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2025.06.27

日本選手権見どころ男子トラック編/混戦模様の100m、世界レベルの110mH!800m・落合晃の連覇と日本新は!?
日本選手権見どころ男子トラック編/混戦模様の100m、世界レベルの110mH!800m・落合晃の連覇と日本新は!?

日本選手権に出場予定の泉谷駿介、サニブラウン・アブデル・ハキーム、鵜澤飛羽、落合晃

今年9月に34年ぶりに東京で開催される世界選手権の代表選考会を兼ねた第109回日本選手権が7月4日から6日まで行われる。決戦の舞台は、世界選手権と同じ東京・国立競技場。日本一を懸けたサバイバル、そして、世界選手権代表の座を狙う選手たちの熱き戦いの注目選手の【男子トラック編】を紹介する。

【日本選手権みどころ】
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東京世界選手権の代表枠は3つ(※女子やり投を除く)。参加標準記録を突破して3位以内に入れば代表に内定する(※すでに内定者がいる男子110mハードル、3000m障害は上位2名まで)。また、選考優先順位でも日本選手権入賞(8位以内)が不可欠。参加標準記録の有効期間は8月24日までのため、まずは日本選手権で3位以内を死守し、その後に記録やワールドランキングの上昇を狙うというプランも考えられる。

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サニブラウンに好調・栁田が挑む

100mはサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が3年ぶりVを狙う。昨年のパリ五輪の準決勝で9秒96(日本歴代2位)を出しており、参加標準記録(10秒00)を突破済み。3位以内で代表に内定する。ここまでシーズンベストはセイコーゴールデングランプリの10秒31にとどまっているが、6月に宮崎で合宿を積んで調整して迎える。

好調なのが栁田大輝(東洋大)。まだ自己記録の10秒02は更新できていないが、セイコーゴールデングランプリで今季日本最高の10秒06を出して連覇すると、アジア選手権も10秒20で連覇を達成した。関東インカレでは追い風参考(4.5m)ながら9秒95もマーク。初優勝と9秒台を狙いつつ、ワールドランキングで出場権獲得は濃厚のため、しっかり3位以内に入りたいところ。

栁田の他に公認で10秒0台を出しているのは小池祐貴(住友電工)の10秒09。やや寂しい印象もあるが、その下の層の厚さは過去最高レベルか。10秒1台には井上直紀(早大)、鈴木涼太(スズキ)ら14人を数える。パリ五輪4×100mリレー代表の桐生祥秀(日本生命)も10秒15を出している。

なお、東京世界選手権の4×100mリレー代表候補選手となる一つの基準は10秒08で、この記録も各選手のターゲットになる。気になるのは2連覇中の坂井隆一郎(大阪ガス)。出雲陸上で脚を痛めた後はレースに出場できず、トレーニングは再開しているものの“ぶっつけ本番”となりそうだ。

200mは鵜澤飛羽(JAL)が充実の一途。3連覇が濃厚か。静岡国際では予選で20秒13と2年ぶりに自己新を出すと、決勝は追い風参考ながら20秒05(+2.1)を叩き出した。続くアジア選手権も20秒12の自己新で連覇。しかも、「万全ではない」中で出した記録だった。いよいよ19秒台も視界に捉えた。

鵜澤とともに参加標準記録(20秒16)を切っているのは水久保漱至(宮崎県スポ協)。水久保は出雲陸上で20秒89をマークしたあと、ケガのため今季試合に出場していないが、日本選手権に向けてどこまで調子を戻せるか。アジア選手権4位に入ったベテラン・飯塚翔太(ミズノ)は安定している。世界選手権代表になれば男子歴代3位タイの6回目となる。

ここ数年活況の400mだが、今年は上位層にケガが相次いでいる。2連覇中の中島佑気ジョセフ(富士通)は右ハムストリングスを故障して日本選手権が今季初戦となりそう。日本記録(44秒77)を持つ佐藤拳太郎(富士通)もアキレス腱の状態が不安だったが、レースを重ねてタイムは上げてきた。

44秒台を持つ佐藤風雅(ミズノ)もシーズン序盤に腰を痛めたがこちらも状態は上がっている。今季45秒台を出している吉津拓歩(ミキハウス)、今泉堅貴(内田洋行AC)の代表経験者や平川慧(東洋大)らがトップ3にどう絡むか。

