HOME 国内

2026.01.25

初マラソン日本最高の矢田みくに「すごく楽しかった」ライバルに「置いて行かれて…」と苦しい時期乗り越え開花/大阪国際女子マラソン
初マラソン日本最高の矢田みくに「すごく楽しかった」ライバルに「置いて行かれて…」と苦しい時期乗り越え開花/大阪国際女子マラソン

26年大阪国際女子マラソンで初マラソン日本最高を叩き出した矢田みくに

◇第45回大阪国際女子マラソン(1月25日/大阪・ヤンマースタジアム長居発着)

MGCシリーズ2025-26女子G1の大阪国際女子マラソンが行われ、S.チェサン(ウガンダ)が2時間19分31秒で優勝した。

広告の下にコンテンツが続きます

東京世界選手権10000mに出場した矢田みくに(エディオン)がマラソンでもその力を示した。トラック勝負まで海外勢を相手に勝負を仕掛け、最後はトップ3に入れなかったものの、堂々たるレースで4位。日本人6人目の2時間20分切りとなる2時間19分57秒(日本歴代6位)で、安藤友香の持っていた初マラソン日本最高(2時間21分36秒)を大きく上回った。

これまでマラソンはもちろん、ハーフの経験もなかった矢田。年末には徳之島で合宿を積むなどし、「予定していた練習はほぼこなせて、コンディションは良い」と話していたが、「自分がどれだけマラソンができる身体なのかを知りたい」と、練習がどう結果につながるのか、そして適性がはどうなのか。新しいチャレンジの場だった。

果たして、その答え合わせは完璧なものとなる。序盤は冷たい向かい風がふく中でややペースが落ち着き、徐々に絞られていく難しいレース展開に。そうしたなか、海外勢や松田瑞生(ダイハツ)や上杉真穂(東京メトロ)ら経験豊富な面々と先頭集団を形成した。

20kmは1時間6分30秒で通過。徐々に日本勢が苦しくなるなか、矢田1人が軽快な足取りで、25kmを1時間22分59秒で通過した時には矢田1人が海外勢についた。ペースメーカーが外れた30km以降は積極的に前に出て集団を引っ張った。

苦しくなる終盤も「声援があって、きついなかでも幸せを感じながら走れました」と振り返ったように、時折、沿道からの応援に笑顔を浮かべ、そのたびにグッと力強くギアを入れた矢田。一度は4番手に落ちて離されかけた場面では40kmを過ぎて再び息を吹き返して2位へ。

トラック勝負にもつれ、残り250mでも前に飛び出す姿勢を見せた。最後は4位となったが、その走りは見る人の心を打つ激走。タイム以上に海外勢に臆することなくぶつかった積極性と粘り強さは圧巻だった。

矢田は笑顔でフィニッシュし、第一声は「すごく楽しかった」。初めてのマラソン練習の期間から「苦しいより楽しかった」ため、「大丈夫かな」と不安もあったようだが、「本番も楽しんで走ろう」と前向きに。上り、下りは安藤に教えてもらった走りを体現したという。

熊本県出身の26歳。その名は早くから全国区で、ルーテル学院高時代には2年生で5000mに出場して当時高校最高の15分25秒87をマークし、U20世界選手権代表にも選ばれた。3000mでも9分01秒53を持ち、インターハイでは8位に入っている。

世代トップをひた走っていただけに、その後は苦しい時期も長かった。デンソーに進んでからはなかなか持ち味を発揮できず。一時は引退がちらついた時もある。

高校時代からしのぎを削ってきた同学年の田中希実(New Balance)や1つ下の廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が世界へ羽ばたくなか「置いていかれている感じがした」とこぼしたこともある。

22年にデンソーを退部し、心機一転、エディオンへ。昨年は4月の日本選手権10000mで廣中に次ぐ2位に入ると、アジア選手権では銅メダルを獲得。東京世界選手権をつかんで、ジュニア時代以来の念願の日本代表返り咲きを果たした。

本番では世界の壁に跳ね返されたが、「自分の当たり前を取っ払わないといけない」と、大きな転機にもなった。

初マラソンは「MGC切符を」を最優先にし、「2時間23分台」を見据えていただけに、本人もビックリの様子。「初マラソンで背負うものがありませんでした。オリンピックに向けて初心を忘れずに練習していきたい」。

27年に予定されているロサンゼルス五輪選考会のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の切符をつかんだ矢田。「ロス五輪は夢ではなく目標」と明確に見据えていた。

