写真/時事
◇東京五輪(7月30日~8月8日/国立競技場)陸上競技1日目
中学生時代から変わらぬトレードマークのキャップを1人だけ被って女子5000m予選のスタートラインに立った廣中璃梨佳(日本郵政グループ)。いつもと違うのは、その帽子に「JAPAN」と刺繍されていたこと。
20歳で挑んだ初めての五輪。5000mと10000mで代表となり、陸上の初日、女子5000m予選では1組目に登場した。
廣中は序盤からトップを快走。1000mは3分、2000mは5分59秒で通過する。「私らしく積極的に」。ここもいつもと変わらぬスタンス。3000mを前に3番手に落ち、「もう一段ギアを上げたかった」を振り返る。最後はあごが上がりながらも粘りきり、14分55秒87で9着。自身が持っていた日本歴代3位を更新する五輪日本人最高タイムをマークした。
レース後、「たくさんの支えがあった」と感謝の言葉から始めたのも廣中らしい。「怖い物知らずでいきました。こういう舞台で自己ベストが出せて自信になります」。この時点で2組目の結果次第で決勝進出できるかどうかが決まる状況。「(2組目の)田中希実先輩を応援したい」と語っていたが、最終的にタイムで拾われて決勝進出が決まった。
長崎・桜が原中時代に、一躍脚光を浴びたのは駅伝。3年時の全国都道府県女子駅伝で区間賞を獲得して、その力強い走りで注目を集めた。長崎商高に進学すると、高3時に全国高校駅伝にチームを導いている。都道府県女子駅伝では中3から実業団1年目の2020年まで5年連続区間賞。どんな時もお守り代わりにキャップを被っていた。
以前は疲れが出ると首が“くねくね”となり、あごが上がる傾向もあったが、日本郵政グループ加入後は「体幹トレーニングなどに力を入れた」ことで軸がぶれず、最後まで力強い走りができるようになった。
昨年12月の日本選手権5000mでは東京参加標準記録を突破していたため優勝すれば即内定だったものの田中に敗れ2位。それでも今季は5月の日本選手権10000mで優勝して五輪切符をつかむと、こだわりのある5000mは6月の日本選手権を制して2種目代表を勝ち取った。
「オリンピックは自国開催ということもあり、特別な大会だと肌で感じました」
初の五輪で初のファイナル。田中、そして萩谷楓(エディオン)は敗退したため、決勝は日本人1人。だが、どんな状況でも廣中は「私らしく」走る。8月2日21時40分スタート予定の決勝。廣中の走りをすれば、福士加代子(ワコール)の持つ14分53秒22の日本記録更新、そして入賞も不可能ではない。

|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.05.01
坂井隆一郎、中島佑気ジョセフ、水久保漱至らがケガのため欠場/セイコーGGP
-
2025.05.01
-
2025.05.01
-
2025.05.01
-
2025.04.30
2025.04.29
100mH田中佑美が予選トップ通過も決勝棄権「故障ではない」昨年の結婚も明かす/織田記念
-
2025.04.28
-
2025.04.26
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.04.12
-
2025.04.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.05.01
KIPRUNが環境に優しい新たなシューズを発表 接着剤不使用の「KIPX」はリサイクル可能な次世代アイテム
KIPRUNは4月上旬、フランス・パリで発表会を行い、新たなブランドロゴを発表するとともに、今後日本国内でも発売を予定している新モデルシューズを発表した。 競歩世界チャンピオンも愛用したシューズ 2021年にブランド初の […]
2025.05.01
セイコーGGPトラック種目の海外選手を発表! 100mにパリ五輪4継金メダルブレーク、110mHに同7位ベネットら
日本陸連は5月1日、セイコーゴールデングランプリ2025(5月18日/東京・国立競技場)の出場選手第10弾としてトラック種目の海外選手を発表した。 男子100mには昨年のパリ五輪男子4×100mリレーで金メダルのジェロー […]
2025.05.01
東京メトロに伊東明日香が入部 「競技が続けられる環境があることに感謝」
東京メトロは5月1日、伊東明日香が入部したと発表した。今年3月31日に埼玉医科大グループを退部していた。 伊東は東京・順天高時代から全国高校駅伝に出場。東洋大進学後は全日本女子大学駅伝や富士山女子駅伝など全国大会に出走し […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)