2024.04.28
久保凛 PROFILE
◎くぼ・りん/2008年1月20日生まれ。和歌山県出身。潮岬中(和歌山)―東大阪大敬愛高(大阪)。中学から本格的に陸上を始める。全中には2年連続で800mに出場し、2年時(21年)はB決勝で3位、3年時(22年)は優勝している。また22年U16大会1000mでは4位入賞。高1の昨シーズンはインターハイ800mで同種目9年ぶりの1年生Vを遂げた。プロサッカーの久保建英選手(スペイン1部レアル・ソシエダード所属)は、父方のいとこ。主な種目の自己ベストは400m55秒13(24年)、800m2分05秒13(24年)、1500m4分21秒00(24年)、3000m9分17秒78(23年)
田中さんにオーラを感じた
――昨年一番印象に残っている出来事を教えてください。 久保 ルーキーイヤーで、インターハイ出場を目標に日々取り組んできました。激戦の近畿大会を無事に通過して、全国大会でも1年目から優勝することができたことはとてもうれしかったですし、一番印象に残っています。 ――2年生のシーズンが始まったばかりですが、1年生と比べて、成長したと感じることはありますか。 久保 冬季練習でしっかり走り込みをしたこともあり、持ち味のスピードにスタミナが加わりました。800mで自己ベストを出した3月(29日)の奈良市記録会でも、400mの通過はインターハイの時などと同じ61秒でしたが、これまで以上に余裕を持って入れました。ラストの切り替えもしっかりできたと感じています。 ――冬はどのようなテーマを掲げて練習に取り組みましたか。 久保 スピードとスタミナをバランスよく鍛えることです。単なるスピードではなく前半の入りをリラックスすることや、ラストでしっかり切り替えることなど、リズムや動きのスムーズさを含めて、レースをイメージした走りを意識して取り組んできました。 ――春先から自己ベストを更新するなど結果を残しています。好調の要因は。 久保 (年末の)都大路(全国高校駅伝)前に体調を崩しましたが、その後はしっかり継続して練習が積めていることが一番だと思います。4月に入ってからも概ね予定通り練習ができているので、次の静岡国際(5月3日)や木南記念(5月12日)でも自己ベストを出せるよう頑張りたいです。 ――先日の金栗記念(4月13日)では田中希実さん(New Balance)とも初めて同じレースを走り、優勝しましたね。 久保 シニアのトップ選手と走るのは初めての経験で緊張しました。それでも、自分の持ち味である積極的なレースができて、最後もしっかり切り替えられました。田中さんに勝って優勝することができたことは自信になります。田中さんの隣のレーンで走らせてもらいましたが、レース前からオーラを感じましたし、集中力の高さなど学ぶ点が数多くあり、とても良い経験になりました。 ――今シーズンの目標を教えてください。 久保 今シーズンはインターハイの連覇はもちろん、先日の金栗記念のように、シニアの選手と戦うことが多くなると思うので、日本選手権などで力を出し切り優勝することが一番の目標です。タイム的にはどこかで高校記録(2分02秒57)を更新し、昨年以上に良い1年にしたいと思っています。 ――夏にはU20世界選手権や五輪などもあります。 久保 昨年8月の日韓中ジュニア交流競技会ではじめて日の丸をつけて試合の臨む機会を得て、さらに日本代表に入り、世界を舞台に戦いたいという気持ちが強くなりました。選考レースでしっかり結果を残し、代表に選ばれるよう頑張りたいです。ドルーリー選手から刺激
――陸上はいつ、どんなきっかけで始めましたか。それまでのスポーツ歴は。 久保 祖母が陸上クラブで教えていたこともあり、駅伝やマラソン大会などには出場していましたが、陸上を本格的に始めたのは中学からです。小学校の時は1年から6年までずっとサッカーをやっていました。最初は走るのが苦手でしんどいし、あまり乗り気ではありませんでした。しかし、高学年になった頃から段々と走れるようになり、駅伝で区間賞を獲得するようになり楽しくなってきて、中学では陸上をやろうと決めました。 ――久保選手が思う中距離の魅力とは。 久保 一番得意だったこともありますが、800mは駆け引きだったり、最後の切り替えだったり、粘りの部分だったり、キツさもありますが、そうしたいろいろな要素がある中で勝負できる点に魅力を感じています。 ――中学3年間で印象に残っていることは。 久保 全中800mの優勝です。中学で本格的に陸上を始めた時から、祖母と全中で活躍することを目標に取り組んできたので、その夢、目標を達成できた時は本当にうれしかったです。 ――東大阪大敬愛高に進んだ経緯を教えてください。 久保 いろいろな学校からお誘いもいただきましたし、高校選び本当に悩みました。敬愛に見学に来た際に、先輩方がとてもイキイキとした表情でのびのびと練習されていたこと、先輩方の取り組む姿勢や礼儀正しさなどがとても印象的で、ここで強くなりたいと思ったことがきっかけです。 [caption id="attachment_134043" align="alignnone" width="800"]
24年金栗記念800mで田中希実(New Balance、右)に競り勝って優勝[/caption]
――意識する選手や目標の選手はいますか。
久保 中学の時のU16大会1000mでもまったく歯が立たず、1500mでもまだまだ及びませんが、意識しているのはドルーリー(朱瑛里/津山・岡山)さんです。高校ではほとんど一緒に走る機会はありませんでしたが、彼女の活躍を見て、自分ももっと頑張らないといけないと常に刺激をもらっています。目標としているのは田中さんです。自分も世界の舞台で入賞できる選手になりたいと思っています。
――試合でのルーティンなどはありますか。
久保 前日にはうどんなど軽めの食事をして、寝る前にヨーグルトを食べることです。高校に入ってから、いつの間にかそれが習慣になっています。試合の合間はレースが続くのでしっかりおにぎりを食べてエネルギーを補給。音楽を聞いたり、目をつぶってリラックスを心掛けています。
――休日や自由な時間はどのように過ごしていますか。
久保 継続して練習を続けることが重要だと思っているので、休日はゆっくり身体を休めることに重点を置いて過ごしています。
――好きな食べ物や勝負飯は。
久保 普段から母に栄養には気を配ってもらっており、好き嫌いなくバランスを考えてとるようにしています。好きな食べ物はオムライスです。
――高校卒業後や将来的な目標を教えてください。
久保 高校卒業後も陸上を続け、将来的には田中さんのように800mから5000mまで走れるランナーになりたいです。その中で800mは日本記録(2分00秒45)を更新し、世界大会で入賞できる選手になることが目標です。これと決めた将来の計画はまだありませんが、競技生活を終えた後も、祖母のように陸上競技やスポーツに関わる仕事がやりたいなと思っています。
構成/花木 雫
久保凛 PROFILE
◎くぼ・りん/2008年1月20日生まれ。和歌山県出身。潮岬中(和歌山)―東大阪大敬愛高(大阪)。中学から本格的に陸上を始める。全中には2年連続で800mに出場し、2年時(21年)はB決勝で3位、3年時(22年)は優勝している。また22年U16大会1000mでは4位入賞。高1の昨シーズンはインターハイ800mで同種目9年ぶりの1年生Vを遂げた。プロサッカーの久保建英選手(スペイン1部レアル・ソシエダード所属)は、父方のいとこ。主な種目の自己ベストは400m55秒13(24年)、800m2分05秒13(24年)、1500m4分21秒00(24年)、3000m9分17秒78(23年) [caption id="attachment_134044" align="alignnone" width="800"]
23年インターハイ800mを制した久保凛選手(中央)[/caption] RECOMMENDED おすすめの記事
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