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2024.12.31

7年ぶり制覇の立命大「本当の日本一」目指し全日本V後も歩み止めず「もう一段強く」/富士山女子駅伝
7年ぶり制覇の立命大「本当の日本一」目指し全日本V後も歩み止めず「もう一段強く」/富士山女子駅伝

富士山女子駅伝2024を制した立命大

◇全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝、12月30日/静岡・富士山本宮浅間大社前〜富士総合運動公園陸上競技場:7区間43.4km)

富士山女子駅伝が行われ、立命大が2時間21分09秒の大会新で優勝した。

10月の全日本大学女子駅伝を9年ぶりに制した立命大。杜の都で喜びを分かち合った後も、そこで満足し、歩みを止めることはなかった。

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「全日本大学女子駅伝で優勝はしたけれど、富士山(女子駅伝)で勝たないと本当に勝ったとは思えない。そこから もう一段階強くなれるように取り組んできました」

主将の村松灯(4年)がそう語るように、11月からの競技会では多くの選手が自己記録を更新。チームとしてまさに“もう一段階強くなって”、今大会を迎えていた。

1区を担ったのは昨年に続いて太田咲雪(2年)。「今年はしっかりと最初から攻めの気持ちで走ることを意識した」と、序盤から集団の前方でレースを進めた。1.6kmで飛び出した全日本学生選抜の小川陽香(立教大2)にはついて行かなかったが、トップと15秒差の3位で役割を果たす。

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村松は日体大の齋藤みう(4年)や大東大の野田真理耶(2年)といった実力者と、激しいつばぜり合いを演じながら3位をキープ。3、4区のルーキーコンビは、キャプテンの力走を自身の力に変えてチームを勢いづけた。

森安桃風は「去年までは高校生で、テレビで見てきたあこがれの舞台だった」と、3区区間賞の快走で順位を2位に押し上げる。4区の山本釉未はレース前、十倉みゆきコーチからの電話で「ここでどうにか頭一つ抜け出したほしい」という言葉をかけられ、「自分が期待されているのがうれしかった。心に一気にスイッチが入った」と言う。

並走していた日体大の山﨑りさ(4年)をラスト400mで振り切り、従来の記録を1秒上回る区間新。全日本2区に続く区間賞で、2位に7秒差の貯金を作って中継所に飛び込んだ。

最長10.5kmの5区に入った土屋舞琴(3年)は、2つ順位を落としたものの、首位に立った大東大とは31秒差、2位の日体大とは5秒差で粘りを見せる。あとは、村松とともにチームを支えてきた2人の最上級生に託された。

6区に入った福永楓花(4年)は、この日、誰よりも燃えていたかもしれない。チームが歓喜に沸いた全日本は補欠だった。「全日本で優勝したことがうれしかった反面、選手として走れなかったのがすごく悔しくて、そこからは富士山だけのために懸けてきました」と気迫みなぎる走りを披露。3.5kmでトップを行く大東大を捕らえると、最終盤に日体大を引き離し、区間記録を15秒も更新する区間新をマークした。

再び勢いづいた立命大は、アンカーの中地こころ(4年)も「私はどの位置でタスキをもらっても必ず優勝のゴールテープを切ると決めていた」と果敢に攻める。中盤から始まる険しい山上りもスムーズに上り、後続をぐんぐん引き離した。中地も区間賞の快走で、立命大は2時間21分09秒の大会新記録でフィニッシュ。7年ぶり6回目、前身の大会を含めると12回目の優勝をつかみ、全日本大学女子駅伝との2冠に輝いた。

杉村憲一監督は選手たちを称え、目を細める。

「今年度のチームは全日本大学駅伝と富士山女子駅伝の両方を制して、本当の日本一になるという目標を掲げて、1年間、キャプテンの村松を中心にトレーニングを積んできました。実際に2つの大会を優勝するという目標を達成できて、本当に素晴らしい、すごい子たちだなと。4回生を中心とした素晴らしいチームができたことが今回の優勝につながったと思っています」