今年9月に34年ぶりに東京で開催される世界選手権の代表選考会を兼ねた第109回日本選手権が7月4日から6日まで行われる。決戦の舞台は、世界選手権と同じ東京・国立競技場。日本一を懸けたサバイバル、そして、世界選手権代表の座を狙う選手たちの熱き戦いの注目選手の【男子トラック編】を紹介する。 【日本選手権みどころ】 日本選手権見どころ男子フィールド編/赤松諒一、真野友博ら世界ファイナリストそろう走高跳、選手層の厚い走幅跳とやり投にも注目 日本選手権見どころ女子トラック編/田中希実は2種目出場!激戦の100mH福部真子や田中佑美が登場 800m久保凛が連覇へ 日本選手権見どころ女子フィールド編/北口不在もレベルの高いやり投 走高跳・髙橋渚、走幅跳・秦澄美鈴、三段跳など跳躍にも期待 東京世界選手権の代表枠は3つ(※女子やり投を除く)。参加標準記録を突破して3位以内に入れば代表に内定する(※すでに内定者がいる男子110mハードル、3000m障害は上位2名まで)。また、選考優先順位でも日本選手権入賞(8位以内)が不可欠。参加標準記録の有効期間は8月24日までのため、まずは日本選手権で3位以内を死守し、その後に記録やワールドランキングの上昇を狙うというプランも考えられる。

サニブラウンに好調・栁田が挑む

100mはサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が3年ぶりVを狙う。昨年のパリ五輪の準決勝で9秒96(日本歴代2位)を出しており、参加標準記録(10秒00)を突破済み。3位以内で代表に内定する。ここまでシーズンベストはセイコーゴールデングランプリの10秒31にとどまっているが、6月に宮崎で合宿を積んで調整して迎える。 好調なのが栁田大輝(東洋大)。まだ自己記録の10秒02は更新できていないが、セイコーゴールデングランプリで今季日本最高の10秒06を出して連覇すると、アジア選手権も10秒20で連覇を達成した。関東インカレでは追い風参考(4.5m)ながら9秒95もマーク。初優勝と9秒台を狙いつつ、ワールドランキングで出場権獲得は濃厚のため、しっかり3位以内に入りたいところ。 栁田の他に公認で10秒0台を出しているのは小池祐貴(住友電工)の10秒09。やや寂しい印象もあるが、その下の層の厚さは過去最高レベルか。10秒1台には井上直紀(早大)、鈴木涼太(スズキ)ら14人を数える。パリ五輪4×100mリレー代表の桐生祥秀(日本生命)も10秒15を出している。 なお、東京世界選手権の4×100mリレー代表候補選手となる一つの基準は10秒08で、この記録も各選手のターゲットになる。気になるのは2連覇中の坂井隆一郎(大阪ガス)。出雲陸上で脚を痛めた後はレースに出場できず、トレーニングは再開しているものの“ぶっつけ本番”となりそうだ。 200mは鵜澤飛羽(JAL)が充実の一途。3連覇が濃厚か。静岡国際では予選で20秒13と2年ぶりに自己新を出すと、決勝は追い風参考ながら20秒05(+2.1)を叩き出した。続くアジア選手権も20秒12の自己新で連覇。しかも、「万全ではない」中で出した記録だった。いよいよ19秒台も視界に捉えた。 鵜澤とともに参加標準記録(20秒16)を切っているのは水久保漱至(宮崎県スポ協)。水久保は出雲陸上で20秒89をマークしたあと、ケガのため今季試合に出場していないが、日本選手権に向けてどこまで調子を戻せるか。アジア選手権4位に入ったベテラン・飯塚翔太(ミズノ)は安定している。世界選手権代表になれば男子歴代3位タイの6回目となる。 ここ数年活況の400mだが、今年は上位層にケガが相次いでいる。2連覇中の中島佑気ジョセフ(富士通)は右ハムストリングスを故障して日本選手権が今季初戦となりそう。日本記録(44秒77)を持つ佐藤拳太郎(富士通)もアキレス腱の状態が不安だったが、レースを重ねてタイムは上げてきた。 44秒台を持つ佐藤風雅(ミズノ)もシーズン序盤に腰を痛めたがこちらも状態は上がっている。今季45秒台を出している吉津拓歩(ミキハウス)、今泉堅貴(内田洋行AC)の代表経験者や平川慧(東洋大)らがトップ3にどう絡むか。

