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2025.03.07

編集部コラム「呼び名」

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★月陸編集部★
攻め(?)のアンダーハンド
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毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!

第280回「呼び名(船越陽一郎)

「山の名探偵」を取材させていただいた際に、私にもかつて呼び名があったことを、ふっと思い出しました。
とは言っても、工藤選手の様に大々的に呼ばれていたわけではなく ほんの一部の仲間内にだけ呼ばれていたものですが……。

私が通っていた高校に野良犬(?)が、入り込んでしまった事がございました。
しばらく 高校にその犬は滞在していたのですが、首輪をしていましてその首輪に「ヨーイチロウ」と書いてあったのですが、ほどなくその犬には「ヨーイチロウ」という呼び名が付きました。

それまで私に対しては特に何もなかったのですが、ある時 私に「犬」という呼び名が付いてしまいました。実質 その犬に名前をとられてしまったのです。

とは言っても、私としては正直全く気にはならなかったので そのままにしていましたら、犬はいなくなり 私を「犬」と呼ぶ人間もほぼいなくなりました。

しかしながら、一人だけ私を「犬」と呼び続ける人がいました。
それは、部活の監督でした。

その呼び名は卒業する少し前まで呼ばれ続けることとなり、公式戦の試合中でしたり 叱られている(ご指導をいただいている)時の呼び方も その「犬」という呼ばれ方をしていました。今 思い返すと異常ですよね……。(笑)

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ですが、当時の私はまったく気にも留めていませんでした。
私の関心ごとは、監督からどう見られているのか でしたから。

監督は、その昔 本練習後のだらだらと自主練習をしているみんなを集めて言いました。
「努力というものは、誰も見ていないところでやるものだ。だから、俺の前でする必要はない。安心しろ。俺は、どんな些細な成長も見逃さないから。」
そんなことを言ってくれる人が、面白半分に変な呼び名をつけるはずがありません。

私は 監督のことが怖かったですし 苦手でしたが、尊敬していました。
きっとその辺のことも察しての呼び名だったのでしょう。

私の在学中に監督は「俺は、真剣に全国制覇を狙っている」とみんなの前で言っていました。
私は、とても自分たちの事だとは思えず、「何か凄いことを言っているなあ……」くらいにしか思っていませんでした。

それから、私が高校を卒業して15年後。本当に全国制覇を成し遂げるのでした。

カッコイイというのはこういうことを言うのだと思います。

「山の名探偵」には及びませんが、このエピソードを知ると「犬」という呼び名も悪くないでしょう?

船越陽一郎(ふなこし・よういちろう)
月刊陸上競技写真部
1974年12月生まれ 172cm ○0kg 福岡県春日市出身
小学生の時に身体が弱く 喘息持ちだったため、鍛えるためにラグビーを始め「走れば治る」が口癖のドSのコーチに肉体改造される。大学までラグビーを続けるも卒業と同時に引退。何を思ったか社会人でボクシングを始める。戦績 3戦3敗(3KO負け) 秘密兵器の左フックを編み出すも、秘密のまま引退。なんじゃかんじゃあって現在に至る。

過去の編集部コラムはこちら

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第280回「呼び名(船越陽一郎)

「山の名探偵」を取材させていただいた際に、私にもかつて呼び名があったことを、ふっと思い出しました。 とは言っても、工藤選手の様に大々的に呼ばれていたわけではなく ほんの一部の仲間内にだけ呼ばれていたものですが……。 私が通っていた高校に野良犬(?)が、入り込んでしまった事がございました。 しばらく 高校にその犬は滞在していたのですが、首輪をしていましてその首輪に「ヨーイチロウ」と書いてあったのですが、ほどなくその犬には「ヨーイチロウ」という呼び名が付きました。 それまで私に対しては特に何もなかったのですが、ある時 私に「犬」という呼び名が付いてしまいました。実質 その犬に名前をとられてしまったのです。 とは言っても、私としては正直全く気にはならなかったので そのままにしていましたら、犬はいなくなり 私を「犬」と呼ぶ人間もほぼいなくなりました。 しかしながら、一人だけ私を「犬」と呼び続ける人がいました。 それは、部活の監督でした。 その呼び名は卒業する少し前まで呼ばれ続けることとなり、公式戦の試合中でしたり 叱られている(ご指導をいただいている)時の呼び方も その「犬」という呼ばれ方をしていました。今 思い返すと異常ですよね……。(笑) ですが、当時の私はまったく気にも留めていませんでした。 私の関心ごとは、監督からどう見られているのか でしたから。 監督は、その昔 本練習後のだらだらと自主練習をしているみんなを集めて言いました。 「努力というものは、誰も見ていないところでやるものだ。だから、俺の前でする必要はない。安心しろ。俺は、どんな些細な成長も見逃さないから。」 そんなことを言ってくれる人が、面白半分に変な呼び名をつけるはずがありません。 私は 監督のことが怖かったですし 苦手でしたが、尊敬していました。 きっとその辺のことも察しての呼び名だったのでしょう。 私の在学中に監督は「俺は、真剣に全国制覇を狙っている」とみんなの前で言っていました。 私は、とても自分たちの事だとは思えず、「何か凄いことを言っているなあ……」くらいにしか思っていませんでした。 それから、私が高校を卒業して15年後。本当に全国制覇を成し遂げるのでした。 カッコイイというのはこういうことを言うのだと思います。 「山の名探偵」には及びませんが、このエピソードを知ると「犬」という呼び名も悪くないでしょう?
船越陽一郎(ふなこし・よういちろう) 月刊陸上競技写真部 1974年12月生まれ 172cm ○0kg 福岡県春日市出身 小学生の時に身体が弱く 喘息持ちだったため、鍛えるためにラグビーを始め「走れば治る」が口癖のドSのコーチに肉体改造される。大学までラグビーを続けるも卒業と同時に引退。何を思ったか社会人でボクシングを始める。戦績 3戦3敗(3KO負け) 秘密兵器の左フックを編み出すも、秘密のまま引退。なんじゃかんじゃあって現在に至る。
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