◇第45回大阪国際女子マラソン(1月25日/大阪・ヤンマースタジアム長居発着) MGCシリーズ2025-26女子G1の大阪国際女子マラソンが行われ、S.チェサン(ウガンダ)が2時間19分31秒で優勝した。 東京世界選手権10000mに出場した矢田みくに(エディオン)がマラソンでもその力を示した。トラック勝負まで海外勢を相手に勝負を仕掛け、最後はトップ3に入れなかったものの、堂々たるレースで4位。日本人6人目の2時間20分切りとなる2時間19分57秒(日本歴代6位)で、安藤友香の持っていた初マラソン日本最高(2時間21分36秒)を大きく上回った。 これまでマラソンはもちろん、ハーフの経験もなかった矢田。年末には徳之島で合宿を積むなどし、「予定していた練習はほぼこなせて、コンディションは良い」と話していたが、「自分がどれだけマラソンができる身体なのかを知りたい」と、練習がどう結果につながるのか、そして適性がはどうなのか。新しいチャレンジの場だった。 果たして、その答え合わせは完璧なものとなる。序盤は冷たい向かい風がふく中でややペースが落ち着き、徐々に絞られていく難しいレース展開に。そうしたなか、海外勢や松田瑞生(ダイハツ)や上杉真穂(東京メトロ)ら経験豊富な面々と先頭集団を形成した。 20kmは1時間6分30秒で通過。徐々に日本勢が苦しくなるなか、矢田1人が軽快な足取りで、25kmを1時間22分59秒で通過した時には矢田1人が海外勢についた。ペースメーカーが外れた30km以降は積極的に前に出て集団を引っ張った。 苦しくなる終盤も「声援があって、きついなかでも幸せを感じながら走れました」と振り返ったように、時折、沿道からの応援に笑顔を浮かべ、そのたびにグッと力強くギアを入れた矢田。一度は4番手に落ちて離されかけた場面では40kmを過ぎて再び息を吹き返して2位へ。 トラック勝負にもつれ、残り250mでも前に飛び出す姿勢を見せた。最後は4位となったが、その走りは見る人の心を打つ激走。タイム以上に海外勢に臆することなくぶつかった積極性と粘り強さは圧巻だった。 矢田は笑顔でフィニッシュし、第一声は「すごく楽しかった」。初めてのマラソン練習の期間から「苦しいより楽しかった」ため、「大丈夫かな」と不安もあったようだが、「本番も楽しんで走ろう」と前向きに。上り、下りは安藤に教えてもらった走りを体現したという。 熊本県出身の26歳。その名は早くから全国区で、ルーテル学院高時代には2年生で5000mに出場して当時高校最高の15分25秒87をマークし、U20世界選手権代表にも選ばれた。3000mでも9分01秒53を持ち、インターハイでは8位に入っている。 世代トップをひた走っていただけに、その後は苦しい時期も長かった。デンソーに進んでからはなかなか持ち味を発揮できず。一時は引退がちらついた時もある。 高校時代からしのぎを削ってきた同学年の田中希実(New Balance)や1つ下の廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が世界へ羽ばたくなか「置いていかれている感じがした」とこぼしたこともある。 22年にデンソーを退部し、心機一転、エディオンへ。昨年は4月の日本選手権10000mで廣中に次ぐ2位に入ると、アジア選手権では銅メダルを獲得。東京世界選手権をつかんで、ジュニア時代以来の念願の日本代表返り咲きを果たした。 本番では世界の壁に跳ね返されたが、「自分の当たり前を取っ払わないといけない」と、大きな転機にもなった。 初マラソンは「MGC切符を」を最優先にし、「2時間23分台」を見据えていただけに、本人もビックリの様子。「初マラソンで背負うものがありませんでした。オリンピックに向けて初心を忘れずに練習していきたい」。 27年に予定されているロサンゼルス五輪選考会のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の切符をつかんだ矢田。「ロス五輪は夢ではなく目標」と明確に見据えていた。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

         

Latest articles 最新の記事

2026.03.11

廣中璃梨佳が日本郵政Gを「卒業」昨年の東京世界陸上10000m入賞「新たな環境でチャレンジ」

日本郵政グループと、同チームに所属する女子長距離の廣中璃梨佳が共同投稿するかたちでSNSを更新し、廣中が3月末で退部すると発表した。 廣中は長崎商高時代から駅伝やトラックで世代トップ選手として活躍。高校を卒業して2019 […]

NEWS 埼玉医大グループに小澤心羽が加入 「応援よろしくお願いいたします」

2026.03.11

埼玉医大グループに小澤心羽が加入 「応援よろしくお願いいたします」

埼玉医大クループの女子駅伝部は3月11日、同日付で小澤心羽が加入したことを発表した。 小澤は2004年生まれの21歳。静岡・日大三島高時代の22年に全国高校駅伝に出場した。23年春からルートインホテルズで競技を続け、24 […]

NEWS 日本インカレの大会要項が発表 標準記録は前回と同じ フィールド種目にも最大出場人数を設定

2026.03.09

日本インカレの大会要項が発表 標準記録は前回と同じ フィールド種目にも最大出場人数を設定

日本学生陸上競技連合は3月9日、第95回日本インカレ(9月5日~7日/神奈川・日産スタジアム)の大会要項を発表した。 前回大会からは参加資格にいくつか変更が加えられ、フィールド種目にもトラック種目と同様に最大出場人数が設 […]

NEWS カールストレームがハーフ競歩で1時間24分58秒 女子はインガがガルシア・レオンに先着/WA競歩ツアー

2026.03.09

カールストレームがハーフ競歩で1時間24分58秒 女子はインガがガルシア・レオンに先着/WA競歩ツアー

世界陸連(WA)競歩ツアー・ゴールドのドゥンディスカ50が、3月7日にスロバキアで開催され、男子ハーフマラソン競歩ではブダペスト世界選手権20km競歩銀メダルのP.カールストレーム(スウェーデン)が1時間24分58秒で優 […]

NEWS シマンスキが60mH7秒37の今季世界最高タイ 女子砲丸投スキルダー20m69の自己タイV/WA室内ツアー

2026.03.09

シマンスキが60mH7秒37の今季世界最高タイ 女子砲丸投スキルダー20m69の自己タイV/WA室内ツアー

3月6日、世界陸連(WA)室内ツアー・シルバーのISTAF室内がドイツ・ベルリンで開催され、男子60mハードルではJ.シマンスキ(ポーランド)が今季世界最高タイの7秒37で優勝した。シマンスキは。24年世界室内選手権のこ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年3月号 (2月14日発売)

2026年3月号 (2月14日発売)

別府大分毎日マラソン
大阪国際女子マラソン
矢田みくにインタビュー
追跡箱根駅伝

page top