HOME 学生長距離

2023.12.26

【Playback箱根駅伝】第78回/“紫紺対決”再び!今度は駒大に軍配!壮絶な2区など名シーン多数
【Playback箱根駅伝】第78回/“紫紺対決”再び!今度は駒大に軍配!壮絶な2区など名シーン多数

第78回箱根駅伝5区で競り合う神奈川大と駒大

2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの)

第78回(2002年/平成14年)
駒大が2年ぶりV奪還!往路は神奈川大が優勝、今も記憶に残る壮絶な2区

出雲駅伝1位、全日本大学駅伝3位の順大と、出雲2位、全日本1位の駒大。前回の優勝、準優勝の両校が再び“紫紺対決”を繰り広げた。前回出場校のうち拓大、國学院大、平成国際大が予選会で姿を消し、亜細亜大が5年ぶり、専大が4年ぶり、関東学院大が2年ぶりに本戦出場を果たした。

往路はすべての区間で先頭が入れ替わる大混戦。1区はスローペースで推移し、残り300mでスパートした順大の入船満(4年)が区間賞を獲得。1秒差で神奈川大、さらに2秒差で中大が続き、最下位(15位)の日大までが45秒差という僅差で戦国駅伝が幕を開けた。

広告の下にコンテンツが続きます

2区では順大、神奈川大、中大、山梨学大の4校が先頭集団を形成し、10秒ほど後方で9人の5位集団が追う展開に。5km過ぎ、第2集団を牽引していた法大の徳本一善(4年)がペースアップを図ろうとした瞬間にふくらはぎを肉離れ。2年時に1区区間賞、3年時には2区で3位からトップを奪う快走を見せた絶対的エースが無念の途中棄権に終わった。

その後、先頭争いは山梨学大のオンベチェ・モカンバ(1年)が抜け出し、トップで戸塚中継所へタスキリレー。11秒差で早大が続き、8位の大東大までが1分差と、ここでも大きな差は生まれなかった。

3区では早大の森本哲(3年)が区間賞の快走で首位に浮上。優勝候補の順大はこの区間で8位に転落した一方で、2区終了時で9位と出遅れていた駒大が猛烈な追い上げを見せた。3区の島村清孝(3年)が区間2位の好走で4位まで順位を上げると、4区では松下龍治(3年)が区間2位に1分以上の差をつける区間トップの走りで一気に先頭へ。5区の1年生・田中宏樹にタスキを託した。

山上りの5区では快調に歩を進める田中に対し、後方から神奈川大の吉村尚悟(2年)、さらに後ろから順大の野口英盛(4年)が猛烈な勢いで追い上げを見せた。中盤以降は強い向かい風が吹き荒れるコンディションとなるなか、吉村が16.5km付近で首位に浮上。田中も19kmまでは懸命に食らいついたものの、神奈川大が4年ぶりに往路優勝を達成した。駒大が23秒差で2位となり、8位から5人を抜いた順大の野口が47秒差の3位でフィニッシュした。

4位の早大、5位の大東大、6位の中大までがトップと3分差以内となり、ここまでが優勝争いの可能性が残る展開に。一方、全日本2位の山梨学大は4区終了時で5位につけていたが、留学生で初めて5区に起用されたデビット・カリウキ(3年)が区間11位と振るわず8位まで転落した。

6区では駒大の吉田繁(2年)が神奈川大を抜いて再び先頭を奪取。順大が2位に浮上し、5位でスタートした大東大の金子宜隆(4年)が前回自身が打ち立てた区間記録には43秒及ばなかったものの、区間賞の走りで3位まで順位を上げた。

7区以降では駒大の強さが光る。7区の揖斐祐治(4年)が区間3位、8区の塩川雄也(1年)が区間2位、9区の高橋正仁(4年)が区間賞。徐々に後続との差を広げ、最後はアンカーの河村修一(4年)が悠々と2年ぶりのVテープを切った。

エースの岩水嘉孝(4年)を直前の肺気胸で欠いた順大が総合2位。2区、3区、7区と区間賞を獲得し、10区の櫻井勇樹(4年)も区間記録を1秒上回る区間トップの走りを見せた早大が6年ぶりにトップ3に返り咲いた。往路6位だった中大は復路で順位を上げて4位でフィニッシュ。1987年から続く連続5位以内を堅守した。

