
東京五輪男子マラソン6位入賞の大迫傑(Nike)が9月28日、契約するナイキ社が実施したオンラインでの合同取材で今の心境を語った。
「ラストレースにします」と公言して臨んだ東京五輪での熱走を終えて約1ヵ月半、子供たちに夢をかなえるために大切なスキルや考え方を伝えるプロジェクト「Sugar Elite Kids」を全国的に展開したり、自身の経験から得た知見をたくさんの人たちに届けることを目指して株式会社Iを設立するなど、「いい意味で振り返る暇がない」と言うほど精力的に活動してきた。
それでも、きっぱりと言い切れることがある。
「(東京五輪は)自分の集大成。インタビューで自分の100%出し切れたと言いましたが、本当に出し切れたレースだった」
選手としてやり残したことがあったのかという質問に対しては、「追求し続けてしまったらキリがないし、どこかでしっかりと1つの物語の終わりを作ることは大切なのかなと思った」と、現役生活を完全燃焼したことを強調。引退を正式に発表した。
ただ、「終わりと言いましたが、実は終わりというわけではない。これをスタートにして、自分が今までがんばってきたことの延長線上で新しくやりたいことがたくさんできてきた。そこに注力していくのもいいかなと思っている」。それが、現役ラストラン後の活動へとつながっている。
引退を決めたのは、「一昨年ぐらいから少しずつ考え始めていた」そうだが、最終的に決断をしたのは7月29日にSNS上で発表した「2週間ぐらい前」だった。
その理由は、「東京オリンピックって、多くの選手にとって大きな大会。そこに向けて全力を尽くすというか、言い訳を作れるような環境を捨てて“オールダイブ”することが自分にとってかっこいいと思ったのが1つ。あとはアメリカやケニアに行ったり、日本でいろんな人とお会いする中で、陸上というフィルターを通してこんなことをやっていったら楽しいんじゃないか、という新しい興味も出てきた」こと。そのほかにも理由はいくつかあるが、「いろんなことを考えた時に、今辞めるのが自分にとって一番きれいなんじゃないか」と考え、決断に至った。
長野の名門・佐久長聖高では駅伝日本一となり、早大では学生長距離界のスーパースターへ。卒業後は実業団を経てプロランナーとなり、米国やケニアなどを練習拠点としてきた。5000mで13分08秒40の日本記録を2015年に樹立。16年リオ五輪には5000m、10000mに出場した。マラソンでは18年のシカゴ(2時間5分50秒)、20年東京(2時間5分29秒)と日本記録を2度樹立している。
その輝かしいキャリアの中でも分岐点になったのは、「アメリカに行ったことが大きい」と話す。
「あそこの一歩を踏み出せたことで世界が大きく変わって、今まで見えなかったことが急に見え始めた。もちろん大変ではあったけど、それ以上にワクワクのほうが優った。そこからいろんな方にお会いして、刺激を受けて、それをアウトプットできるような仲間にも恵まれて、いい循環が起きたのはアメリカに行ったから。アメリカでなくても良かったのかもしれないけど、自分の世界から一歩踏み出せたことが大きかったと思う」
思い出深いレースには「東京オリンピック」を挙げた。「やはり自分の現役ラストのレースになったことと、本当に100%出し切れたので、100%肯定して終われた」。
そして、長距離界を大きく変えた厚底レーシングシューズについても「ヴェイパーフライ4%が出てきて、(自分も)そのタイミングでマラソンにデビューした。ストーリー性を感じる」と、強い思い入れを口にした。
今後については「Suger Elite」を通した後進の育成やランニングを通した地域活性化など、さまざまな取り組みにチャレンジしていく。未来のアスリートたちのためにも「走るだけじゃない、結果を残すだけじゃない2つ目の価値」を自身の経験を通して伝えていくほか、「スポーツを通してどう地域と向き合い、その地域が持っている課題をスポーツの力で解決していく」という思いもある。また、ランニングとの関わりについては「楽しく走っていけたらいい」と、趣味として続けていくことも明かした。
日本のトップランナーたちには「1人では到達できるところに限界がある。世界と戦うためにはチームの枠にとらわれるのではなく、速い選手たちが集まって切磋琢磨して世界と戦っていけるような雰囲気が必要」と訴えた。
日本長距離界に大きな足跡を残した大迫。その道のりは、まだ始まったばかりなのかもしれない。
