HOME バックナンバー
【誌面転載】男子50km競歩/川野 3時間36分45秒の日本新! 初ビッグタイトルで東京五輪代表に内定
【誌面転載】男子50km競歩/川野 3時間36分45秒の日本新! 初ビッグタイトルで東京五輪代表に内定

第58回全日本50km競歩高畠大会

川野 3時間36分45秒の日本新!
初ビッグタイトルで東京五輪代表に内定

第58回全日本50km競歩高畠大会は10月27日(日)、来年の東京五輪日本代表選手選考競技会を兼ねて開催され、一般男子50kmで東洋大3年の川野将虎が3時間36分45秒の日本新記録を樹立して初制覇。日本陸連が定める東京五輪の派遣設定記録3時間45分00秒を切って優勝したことで東京五輪代表に内定した。

文/向永拓史
撮影/船越陽一郎

広告の下にコンテンツが続きます

酒井俊幸監督(右)、瑞穂コーチとのスリーショット。東洋大競歩ブロックは3大会連続で五輪に代表を送り込んだ

川野将虎 Interview 「東京五輪でベストパフォーマンスを」

スタミナとスピードを並行して強化

昨年のこの大会で初めて50kmに挑戦した川野将虎(東洋大3)3時間47分30秒と日本学生新記録(当時)を樹立したが3位にとどまり、当時の日本記録3時間39分47秒をマークした野田明宏(自衛隊体育学校)の影さえ踏むことができなかった。それから1年。かつての自分の記録も、その時の優勝記録も、そして〝世界一〟の男が作った記録さえ、大幅に更新してみせた。

「1回目(昨年の高畠)より2回目(4月の日本選手権)、2回目より3回目(今年の高畠)と、練習内容も、そこに向けた準備段階も修正することができました。
 初めての50kmは30kmまで身体がすごく動いて『このまま行ける』と思ったら、40km以降に痛い目を見ました。何も準備できていない状態でそういうレースをしてしまったことが反省点でした。
 後半に失速するのが課題だったので、歩く距離・時間を増やしてスタミナをつけ、給水についてもスタミナを維持するための中身やタイミングなど、細かくコーチと相談しながら修正してきました。練習面以外でも、普段の練習に臨むメンタルや食事面など、すべてにおいて常に試合をイメージして取り組むことができたと思います」

軸を意識することでフォームが改善された川野。さらにスタミナ面を強化して来年の五輪へと向かう

長距離の酒井俊幸監督、そして昨年から正式に競歩コーチとなった酒井監督の妻・瑞穂コーチとともに、1月から10月の高畠までを見据えて綿密に練習メニューを組み立てた。特に元競歩選手だった瑞穂コーチの基本に忠実かつ大胆な策がハマった。

実は昨年12月、練習中にハードル補強に挑戦して足首を捻挫。防げた故障だったこともあり厳しく指摘された。ケガの功名で距離を踏めないぶん、「足の痛みがなく歩ける距離でペースの上げ下げを作りました。その上げ下げも細かく設定し、バリエーションも増やしました」と瑞穂コーチ。

50kmの定石だった「1km 4分半ペースで後半スタミナ勝負」だけではなく、途中1km 4分ペースに上げても後半にフォームが崩れないようスタミナを強化した。東洋大長距離が学生駅伝を変えたように、50kmに新風を巻き起こそう、と。目に見えて成果が表れ、「9月までにこのメニューができれば合格点」というラインに到達した。

「ペースを上げるイメージを持ちながら、質(スピード)と距離(スタミナ)を並行して取り組めたことが、スパートの切れ味や20kmに生きました。
フォーム面は後半になると動きが硬くなって、軸がブレて肩が上がってしまい、結果的に脚の動きに影響するのが課題でした。フィジカル面で軸を強化しつつ、ポイント練習では、コーチと細かくフォームを確認しながら修正してきました。
4月の輪島(日本選手権)では鈴木さんがペースを上げた時に少し動きが変わってしまいましたが、今回はより長い時間良い動きが続くようになりました。ペースが上がっても動きがそれほど変わらず、精神的にも余裕を持つことができました。フォームが崩れると痛みが出るのですが、今回はレース後も、痛みがありませんでした。すぐに練習も再開できたので、うまく歩けていたと思います」

※この続きは2019年11月14日発売の『月刊陸上競技12月号』をご覧ください。

第58回全日本50km競歩高畠大会

川野 3時間36分45秒の日本新! 初ビッグタイトルで東京五輪代表に内定

第58回全日本50km競歩高畠大会は10月27日(日)、来年の東京五輪日本代表選手選考競技会を兼ねて開催され、一般男子50kmで東洋大3年の川野将虎が3時間36分45秒の日本新記録を樹立して初制覇。日本陸連が定める東京五輪の派遣設定記録3時間45分00秒を切って優勝したことで東京五輪代表に内定した。 文/向永拓史 撮影/船越陽一郎 酒井俊幸監督(右)、瑞穂コーチとのスリーショット。東洋大競歩ブロックは3大会連続で五輪に代表を送り込んだ

