◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)4日目
東京世界陸上4日目のイブニングセッションが行われ、男子400m準決勝で中島佑気ジョセフ(富士通)が44秒53をマークし、2着で決勝進出を果たした。
34年前、旧国立競技場を熱狂させた選手の1人が、男子400mの高野進。短距離種目で日本人初の決勝進出を果たし、7位に入賞した。当時、高野が大会に向けて口にしていた言葉「ファイナリスト」は、その後スポーツ界に広がっていった。
34年の月日を経て、再び東京に戻ってきた世界陸上で、高野以来2人目の男子400mのファイナリストが誕生した。その瞬間、新しくなった国立競技場には、当時に負けない大歓声が響き渡る。
「感慨深いですね。地元開催の世界陸上は初めてで、これが最後の機会。このチャンスを逃さず、目標を達成できたことは本当に幸せです」と中島。自身としても、前回大会であと一歩のところで逃した舞台にたどりついた喜びに浸る。
今季はケガや体調不良が重なり、シーズンインが7月上旬の日本選手権まで遅れた。だが、そこから着実に調子を上げ、万全の状態で今大会を迎えていた。
レースプランも、昨年は海外勢のスピードを意識して前半から攻める流れを作ったが、今季は持ち味の後半を生かす流れを選択。予選では後半に一気にポジションを上げて44秒44の日本新記録を樹立し、準決勝もそれを再現した。
「一か八か突っ込んでくる選手がいることは想定の上」と前半からハイペースを刻む海外勢の中で自分の走りに集中する。「自信をしっかりと確立できていました」。そして、「残り150mで勝負していこう」。徐々にポジションを上げ、最後の直線では6番手あたりから前の選手をごぼう抜き。「プラン通りに行けて良かったです」とうなずく。
44秒中盤を2本そろえても、「まだ修正できるところがある」と言う。
「前半をもう少し行って、後半もまとめられればメダルも見えてくる」
91年の高野は、決勝は7位だった。「自分を信じてやっていきたい」と力強く語る中島は、どんな順位で国立競技場のトラック1周を駆け抜けるか。
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