東京五輪男子マラソン6位入賞の大迫傑(Nike)が9月28日、契約するナイキ社が実施したオンラインでの合同取材で今の心境を語った。「ラストレースにします」と公言して臨んだ東京五輪での熱走を終えて約1ヵ月半、子供たちに夢をかなえるために大切なスキルや考え方を伝えるプロジェクト「Sugar Elite Kids」を全国的に展開したり、自身の経験から得た知見をたくさんの人たちに届けることを目指して株式会社Iを設立するなど、「いい意味で振り返る暇がない」と言うほど精力的に活動してきた。 それでも、きっぱりと言い切れることがある。「(東京五輪は)自分の集大成。インタビューで自分の100%出し切れたと言いましたが、本当に出し切れたレースだった」選手としてやり残したことがあったのかという質問に対しては、「追求し続けてしまったらキリがないし、どこかでしっかりと1つの物語の終わりを作ることは大切なのかなと思った」と、現役生活を完全燃焼したことを強調。引退を正式に発表した。 ただ、「終わりと言いましたが、実は終わりというわけではない。これをスタートにして、自分が今までがんばってきたことの延長線上で新しくやりたいことがたくさんできてきた。そこに注力していくのもいいかなと思っている」。それが、現役ラストラン後の活動へとつながっている。 引退を決めたのは、「一昨年ぐらいから少しずつ考え始めていた」そうだが、最終的に決断をしたのは7月29日にSNS上で発表した「2週間ぐらい前」だった。 その理由は、「東京オリンピックって、多くの選手にとって大きな大会。そこに向けて全力を尽くすというか、言い訳を作れるような環境を捨てて“オールダイブ”することが自分にとってかっこいいと思ったのが1つ。あとはアメリカやケニアに行ったり、日本でいろんな人とお会いする中で、陸上というフィルターを通してこんなことをやっていったら楽しいんじゃないか、という新しい興味も出てきた」こと。そのほかにも理由はいくつかあるが、「いろんなことを考えた時に、今辞めるのが自分にとって一番きれいなんじゃないか」と考え、決断に至った。 長野の名門・佐久長聖高では駅伝日本一となり、早大では学生長距離界のスーパースターへ。卒業後は実業団を経てプロランナーとなり、米国やケニアなどを練習拠点としてきた。5000mで13分08秒40の日本記録を2015年に樹立。16年リオ五輪には5000m、10000mに出場した。マラソンでは18年のシカゴ(2時間5分50秒)、20年東京(2時間5分29秒)と日本記録を2度樹立している。 その輝かしいキャリアの中でも分岐点になったのは、「アメリカに行ったことが大きい」と話す。「あそこの一歩を踏み出せたことで世界が大きく変わって、今まで見えなかったことが急に見え始めた。もちろん大変ではあったけど、それ以上にワクワクのほうが優った。そこからいろんな方にお会いして、刺激を受けて、それをアウトプットできるような仲間にも恵まれて、いい循環が起きたのはアメリカに行ったから。アメリカでなくても良かったのかもしれないけど、自分の世界から一歩踏み出せたことが大きかったと思う」 思い出深いレースには「東京オリンピック」を挙げた。「やはり自分の現役ラストのレースになったことと、本当に100%出し切れたので、100%肯定して終われた」。 そして、長距離界を大きく変えた厚底レーシングシューズについても「ヴェイパーフライ4%が出てきて、(自分も)そのタイミングでマラソンにデビューした。ストーリー性を感じる」と、強い思い入れを口にした。 今後については「Suger Elite」を通した後進の育成やランニングを通した地域活性化など、さまざまな取り組みにチャレンジしていく。未来のアスリートたちのためにも「走るだけじゃない、結果を残すだけじゃない2つ目の価値」を自身の経験を通して伝えていくほか、「スポーツを通してどう地域と向き合い、その地域が持っている課題をスポーツの力で解決していく」という思いもある。また、ランニングとの関わりについては「楽しく走っていけたらいい」と、趣味として続けていくことも明かした。 日本のトップランナーたちには「1人では到達できるところに限界がある。世界と戦うためにはチームの枠にとらわれるのではなく、速い選手たちが集まって切磋琢磨して世界と戦っていけるような雰囲気が必要」と訴えた。 日本長距離界に大きな足跡を残した大迫。その道のりは、まだ始まったばかりなのかもしれない。RECOMMENDED おすすめの記事
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