2024.12.22
監督からの教えで開花
そんな大島に、坪田監督はジョグベースで距離を踏むことの大切さを説いた。今季前半は故障もありトラックは6月の全日本大学駅伝関東選考会10000m(1組12着)が最後。「予定していたホクレン・ディスタンスチャレンジも回避し、その分夏合宿で走り込もう」と大島は練習に取り組んだ。
坪田監督は夏合宿で淡々と距離を踏む練習をこなす大島に、秋の開花を予想していた。大島は「高校時代は気づいていませんでしたが、ジョグや距離走をベースにしてロングインターバルで仕上げていくというスタイルが、今自分の中でハマってきています」と語る。
ベースが作り上げられるからこそレースで余裕度が出るという感覚。試合後のダメージも少なく、次の日から練習に入れるようにもなった。「長距離走で大切にしていることは、練習を継続する事。陸上はきつい所もあるし、気持ち的に逃げたくなることもありますが、そういう所で逃げてはだめだなと思っていますし、毎日の積み重ねが結果に結びつくと、信念を持ってやっています」。来季は5000mで日本人学生最高(13分09秒45)、10000mは27分30秒切りを目指す大島は、箱根を目指す過程でトレーニングの大事な組み立て方をつかんだ。
いよいよ、大好きで仲良しな4年生の先輩たちとの最後の箱根駅伝に挑む。主将の小泉樹(4年)が上尾ハーフで1時間2分13秒をマークし、大島とのどちらかが1区、2区を担うことは濃厚。小泉も来季は最上級生となる大島への期待は大きい。「自分の結果だけではなく、チームをどう上げていくかも考えられればいいですね。ただ、全体のことを考えたらキリがなくなったりもするので、自分の競技に集中することとのバランスをうまく調整することが大事になってきますかね」。
法大記録を持っていた西池和人は第89回大会で1区3位。徳本一善も坪田監督と同時期に『オレンジ旋風』を巻き起こした。大島は第101回大会でどんな走りを見せてくれるだろうか。

箱根駅伝では出雲駅伝1区9位(写真)に終わった悔しさを晴らす
おおしま・ふみや/2003年7月19日生まれ。千葉県我孫子市出身。千葉・久寺家中→専大松戸高。5000m13分35秒33、10000m28分10秒01、ハーフマラソン1時間03分00秒
文/荒井寛太
2区で1時間7分台は必須
法大が誇る2人のビッグネームが保持していた5000mと10000mの大学記録を、大島史也(3年)が相次いで更新した。9月28日の絆記録会5000mの13分35秒33は、西池和人の記録を11年ぶりに更新。さらに11月9日のNITTAIDAI Challenge Games10000mの28分10秒01は、徳本一善(現・駿河台大駅伝監督)の記録を24年ぶりに更新。一躍法大のスピードキングに躍り出た。 箱根で戦う戦力を整える意味で、法大ではこの時期「10000m+ハーフ」の2本をまとめることがメンバー選考で重視される。記録を単体で見ること自体にさほど大きな意味を持たない。大島は「今季の目標は箱根。結果としては27分台で走れたら満足でしたが、箱根に向けていい調整、流れが作れました」。9日後の上尾ハーフを1時間3分00秒でまとめ、坪田智夫駅伝監督の信頼を勝ち取った。 前回の箱根は1区にエントリーされながら、当日変更で外され箱根出走は叶わなかった。坪田監督は「本当は大島を起用する算段でオーダーを考えていましたが、上尾ハーフで少し失敗し、使うに至らなかった」とした上で、「せっかくあるスピードを生かせる駅伝をやってくれないとチームとしては一つ高い所に上がっていけない」と期待は大きかった。3年目での飛躍に坪田監督も手応えを感じている。 大島は「自分がチームの流れを作りたい」と箱根で2区を志願する。今季唯一駅伝の実戦だった出雲は1区(8.0km)でトップと23秒差の区間9位。ベストメンバーで挑んだ法大だったが総合9位。坪田監督は「1区の出遅れがすべて」と手厳しいが、大島への期待の裏返しでもある。チームが掲げる『坪田史上最強』の箱根総合5位に向け、大島は「2区で1時間7分台は必須」と準備を進める。 千葉県我孫子市生まれで、中学時代はサッカー部でゴールキーパーを務めていた。借り出されて出場した東葛駅伝(東葛飾地方中学駅伝、全10区間)でタスキをつなぐ楽しさを感じ、中2の秋に陸上部へ転部。中3の11月に行われた都道府県駅伝選考会3000mで9分07秒00をマークし、非凡な才能を見せる。 強豪の専大松戸高に進むと、高3で1500mと5000mの2種目でインターハイへ。いずれも予選落ちに終わるが、特に5000mは予選5着取りの6着。「目の前の5着が西村真周君(現・東洋大3年)だったのを今でも思い出すくらい悔しい」と振り返る。 コロナ禍で学校での全体練習ができなかった時期は自主練習で走り込んだ。佐倉市のクロスカントリーコースや、地元の手賀沼で距離走を重ねて脚づくり。高3の12月の日体大記録会5000mでは13分50秒04と当時の千葉県高校記録をマークし、法大に進む。 この高校時代に飛躍したトレーニングの流れが、「大学3年生となった今季にトラックで2つの大学記録をマークするに至った流れと似ている」と大島は自己分析する。 「自分はスピードが持ち味なので、『もっとスピードを出したい』とか『距離を減らしてインターバルの質を上げたい』と大学1、2年の頃は考えていました」。監督からの教えで開花
そんな大島に、坪田監督はジョグベースで距離を踏むことの大切さを説いた。今季前半は故障もありトラックは6月の全日本大学駅伝関東選考会10000m(1組12着)が最後。「予定していたホクレン・ディスタンスチャレンジも回避し、その分夏合宿で走り込もう」と大島は練習に取り組んだ。 坪田監督は夏合宿で淡々と距離を踏む練習をこなす大島に、秋の開花を予想していた。大島は「高校時代は気づいていませんでしたが、ジョグや距離走をベースにしてロングインターバルで仕上げていくというスタイルが、今自分の中でハマってきています」と語る。 ベースが作り上げられるからこそレースで余裕度が出るという感覚。試合後のダメージも少なく、次の日から練習に入れるようにもなった。「長距離走で大切にしていることは、練習を継続する事。陸上はきつい所もあるし、気持ち的に逃げたくなることもありますが、そういう所で逃げてはだめだなと思っていますし、毎日の積み重ねが結果に結びつくと、信念を持ってやっています」。来季は5000mで日本人学生最高(13分09秒45)、10000mは27分30秒切りを目指す大島は、箱根を目指す過程でトレーニングの大事な組み立て方をつかんだ。 いよいよ、大好きで仲良しな4年生の先輩たちとの最後の箱根駅伝に挑む。主将の小泉樹(4年)が上尾ハーフで1時間2分13秒をマークし、大島とのどちらかが1区、2区を担うことは濃厚。小泉も来季は最上級生となる大島への期待は大きい。「自分の結果だけではなく、チームをどう上げていくかも考えられればいいですね。ただ、全体のことを考えたらキリがなくなったりもするので、自分の競技に集中することとのバランスをうまく調整することが大事になってきますかね」。 法大記録を持っていた西池和人は第89回大会で1区3位。徳本一善も坪田監督と同時期に『オレンジ旋風』を巻き起こした。大島は第101回大会でどんな走りを見せてくれるだろうか。 [caption id="attachment_156361" align="alignnone" width="900"]
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