競技力もメンタル面も強力な4年生がチームを引っ張り、名門・立命大が学生女子長距離界の主役に返り咲いた2024年シーズンが幕を閉じた。

文/小野哲史

◇全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝、12月30日/静岡・富士山本宮浅間大社前〜富士総合運動公園陸上競技場:7区間43.4km) 富士山女子駅伝が行われ、立命大が2時間21分09秒の大会新で優勝した。 10月の全日本大学女子駅伝を9年ぶりに制した立命大。杜の都で喜びを分かち合った後も、そこで満足し、歩みを止めることはなかった。 「全日本大学女子駅伝で優勝はしたけれど、富士山(女子駅伝)で勝たないと本当に勝ったとは思えない。そこから もう一段階強くなれるように取り組んできました」 主将の村松灯(4年)がそう語るように、11月からの競技会では多くの選手が自己記録を更新。チームとしてまさに“もう一段階強くなって”、今大会を迎えていた。 1区を担ったのは昨年に続いて太田咲雪(2年)。「今年はしっかりと最初から攻めの気持ちで走ることを意識した」と、序盤から集団の前方でレースを進めた。1.6kmで飛び出した全日本学生選抜の小川陽香(立教大2)にはついて行かなかったが、トップと15秒差の3位で役割を果たす。 村松は日体大の齋藤みう(4年)や大東大の野田真理耶(2年)といった実力者と、激しいつばぜり合いを演じながら3位をキープ。3、4区のルーキーコンビは、キャプテンの力走を自身の力に変えてチームを勢いづけた。 森安桃風は「去年までは高校生で、テレビで見てきたあこがれの舞台だった」と、3区区間賞の快走で順位を2位に押し上げる。4区の山本釉未はレース前、十倉みゆきコーチからの電話で「ここでどうにか頭一つ抜け出したほしい」という言葉をかけられ、「自分が期待されているのがうれしかった。心に一気にスイッチが入った」と言う。 並走していた日体大の山﨑りさ(4年)をラスト400mで振り切り、従来の記録を1秒上回る区間新。全日本2区に続く区間賞で、2位に7秒差の貯金を作って中継所に飛び込んだ。 最長10.5kmの5区に入った土屋舞琴(3年)は、2つ順位を落としたものの、首位に立った大東大とは31秒差、2位の日体大とは5秒差で粘りを見せる。あとは、村松とともにチームを支えてきた2人の最上級生に託された。 6区に入った福永楓花(4年)は、この日、誰よりも燃えていたかもしれない。チームが歓喜に沸いた全日本は補欠だった。「全日本で優勝したことがうれしかった反面、選手として走れなかったのがすごく悔しくて、そこからは富士山だけのために懸けてきました」と気迫みなぎる走りを披露。3.5kmでトップを行く大東大を捕らえると、最終盤に日体大を引き離し、区間記録を15秒も更新する区間新をマークした。 再び勢いづいた立命大は、アンカーの中地こころ(4年)も「私はどの位置でタスキをもらっても必ず優勝のゴールテープを切ると決めていた」と果敢に攻める。中盤から始まる険しい山上りもスムーズに上り、後続をぐんぐん引き離した。中地も区間賞の快走で、立命大は2時間21分09秒の大会新記録でフィニッシュ。7年ぶり6回目、前身の大会を含めると12回目の優勝をつかみ、全日本大学女子駅伝との2冠に輝いた。 杉村憲一監督は選手たちを称え、目を細める。 「今年度のチームは全日本大学駅伝と富士山女子駅伝の両方を制して、本当の日本一になるという目標を掲げて、1年間、キャプテンの村松を中心にトレーニングを積んできました。実際に2つの大会を優勝するという目標を達成できて、本当に素晴らしい、すごい子たちだなと。4回生を中心とした素晴らしいチームができたことが今回の優勝につながったと思っています」 競技力もメンタル面も強力な4年生がチームを引っ張り、名門・立命大が学生女子長距離界の主役に返り咲いた2024年シーズンが幕を閉じた。 文/小野哲史

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