HOME 国内

2024.11.02

競歩・池田向希「公正な結論が導かれるよう努める所存」ドーピング違反疑いに旭化成が潔白主張
競歩・池田向希「公正な結論が導かれるよう努める所存」ドーピング違反疑いに旭化成が潔白主張

24年日本選手権20km競歩で優勝した池田向希(旭化成)

旭化成株式会社は11月2日、競歩の池田向希が11月1日に世界陸連の独立不正監査機関、アスリート・インテグリティー・ユニット(AIU)から受けた暫定的資格停止処分に対して、疑惑の潔白を証明し、処分取り消しを求める対応をすることを文書で明らかにした。

同文書では、AIUから処分を受けた経緯を説明。今年の6月28日に、前年6月から8月にかけてAIUが実施した血液検査値から、血液ドーピング(事前に採取した自身の血液を大会前に体内に戻すことで赤血球量を増やし、パフォーマンス向上を狙う方法)の疑いがあること、弁明がある場合は所定の期日までに提出すべきとの通知を受けたという。

それに対し、池田は7月24日にAIUへ弁明書を提出した。だが、AIUはアンチ・ドーピング規則違反として正式に立件すること、解決されるまでの間の暫定的資格停止処分を下すという通知を発表した。

この血液ドーピングと疑われた事象について、旭化成側は「世界アンチ・ドーピング機構が公表する禁止表国際基準に記載の禁止物質が検出されたものではありません」と前置き。そのうえで、池田の「血液検査においてヘモグロビン等の数値が限度を超えて変化したことに関するもの」であり、その際にAIUは「これが禁止物質、禁止方法の使用の結果であると考えられる場合には、その旨選手に通知し、当該変化が規則違反によるものでないことの弁明を求めることとしています」というルール説明を添えている。

そして旭化成サイドも、弁明のために国立スポーツ科学センターに保管されている血液検査データなどの情報収集や、スポーツドクターなど専門家に助力を依頼し、原因を独自に究明。「当時の池田選手の練習や生活の環境および体質、処方薬(「世界アンチ・ドーピング機構が公表する禁止表国際基準に記載の禁止物質を含むものではない」と補足)の副作用等により、血管内溶血や消化管出血が起きていたことによるものであり、血液ドーピングによるものではない」との見解を得たという。弁明書にもその旨を記載し、AIUに提出している。

今後は暫定的資格停止処分の取り消しを求める申し立てを行うとともに、規則違反を否認し、世界陸連懲戒委員会の審問を求める書面を提出する予定だ。

広告の下にコンテンツが続きます

旭化成は「スポーツ界におけるドーピングには強く反対し、これを撲滅するためのAIUをはじめとする各種国際・国内機関の理念と活動を全面的に支持します」と表明する一方、今回の件に関しては池田に違反はないと真っ向から否定する。そこには、マラソンで五輪に複数回出場した宗茂・猛兄弟、1991年東京世界選手権金メダルの谷口浩美、92年バルセロナ五輪銀メダルの森下広一らを輩出してきた企業としての誇りとともに、「今回の事態を受けて、アンチ・ドーピングの理念とアスリートの正当な競技参加が両立されるためにできることがないか」と、ドーピング撲滅への姿勢が強く示された。

池田自身も「全く身に覚えのない理由で今後の試合に出場できないかもしれない状況となり、たいへん困惑しております。今後真実が明らかになり、公正な結論が導かれるよう引き続き努めてまいる所存です」とコメント。AIUの今後の判断が待たれる。

旭化成株式会社は11月2日、競歩の池田向希が11月1日に世界陸連の独立不正監査機関、アスリート・インテグリティー・ユニット(AIU)から受けた暫定的資格停止処分に対して、疑惑の潔白を証明し、処分取り消しを求める対応をすることを文書で明らかにした。 同文書では、AIUから処分を受けた経緯を説明。今年の6月28日に、前年6月から8月にかけてAIUが実施した血液検査値から、血液ドーピング(事前に採取した自身の血液を大会前に体内に戻すことで赤血球量を増やし、パフォーマンス向上を狙う方法)の疑いがあること、弁明がある場合は所定の期日までに提出すべきとの通知を受けたという。 それに対し、池田は7月24日にAIUへ弁明書を提出した。だが、AIUはアンチ・ドーピング規則違反として正式に立件すること、解決されるまでの間の暫定的資格停止処分を下すという通知を発表した。 この血液ドーピングと疑われた事象について、旭化成側は「世界アンチ・ドーピング機構が公表する禁止表国際基準に記載の禁止物質が検出されたものではありません」と前置き。そのうえで、池田の「血液検査においてヘモグロビン等の数値が限度を超えて変化したことに関するもの」であり、その際にAIUは「これが禁止物質、禁止方法の使用の結果であると考えられる場合には、その旨選手に通知し、当該変化が規則違反によるものでないことの弁明を求めることとしています」というルール説明を添えている。 そして旭化成サイドも、弁明のために国立スポーツ科学センターに保管されている血液検査データなどの情報収集や、スポーツドクターなど専門家に助力を依頼し、原因を独自に究明。「当時の池田選手の練習や生活の環境および体質、処方薬(「世界アンチ・ドーピング機構が公表する禁止表国際基準に記載の禁止物質を含むものではない」と補足)の副作用等により、血管内溶血や消化管出血が起きていたことによるものであり、血液ドーピングによるものではない」との見解を得たという。弁明書にもその旨を記載し、AIUに提出している。 今後は暫定的資格停止処分の取り消しを求める申し立てを行うとともに、規則違反を否認し、世界陸連懲戒委員会の審問を求める書面を提出する予定だ。 旭化成は「スポーツ界におけるドーピングには強く反対し、これを撲滅するためのAIUをはじめとする各種国際・国内機関の理念と活動を全面的に支持します」と表明する一方、今回の件に関しては池田に違反はないと真っ向から否定する。そこには、マラソンで五輪に複数回出場した宗茂・猛兄弟、1991年東京世界選手権金メダルの谷口浩美、92年バルセロナ五輪銀メダルの森下広一らを輩出してきた企業としての誇りとともに、「今回の事態を受けて、アンチ・ドーピングの理念とアスリートの正当な競技参加が両立されるためにできることがないか」と、ドーピング撲滅への姿勢が強く示された。 池田自身も「全く身に覚えのない理由で今後の試合に出場できないかもしれない状況となり、たいへん困惑しております。今後真実が明らかになり、公正な結論が導かれるよう引き続き努めてまいる所存です」とコメント。AIUの今後の判断が待たれる。