シード権争いはこの年も激戦となり、5年ぶりの出場となった亜細亜大が7位で1996年以来となるシード権確保。帝京大が8位となり、山梨学大が3年連続9位で歴史をつないだ。日大は9区終了時で7位につけていたものの、10区で3つ順位を落としてシード圏外へ。56秒差で涙をのんだ。

参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)

2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの)

第78回(2002年/平成14年) 駒大が2年ぶりV奪還!往路は神奈川大が優勝、今も記憶に残る壮絶な2区

出雲駅伝1位、全日本大学駅伝3位の順大と、出雲2位、全日本1位の駒大。前回の優勝、準優勝の両校が再び“紫紺対決”を繰り広げた。前回出場校のうち拓大、國学院大、平成国際大が予選会で姿を消し、亜細亜大が5年ぶり、専大が4年ぶり、関東学院大が2年ぶりに本戦出場を果たした。 往路はすべての区間で先頭が入れ替わる大混戦。1区はスローペースで推移し、残り300mでスパートした順大の入船満(4年)が区間賞を獲得。1秒差で神奈川大、さらに2秒差で中大が続き、最下位(15位)の日大までが45秒差という僅差で戦国駅伝が幕を開けた。 2区では順大、神奈川大、中大、山梨学大の4校が先頭集団を形成し、10秒ほど後方で9人の5位集団が追う展開に。5km過ぎ、第2集団を牽引していた法大の徳本一善(4年)がペースアップを図ろうとした瞬間にふくらはぎを肉離れ。2年時に1区区間賞、3年時には2区で3位からトップを奪う快走を見せた絶対的エースが無念の途中棄権に終わった。 その後、先頭争いは山梨学大のオンベチェ・モカンバ(1年)が抜け出し、トップで戸塚中継所へタスキリレー。11秒差で早大が続き、8位の大東大までが1分差と、ここでも大きな差は生まれなかった。 3区では早大の森本哲(3年)が区間賞の快走で首位に浮上。優勝候補の順大はこの区間で8位に転落した一方で、2区終了時で9位と出遅れていた駒大が猛烈な追い上げを見せた。3区の島村清孝(3年)が区間2位の好走で4位まで順位を上げると、4区では松下龍治(3年)が区間2位に1分以上の差をつける区間トップの走りで一気に先頭へ。5区の1年生・田中宏樹にタスキを託した。 山上りの5区では快調に歩を進める田中に対し、後方から神奈川大の吉村尚悟(2年)、さらに後ろから順大の野口英盛(4年)が猛烈な勢いで追い上げを見せた。中盤以降は強い向かい風が吹き荒れるコンディションとなるなか、吉村が16.5km付近で首位に浮上。田中も19kmまでは懸命に食らいついたものの、神奈川大が4年ぶりに往路優勝を達成した。駒大が23秒差で2位となり、8位から5人を抜いた順大の野口が47秒差の3位でフィニッシュした。 4位の早大、5位の大東大、6位の中大までがトップと3分差以内となり、ここまでが優勝争いの可能性が残る展開に。一方、全日本2位の山梨学大は4区終了時で5位につけていたが、留学生で初めて5区に起用されたデビット・カリウキ(3年)が区間11位と振るわず8位まで転落した。 6区では駒大の吉田繁(2年)が神奈川大を抜いて再び先頭を奪取。順大が2位に浮上し、5位でスタートした大東大の金子宜隆(4年)が前回自身が打ち立てた区間記録には43秒及ばなかったものの、区間賞の走りで3位まで順位を上げた。 7区以降では駒大の強さが光る。7区の揖斐祐治(4年)が区間3位、8区の塩川雄也(1年)が区間2位、9区の高橋正仁(4年)が区間賞。徐々に後続との差を広げ、最後はアンカーの河村修一(4年)が悠々と2年ぶりのVテープを切った。 エースの岩水嘉孝(4年)を直前の肺気胸で欠いた順大が総合2位。2区、3区、7区と区間賞を獲得し、10区の櫻井勇樹(4年)も区間記録を1秒上回る区間トップの走りを見せた早大が6年ぶりにトップ3に返り咲いた。往路6位だった中大は復路で順位を上げて4位でフィニッシュ。1987年から続く連続5位以内を堅守した。 シード権争いはこの年も激戦となり、5年ぶりの出場となった亜細亜大が7位で1996年以来となるシード権確保。帝京大が8位となり、山梨学大が3年連続9位で歴史をつないだ。日大は9区終了時で7位につけていたものの、10区で3つ順位を落としてシード圏外へ。56秒差で涙をのんだ。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)

