2022.11.28
◇クイーンズ駅伝in宮城(11月27日/宮城・松島~仙台、6区間42.195km)
2分余の貯金をもらって悠々と先頭を走った資生堂のアンカー・高島由香。「後ろの心配をする必要がなかったので楽しかったです」と、沿道の声援に手を挙げて応える余裕を見せながら、小気味良いピッチを刻んだ。
競技場に入って、ホームストレートにさしかかると、笑みもこぼれる。だが、フィニッシュテープの向こうに待つチームメイトの姿が目に入った途端、最年長34歳のベテランも一気にあふれ出る感情を抑えることができなかった。
涙の抱擁とハイタッチ。資生堂が2時間12分28秒の大会新記録で、16年ぶり2度目の優勝を飾った瞬間だった。
岡山・興譲館高時代の2005年には全国高校駅伝で、デンソー時代の2013~15年にはこの大会で優勝経験がある高島だが、「今まで経験したどの駅伝よりもうれしいです」と言って、チームの歓喜の輪に加わった。
昨年は積水化学に敗れて2位。2019年、20年と12位が続いた資生堂にすれば大幅な躍進に違いなかったが、選手たちは優勝を逃したことを心底悔しがった。22年に迎える会社創立150周年に向け、ランニングクラブも「改革3ヵ年計画」を打ち出し、それまでヘッドコーチだった岩水嘉孝氏が昨年6月に監督に就任。選手たちの意識レベルは一気に上がった。
今年のオーダーは昨年とほぼ同じで、2区と3区が替わっただけ。2年連続で1区を任された木村友香は、「ここ2年、駅伝にうまく合わせられず悔しい思いをしてきたので」と、スタート直後からためらいもなく飛び出した。
スピードランナーの豊田自動織機・田中希実らがいる中で「怖くはなかったか?」と聞かれると、「仮に田中さんに負けても、ライバルチームの積水化学をいかに引き離すか、だけを考えていたので」とサラリ。
これまでは緊張すると持てる力を発揮できずにいたが、今回は「自分のリズムだけ」に集中して、メンタルを平常に保った。木村は9位の積水化学に50秒の大差をつけて、トップで中継。資生堂の優勝はここでほぼ見えたと言っても過言ではない。
ワコールから移籍して、今年はオレゴン世界選手権のマラソン代表になった一山麻緒が、最長10.9kmの3区。資生堂はここでJP日本郵政グループと積水化学に前を譲り、いったん3位に下がったものの、これも想定内だった。
アメリカから帰国後、チームに合流して寮で皆と生活を共にし、「駅伝優勝」に向けて気運を盛り上げていた一山だが、「追いつかれた時のイメージもあったので、(抜かれても)そこまであせることはなかったです」。ただ、本調子ではなくても「できるだけ差を広げられないように」と、東京五輪入賞のマラソンランナーらしく粘った。
再び首位に立った4区以降は資生堂が圧巻のタスキリレー。1、2区に続き4、5区も区間賞で、後続との差は広がる一方となり、オレゴン世界選手権の10000m代表・5区の五島莉乃は、36秒だった2位との差を2分13秒に広げて6区の高島につないだ。
「私は人生の中でチームの優勝を経験したことがないので、今日は本当に夢を見ているようです」とうれし涙を見せる五島。2年連続区間賞で今大会の最優秀選手に輝いた。
岩水監督は「何が足りなくて昨年勝てなかったのかを反省し、11人の選手全員が意識改革をして、それぞれ自分に何ができるかを考ながら1年間やってきた」ことを勝因に挙げ、選手たちは「走った選手だけでなく補欠の選手やサポートしてくれる方々、社員のみなさん、みんなでつかんだ優勝です」と〝チーム一丸〟を強調する。
まだチームが低迷していた頃の2016年に入社した高島は、「一からやってきたチームが6年かけて優勝するチームになれたことを思うと、ここまで来られたんだなと感慨深い」と話し、「だから今までの優勝より何倍もうれしいんです」と言って、満足そうにうなずいた。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2026.04.01
青学大長距離ブロックがレッドブルとパートナー契約! 「翼をさずかりました」
2026.04.01
キヤノンAC九州にIH800m入賞の朝野流南、インカレ出場の池主茉弥ら5人が新加入
-
2026.04.01
-
2026.04.01
-
2026.04.01
-
2026.04.01
2026.03.31
中央発條の小野田勇次、大津顕杜、浅岡満憲、町田康誠が退部 ニューイヤー駅伝などで活躍
-
2026.03.31
-
2026.03.29
2026.03.16
GMO・吉田圭太と100mHの安達楓恋が結婚!「これからも二人で」青学大の先輩後輩
-
2026.03.31
-
2026.03.07
Latest articles 最新の記事
2026.04.01
飯野摩耶が東農大女子長距離ブロックコーチに就任「恩返しできるように」15年アジア選手権代表
飯野摩耶が自身のSNSを更新し、母校である東農大の女子長距離ブロックコーチに就任したことを発表した。 飯野は1988年生まれの38歳。山梨県出身で中3時に1500mで全中優勝。韮崎高から第一生命に進み、2012年には24 […]
2026.04.01
青学大長距離ブロックがレッドブルとパートナー契約! 「翼をさずかりました」
青学大陸上部長距離ブロックは4月1日、レッドブルとパートナー契約を結んだと発表した。 レッドブルはスケートボードやスキージャンプなどをサポートしており、公開されたインタビュー内で原晋監督は「私たちとまったく異なるジャンル […]
2026.04.01
キヤノンAC九州にIH800m入賞の朝野流南、インカレ出場の池主茉弥ら5人が新加入
キヤノンAC九州は4月1日、同日付で青柳朋花(大阪芸大)、池主茉弥(拓大)、朝野流南(東大阪大敬愛高)、吉田葵唯(九国大付高・福岡)、瀧川ゆめ(大分東明高)の5選手が加入したと発表した。 青柳は千葉県出身。市船橋高から大 […]
2026.04.01
北村夢さんが駿河台大外部コーチに就任「新しい環境での挑戦にワクワク」800m学生記録保持
女子800m学生記録保持者の北村夢さんが自身のSNSを更新し、4月から駿河台大の外部コーチに就任することを明かした。 北村さんは東京出身。名門・東京高時代にはインターハイに出場し、日体大に進学してからさらに飛躍した。4年 […]
Latest Issue
最新号
2026年4月号 (3月13日発売)
別冊付録 記録年鑑 2025
東京マラソン、大阪マラソン、名古屋ウィメンズマラソン