川野将虎 Interview 「東京五輪でベストパフォーマンスを」

スタミナとスピードを並行して強化

昨年のこの大会で初めて50kmに挑戦した川野将虎(東洋大3)3時間47分30秒と日本学生新記録(当時)を樹立したが3位にとどまり、当時の日本記録3時間39分47秒をマークした野田明宏(自衛隊体育学校)の影さえ踏むことができなかった。それから1年。かつての自分の記録も、その時の優勝記録も、そして〝世界一〟の男が作った記録さえ、大幅に更新してみせた。 「1回目(昨年の高畠)より2回目(4月の日本選手権)、2回目より3回目(今年の高畠)と、練習内容も、そこに向けた準備段階も修正することができました。  初めての50kmは30kmまで身体がすごく動いて『このまま行ける』と思ったら、40km以降に痛い目を見ました。何も準備できていない状態でそういうレースをしてしまったことが反省点でした。  後半に失速するのが課題だったので、歩く距離・時間を増やしてスタミナをつけ、給水についてもスタミナを維持するための中身やタイミングなど、細かくコーチと相談しながら修正してきました。練習面以外でも、普段の練習に臨むメンタルや食事面など、すべてにおいて常に試合をイメージして取り組むことができたと思います」 軸を意識することでフォームが改善された川野。さらにスタミナ面を強化して来年の五輪へと向かう 長距離の酒井俊幸監督、そして昨年から正式に競歩コーチとなった酒井監督の妻・瑞穂コーチとともに、1月から10月の高畠までを見据えて綿密に練習メニューを組み立てた。特に元競歩選手だった瑞穂コーチの基本に忠実かつ大胆な策がハマった。 実は昨年12月、練習中にハードル補強に挑戦して足首を捻挫。防げた故障だったこともあり厳しく指摘された。ケガの功名で距離を踏めないぶん、「足の痛みがなく歩ける距離でペースの上げ下げを作りました。その上げ下げも細かく設定し、バリエーションも増やしました」と瑞穂コーチ。 50kmの定石だった「1km 4分半ペースで後半スタミナ勝負」だけではなく、途中1km 4分ペースに上げても後半にフォームが崩れないようスタミナを強化した。東洋大長距離が学生駅伝を変えたように、50kmに新風を巻き起こそう、と。目に見えて成果が表れ、「9月までにこのメニューができれば合格点」というラインに到達した。 「ペースを上げるイメージを持ちながら、質(スピード)と距離(スタミナ)を並行して取り組めたことが、スパートの切れ味や20kmに生きました。 フォーム面は後半になると動きが硬くなって、軸がブレて肩が上がってしまい、結果的に脚の動きに影響するのが課題でした。フィジカル面で軸を強化しつつ、ポイント練習では、コーチと細かくフォームを確認しながら修正してきました。 4月の輪島(日本選手権)では鈴木さんがペースを上げた時に少し動きが変わってしまいましたが、今回はより長い時間良い動きが続くようになりました。ペースが上がっても動きがそれほど変わらず、精神的にも余裕を持つことができました。フォームが崩れると痛みが出るのですが、今回はレース後も、痛みがありませんでした。すぐに練習も再開できたので、うまく歩けていたと思います」 ※この続きは2019年11月14日発売の『月刊陸上競技12月号』をご覧ください。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.06

クイーンズ駅伝エントリー発表! 日本郵政グループ・廣中璃梨佳、積水化学・新谷仁美、しまむら・安藤友香らが登録 第一生命グループは鈴木優花が外れる

11月6日、日本実業団連合は第45回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)のエントリー選手を発表した。 前回4年ぶり4回目の優勝を飾ったJP日本郵政グループはVメンバーの鈴木亜由子、廣中璃梨佳、菅田雅香ら全員が登録。 […]

NEWS 10000m記録挑戦競技会は日体大競技会など3大会と併催 参加資格男子は34分ターゲット

2025.11.06

10000m記録挑戦競技会は日体大競技会など3大会と併催 参加資格男子は34分ターゲット

関東学生陸上競技連盟は、主催の10000m記録挑戦競技会について、今年は11月15日の日体大長距離競技会(横浜市・日体大健志台)、11月22日のMARCH対抗戦(東京・町田市)、11月22日の東海大長距離競技会(秦野市) […]

NEWS RIKUJOフェスティバルに勝木隼人、赤松諒一、佐藤早也伽らトップ選手が参加

2025.11.06

RIKUJOフェスティバルに勝木隼人、赤松諒一、佐藤早也伽らトップ選手が参加

11月6日、日本陸連は11月29日に開催される「RIKUJO フェスティバル in 国立競技場」に参加するゲストアスリートを発表した。 同イベントは連盟創立100周年を記念して開かれるもの。参加者とトップアスリートが一緒 […]

NEWS 北海道・北照高が来春から陸上部で駅伝チームを強化 43年ぶりに再始動 工藤裕行氏が総監督就任

2025.11.06

北海道・北照高が来春から陸上部で駅伝チームを強化 43年ぶりに再始動 工藤裕行氏が総監督就任

11月5日、北照高は2026年春から陸上部において駅伝チームの強化を本格的にスタートすることを発表した。 北照高は北海道小樽市に校舎を置く私立高。野球部は甲子園に春夏あわせて10回出場を数える強豪として知られる。スキー部 […]

NEWS 全国高校駅伝都道府県代表出そろう 前年V佐久長聖&長野東など 最速は男女とも仙台育英 6日から地区大会順次開幕

2025.11.05

全国高校駅伝都道府県代表出そろう 前年V佐久長聖&長野東など 最速は男女とも仙台育英 6日から地区大会順次開幕

全国高校駅伝の出場権を懸けた都道府県高校駅伝が11月4日の埼玉をもってすべて終了し、都道府県代表がすべて出そろった。 昨年の全国大会は男子が佐久長聖、女子は長野東といずれも長野勢が優勝を遂げた。全国2連覇中の佐久長聖は県 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top