◇天皇賜盃第93回日本学生対校選手権(9月19日~22日/神奈川県・Uvanceとどろきスタジアムby Fujitsu)3日目
日本インカレの3日目が行われ、女子4×100mリレーは甲南大がパフォーマンス学生歴代3位の44秒58で2連覇を達成した。
1走を務めた青山華依(4年)にとっては、これが最後のインカレ。前回はメンバー外だったため、これが初の日本インカレタイトルとなり、「もうリレーしか優勝する場所がないと思っていたので、リレーで優勝するという気持ちで今日までやってきました」。うれし涙が何度も頬を伝う。
1年時に東京五輪の4×100mリレーに1走として出場。女子短距離のホープとして注目を集める存在となった。だが、その輝かしいキャリアが2年目のシーズンを終えて一変する。ハードル練習中に左膝の前十字靭帯断裂、内側半月板損傷の大ケガを負い、手術、そして長いリハビリ生活を送ることになった。
そのため、昨年の日本インカレの優勝メンバーの中に、青山は入っていない。1、2年時も個人で100m、200mともに入賞していたが、頂点には届かなかった。最後の日本インカレも、個人ではチーム内選考から漏れて出場できず。それでも、「(個人で走れなかったことには)納得しているんです」。
走れない間に、後輩たちは頼もしく成長した。前回大会では100mで藏重みう、岡根和奏、奥野由萌が大会史上初のメダル独占を果たす。今回もその3人の出場に、「すごく良かったですし、うれしいと思っているんです」と言う。
そして、3人と走るリレーでは「足を引っ張らないようにとだけずっと考えていました」。
だが、後輩たちの思いは違う。2走の奥野も、3走の藏重も、4走の岡根も「華依さんの最後のインカレだから」と声をそろえた。そう言ってくれる仲間と過ごせたことを、青山は何よりも感謝する。
「本当に周りに恵まれて、幸せな環境で陸上を続けることとができたので、感謝の気持ちでいっぱいです。後輩、先輩、家族、指導してくれた伊東浩司先生、膝の手術やリハビリでお世話になった先生方に、『本当にありがとうございます』と伝えたいです」
まだ、「以前のような伸びのある走りをしたいけど、どうしてもそれがまだできないんです」と走りの感覚は取り戻せてはいない。それでも、「一番心が落ち着く場所」だった甲南大で過ごした日々は、青山にとって大きな糧となっている。
「来年からまた、大きな試合を目指して頑張りたい。東京世界陸上もあるし、また日本代表に戻って『復活したぞ』という姿を見せたい」
再び世界に挑むために、青山は自分の走りを作り上げていく。
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