、思い切った起用ができた世代。その経験を生かしてほしいです」と酒井監督からの期待も大きい。出雲駅伝でも5人が出走と、早くもチームの主力へと成長を遂げつつある。

エース候補が待望の復活

なかでも、エース候補として台頭してきたのが松井海斗(2年)だ。昨年はU20世界選手権5000mに出場(16位)したものの、その直後に頸椎椎間板ヘルニアを発症。手術の影響で三大駅伝すべてを欠場した。 「最初は左上半身に麻痺が出るような状態でした。10月中旬に寮へ戻りましたが、身体が思うように動かず、4、5ヵ月ほど練習に合流できませんでした」と松井は当時を振り返る。 それでも、「今年に入って冬場はしっかり土台を作ることができました」。4月には日本学生個人選手権5000mで優勝を飾ると、全日本選考会でも最終組で日本人4番手の9着と好走した。 10月の出雲駅伝では、「大学駅伝の駆け引きに対応できませんでした」と区間11位と悔しい学生三大駅伝デビューとなった。しかし、11月の上尾ハーフマラソンでは、持ちタイムがなかったため、後方からのスタートとなるなかで1時間1分44秒をマーク。「今年は苦手だった夏合宿もしっかり練習を詰めましたし、ハーフの距離にも不安がなくなったと思います」と手応えをつかんでいる。 同じく11月のハーフマラソンでは、宮崎と内堀も1時間2分台で走破。迎も10000mで28分30秒65の自己新を記録するなど、2年生世代の勢いは目覚ましい。松井も「同期の存在は大きいです。自分がタイムを出せば、周りも負けじと走ってくる。迎、宮崎は往路を経験しているし、内堀も力があります」。 16名のエントリーメンバーには、前々回10区区間賞、前回4区3位の実績を持つ岸本遼太郎(4年)や、2区と5区の経験を持つ緒方、3年連続で6区を走っている西村ら、前回経験者8人を含むメンバーが順当に名を連ねた。 網本は「周囲からの順位予想などは低いと思いますが、それを覆す準備はできています。前半シーズンは悔しい想いをしたぶん、最後は目標の5位以内を達成したい」と力強く語っている。 激動のシーズンを乗り越え、チームは確実に結束を高めている。集大成の箱根路で鉄紺の底力を見せようとしている。 [caption id="attachment_194111" align="alignnone" width="800"] 2年生エースとしてチームを牽引する松井海斗[/caption] 文/田中 葵

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