◇天皇賜盃第94回日本学生対校選手権(6月5日~8日/岡山・JFE晴れの国スタジアム)3日目
学生日本一を決める日本インカレの3日目が行われ、男子110mハードルは阿部竜希(順大)が大会連覇を達成した。学生歴代3位の自己記録を0.01秒更新する13秒25(+0.8)をマーク。自身3度目の東京世界選手権参加標準記録(13秒27)突破となる。
山崎一彦コーチから「世界の阿部だと証明してこい」と送り出された。スタートから一気に加速すると、「最初の3台の感覚は良かった」と差を広げていく。ただ、中盤以降は「歯車が噛み合わなくなった」と振り返る。それでも、他を寄せ付けない圧巻の走りに“世界”をしっかり証明した。
最後の日本インカレ。この舞台こそ、阿部にとって“世界”を感じてきた大会でもある。1年時から出場し、2年時には先輩の村竹ラシッド(現・JAL)が13秒04の日本記録をマークし、「世界トップクラスを痛感した」。その背中をずっと追いかけて成長してきた。
昨年は初優勝を飾り、「人生初の日本一でしたが、世界に出るための準備が必要だと感じました」。そして今年に向けて「本当に世界に出るんだというところを目指してやってきた」。1年前は「想像もできなかった」名門の主将。仲間が背中を押してくれた。
過密日程のため出場を見送った関東インカレでは総合優勝が途切れた。世界を目指しているからこそ、そして、それをできる環境である順大だからこそだったが、悔しさは人一倍。この日も「朝から緊張でご飯も喉を通らないほど」。順大を背負うということはそういうことで、先輩たちははね除けてきた。招集所には競歩ブロックなど、たくさんの仲間が一緒に来て送り出してくれたのは、阿部という男の人柄だろう。
「最後のインカレなんだなって。勝つのはもちろん、後悔がないように楽しもうと思いました」。先輩たちがインカレで見せてきた“世界”を、阿部もきっちり受け継いで、泉谷駿介(現・住友電工)、村竹と続けてきた順大勢6連覇を達成。この背中を追うライバルや後輩が、また世界を目指す。
残り1日。「できることをやって応援して、総合優勝を目指します」。個人としては「本当の戦いは1ヵ月後」。日本選手権で2位以内に入れば東京世界選手権に内定する。「課題もわかったので、映像と主観を比べながら、山崎先生と相談して、勝つつもりで臨みたい」。最後のインカレというハードルを越えた阿部が、次は世界とつながるハードルを一気に跳び越える。
男子110mハードル学生歴代10傑
13.04 -0.9 村竹ラシッド(順大4) 2023. 9.16 13.06 1.2 泉谷駿介(順大4) 2021. 6.27 13.25 0.8 阿部竜希(順大4) 2025. 4.25 13.29 1.1 豊田兼(慶大3) 2023. 8. 4 13.42 1.3 樋口隼人(筑波大4) 2025. 4.26 13.45 0.3 横地大雅(法大3) 2021. 7.17 13.47 0.7 藤原孝輝(東洋大2) 2022. 9.10 13.50 0.1 内藤真人(法大3) 2001.10.17 13.53 1.8 金井大旺(法大4) 2017. 7.22 13.53 -2.1 似内陸斗(岩手大3) 2024. 9.21 13.53 0.8 西徹朗(早大4) 2025. 4.25
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