村竹不在もハイレベルな110mH

パリ五輪5位の村竹ラシッド(JAL)が世界選手権内定のため見送る方向の110mハードル。五輪ファイナリスト不在でも“世界水準”のレースになりそうだ。参加標準記録突破者が上位2位以内で内定となる。 村竹とともに13秒04の日本記録を持つ泉谷駿介(住友電工)が2年ぶり4度目優勝を果たせば東京世界選手権代表に内定する。今回は8m21のベストを持つ走幅跳と2種目でエントリーしている。先に行われるハードルで弾みをつけられるか。 今季3度参加標準記録(13秒27)を切って勢いに乗る阿部竜希(順大)、5月の木南記念で13秒25を出して復活してきた野本周成(愛媛競技力本部)も有力。ここまでの3人が2位以内に入れば代表が決まる。他にもベテランで勝負強い高山峻野(ゼンリン)や、横地大雅(Digverse)、樋口隼人(筑波大)らも好調。13秒45まで一気に高校記録を引き上げた古賀ジェレミー(東京高3)は一気に標準突破まであり得る。 400mハードルも熾烈だ。前回47秒台を出して優勝した豊田兼(トヨタ自動車)は、まだ参加標準記録(48秒50)を切れていない。腰を痛めてアジア選手権を欠場したが、セイコーゴールデングランプリで出した48秒55は今季リストトップだ。 48秒61を出すなど48秒台で安定している小川大輝(東洋大)、昨年48秒46を出して参加標準記録突破済みの井之上駿太(富士通)が有力。井之上は3位以内で代表に内定だ。48秒58がベストの筒江海斗(スポーツテクノ和広)、髙橋遼将(法大)、児玉悠作(ノジマ)、渕上翔太(早大)らも一発を秘める。大混戦必至か。

800m落合に注目 5000mの覇権は?

注目を集めるのは800mの落合晃(駒大)。昨年は高校3年生で初優勝すると、夏のインターハイでは1分44秒80の日本新を樹立した。大学1年目は自己記録こそ更新できていないが、静岡国際では1分45秒16をマークしている。参加標準記録(1分44秒50)の突破なるか。 1500mはアジア選手権で復活を遂げた飯澤千翔(住友電工)に連覇が懸かる。今季安定感のある森田佳祐(SUBARU)も有力だ。5000mは90人を超えるエントリーがあり、予選が組まれるため、記録を狙うには難しい状況となってしまった。アジア選手権銀メダルの森凪也(Honda)が好調で初Vで好機。2年前の覇者・塩尻和也(富士通)、大器・佐藤圭汰(駒大)らの争いか。10000mを4月に制している鈴木芽吹(トヨタ自動車)は2冠をもくろむ。 3000m障害は三浦が今年も不在のようで、青木涼真(Honda)が連覇を狙う。4月の金栗記念はアクシデントもありアジア選手権を逃したが、セイコーゴールデングランプリでは8分20秒99、6月には海外レースで8分23秒58の好記録だった。ワールドランキングで世界選手権に近づく新家裕太郎(愛三工業)、小原響(GMOインターネットグループ)は初優勝なるか。 東京世界選手権を懸けた3日間の熱戦。国立競技場に足を運んでほしい。また、大会の模様はライブ配信のほかNHKでも放送される。 ◇東京世界選手権代表内定条件 ・参加標準記録+3位以内(※一部除く) ・各種目最大3人(※女子やり投は北口榛花を除いて3人) ※後日選考の優先順位=参加標準記録+8位以内、ワールドランキングで出場権獲得+8位以内など ◇テレビ中継 1日目:7月4日(金) NHK BS18:30~19:30/総合19:30~20:42 2日目:7月5日(土) NHK総合 16:30~18:43 3日目:7月6日(日) NHK総合16:30~18:43 【日本選手権みどころ】 日本選手権見どころ男子フィールド編/赤松諒一、真野友博ら世界ファイナリストそろう走高跳、選手層の厚い走幅跳とやり投にも注目 日本選手権見どころ女子トラック編/田中希実は2種目出場!激戦の100mH福部真子や田中佑美が登場 800m久保凛が連覇へ 日本選手権見どころ女子フィールド編/北口不在もレベルの高いやり投 走高跳・髙橋渚、走幅跳・秦澄美鈴、三段跳など跳躍にも期待

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