旭化成から発表された本件に対するコメント

当社は、スポーツ界におけるドーピングには強く反対し、これを撲滅するためのAIUをはじめとする各種国際・国内機関の理念と活動を全面的に支持します。 一方で、上述の通り当社は、池田選手本人のヒアリングのみならず、医学的見地から専門家の方々の意見書を頂戴し、池田選手にアンチ・ドーピング規則違反はないものと認識しております。そのため今後も池田選手が潔白を証明するための活動を全面的に支援してまいります。 加えて、これまで数多くのオリンピアンを輩出してきた企業として、今回の事態を受けて、アンチ・ドーピングの理念とアスリートの正当な競技参加が両立されるためにできることがないか、今後関係各所ともご相談させていただきつつ検討してまいります。今後とも、池田選手の活動にご支援とご理解を賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げます。

池田向希のコメント

今回、全く身に覚えのない理由で今後の試合に出場できないかもしれない状況となり、たいへん困惑しております。 6月28日にAIUから通知を受け取って以来、多くの医学専門家、競技関係者その他関係者の方々にご協力いただき、潔白である事実を根拠とともに訴えてまいりました。今後真実が明らかになり、公正な結論が導かれるよう引き続き努めてまいる所存です。 今後ともご理解とご支援をいただければありがたく、何卒よろしくお願いいたします。

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.05.22

個の力高い中大が最有力! 順大、大東大も戦力充実 前回上位・東海大、東洋大は!? 5月24日平塚決戦/全日本大学駅伝関東選考会展望

第57回全日本大学駅伝の関東学連推薦校選考会が5月24日に神奈川県平塚市のレモンガススタジアム平塚で行われる。昨年度の本大会で8位までに入った國學院大、駒大、青学大、創価大、早大、城西大、立教大、帝京大がシード権を獲得。 […]

NEWS ダイヤモンドリーグ・ラバトに北口榛花と三浦龍司がエントリー!ともに今季シリーズ2戦目

2025.05.21

ダイヤモンドリーグ・ラバトに北口榛花と三浦龍司がエントリー!ともに今季シリーズ2戦目

世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグ(DL)第4戦目のラバト大会(モロッコ)のエントリーリストが公開された。日本からは女子やり投の北口榛花(JAL)、男子3000m障害の三浦龍司(SUBARU)が登録している。いずれも […]

NEWS 世界室内選手権走高跳7位のコビェルスキに2年間の資格停止処分 24年欧州選手権の成績取り消し

2025.05.21

世界室内選手権走高跳7位のコビェルスキに2年間の資格停止処分 24年欧州選手権の成績取り消し

5月20日、アスリート・インテグリティー・ユニット(AIU、世界陸連の独立不正監査機関)は、男子走高跳のN.コビェルスキ(ポーランド)に対して、2024年7月23日から2年間の資格停止処分を下したことを発表した。 コビエ […]

NEWS 女子200m君嶋愛梨沙がアジア選手権辞退 代表の入れ替えはナシ

2025.05.21

女子200m君嶋愛梨沙がアジア選手権辞退 代表の入れ替えはナシ

日本陸連は5月21日、韓国・クミで行われるアジア選手権の代表選手1名の出場辞退を発表した。 女子200mの君嶋愛梨沙(土木管理総合)が辞退し、「ケガのため」としている。なお、これによる代表選手の入れ替えや追加招集はない。 […]

NEWS 関東学連が箱根駅伝、関東インカレ、関東大学女子駅伝で奨学金支給「競技力向上と学修支援の一助に」

2025.05.21

関東学連が箱根駅伝、関東インカレ、関東大学女子駅伝で奨学金支給「競技力向上と学修支援の一助に」

一般社団法人関東学生陸上競技連盟は2025年度から、箱根駅伝、関東インカレ、関東大学女子駅伝で奨学金を支給する。これまで、トワイライト・ゲームス、関東学生新人、関東学連10000mで贈られてきたが、3月の定例理事会で決定 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年6月号 (5月14日発売)

2025年6月号 (5月14日発売)

Road to TOKYO
Diamond League JAPANの挑戦
村竹ラシッド、三浦龍司が初戦で世界陸上内定

Road to EKIDEN Season 25-26
学生長距離最新戦力分析