第78回箱根駅伝総合成績をチェック

●総合成績 1位 駒大 11時間05分35秒 2位 順大 11時間09分34秒 3位 早大 11時間09分54秒 4位 中大 11時間12分58秒 5位 大東大 11時間13分15秒 6位 神奈川大 11時間16分29秒 7位 亜細亜大 11時間21分33秒 8位 帝京大 11時間21分39秒 9位 山梨学大 11時間21分44秒 10位 日大 11時間22分40秒 11位 日体大 11時間23分36秒 12位 関東学院大 11時間29分23秒 13位 専大 11時間33分42秒 14位 東海大 11時間34分19秒 途中棄権  法大 ●区間賞一覧 1区 入船満(順大) 1時間04分21秒 2区 原田正彦(早大4)  1時間08分35秒/O.モカンバ(山梨学大) 1時間08分35秒 3区 森村哲(早大) 1時間04分27秒 4区 松下龍治(駒大) 1時間02分24秒 5区 野口英盛(順大) 1時間12分32秒 6区 金子宣隆(大東大) 59分04秒 7区 空山隆児(早大) 1時間03分33秒 8区 中川拓郎(順大) 1時間04分53秒 9区 高橋正仁(駒大) 1時間09分31秒 10区 櫻井勇樹(早大) 1時間10分18秒

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.19

トップアスリートとの交流会 中島佑気ジョセフ、小池祐貴、栁田大輝、廣中璃梨佳、山本有真も参加/RIKUJOフェスティバル

日本陸連は11月19日、RIKUJOフェスティバル(11月29日/東京・国立競技場)で実施するトップアスリートとのゲスト交流会に新たに参加する選手を発表した。 すでに、13人のアスリートが参加することが発表されているが、 […]

NEWS 全中駅伝に出場する女子48チームが出そろう 3連覇狙う京山をはじめ、大沢野、松橋などが全国切符 櫛形は20回目

2025.11.19

全中駅伝に出場する女子48チームが出そろう 3連覇狙う京山をはじめ、大沢野、松橋などが全国切符 櫛形は20回目

9月から開催されてきた第33回全国中学校駅伝(12月14日)の都道府県予選が11月16日をもって終了し、47都道府県の代表に開催地枠で出場するチームを加えた全48チームが出そろった。 女子は前回の全国大会で2連覇を飾った […]

NEWS 全中駅伝男子・出場チームが決定! 17チームが初出場 塩山は第1回大会以来32年ぶり 京山、三島の全国V経験校も

2025.11.19

全中駅伝男子・出場チームが決定! 17チームが初出場 塩山は第1回大会以来32年ぶり 京山、三島の全国V経験校も

9月から開催されてきた第33回全国中学校駅伝(12月14日)の都道府県予選が11月16日をもって終了し、47都道府県の代表に開催地枠で出場するチームを加えた全48チームが出そろった。 男子は2年前に全国制覇を達成している […]

NEWS マラソン日本記録保持者・鈴木健吾が神奈川大のアンバサダー就任 「刺激や勇気を届けられる存在でありたい」

2025.11.19

マラソン日本記録保持者・鈴木健吾が神奈川大のアンバサダー就任 「刺激や勇気を届けられる存在でありたい」

神奈川大は11月19日、男子マラソン日本記録保持者でOBの鈴木健吾が陸上部のアンバサダーに就任したと発表した。 鈴木は箱根駅伝では3年連続で2区を担い、3年時に区間賞を獲得。4年時には東京マラソンで2時間10分21秒で走 […]

NEWS 岡山・京山が今年も男女ともに全国出場! 全中1500m優勝・是枝愛香を擁する内部は26年ぶり/中学駅伝

2025.11.19

岡山・京山が今年も男女ともに全国出場! 全中1500m優勝・是枝愛香を擁する内部は26年ぶり/中学駅伝

12月14日に行われる第33回全国中学校駅伝の出場を懸けた県大会が、11月14日から16日にかけて、全国10県で行われた。 14日の岡山県大会では、2年前に全国男女優勝、女子は昨年も連覇を飾った京山が圧倒的な継走を披露。 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top