HOME ニュース、国内

2021.03.14

悪条件でも強さを発揮した松田瑞生「1人になっても粘れた」/名古屋ウィメンズマラソン
悪条件でも強さを発揮した松田瑞生「1人になっても粘れた」/名古屋ウィメンズマラソン


◇名古屋ウィメンズマラソン(3月14日/愛知県名古屋市・バンテリンドーム ナゴヤ発着)

名古屋市内に時折強い風が吹き荒れる中、松田瑞生(ダイハツ)は日本歴代7位の自己記録(2時間21分47秒)にあと4秒に迫る2時間21分51秒で優勝した。

レース直後の山中美和子監督と抱き合いながら涙を見せた松田。「うれし涙を監督と流したかったんですけど、ちょっとまだ自分の実力が足りず、まだまだ邁進していかないといけないなって感じました」と話し、涙は悔しさを表すものだった。

広告の下にコンテンツが続きます

序盤は事前に設定されたペースを上回る展開だった。第1集団は1km3分20~21秒で30kmまでペースメーカーが先導する予定だったが、1kmあたり3分16~17秒を刻むことも。時折風を受けながら5km16分34秒、10km33分02秒というのは松田の体感的にも想定以上だった。「ペースメーカーがどんどんどんどん前に早くなっていったので、下がってほしくてペースメーカーの名前を呼んでいました」と松田。そのスピードに対応する選手は限られ、13km時点では松田と、佐藤早也伽(積水化学)の2人に絞られた。

その後も風を受けながら5km17分を切るペースで進み、ハーフは1時間10分23秒で通過。佐藤が23km手前で脱落する。30kmでペースメーカーが外れ、ここからは松田の独走となった。

「前半の早いペースでエネルギーを使ってしまい、30kmでは余力はあまりない状態でした。最後まできつくて1km、1kmが長かったです」。35kmまでの5kmは17分02秒とこの日初めて17分を越えたが、次の5kmは16分59秒に戻す。風に苦しみながらも力強いフォームは最後まで変わらず走りきった。「30km以降、1人になって粘りきれた」と松田。マラソン5戦目にして3勝目を挙げた。

昨年は東京五輪代表を逃し、補欠として出席した昨年3月のマラソン代表会見では涙を流した松田。その後もショックから簡単には立ち直れなかった。「スタートラインに立つことさえ怖かった」と言う。それでも、「負けて知る悔しさがすごくありました。励ましのメッセージがすごく多かったので、たくさんの人に元気を与えたいと思いました」と奮起を誓って初の名古屋に挑んだ。

日本選手権10000mで2017、18年の2連覇や、初マラソンとなった18年の大阪国際女子で初マラソン日本歴代3位の2時間22分44秒での優勝と実績を重ねてきた。そんな松田を支えるのが、走ることへの貪欲な姿勢。今大会に向けたトレーニングでは、昨秋の駅伝で腰を痛めたことや、例年行っている海外での高地合宿ができなかったものの、「やることはやってきて、後悔はないと思ってスタートラインに立った」と言うほど、準備はしてきた。「元々プラスアルファの練習をする選手。もういいよって言うぐらい走る」と山中監督。メニューでは月間900kmだったが、さらに本人がプラスして走り込んできたという。また、新シューズにも対応できる身体作りにも取り組んできた。

山中監督は「本人はいろんな意味で負けたと泣いていましたが、私としては風の中であれだけ走れたと思います。いろんな方から、強いというコメントをいただいて、それが彼女の持ち味。それが一番の成果です」と教え子の快走を称えた。

■名古屋ウィメンズマラソン
1位 松田 瑞生(ダイハツ) 2時間21分51秒
2位 佐藤早也伽(積水化学) 2時間24分32秒
3位 松下 菜摘(天満屋)  2時間26分26秒
4位 和久 夢来(ユニバーサルエンターテインメント) 2時間26分30秒
5位 田中 華絵(資生堂)  2時間26分49秒
6位 赤坂よもぎ(スターツ) 2時間26分51秒
7位 上杉 真穂(スターツ) 2時間27分03秒
8位 加藤  岬(九電工)  2時間27分20秒
9位 池田 千晴(日立)   2時間27分39秒
10位 福良 郁美(大塚製薬) 2時間28分31秒

◇名古屋ウィメンズマラソン(3月14日/愛知県名古屋市・バンテリンドーム ナゴヤ発着) 名古屋市内に時折強い風が吹き荒れる中、松田瑞生(ダイハツ)は日本歴代7位の自己記録(2時間21分47秒)にあと4秒に迫る2時間21分51秒で優勝した。 レース直後の山中美和子監督と抱き合いながら涙を見せた松田。「うれし涙を監督と流したかったんですけど、ちょっとまだ自分の実力が足りず、まだまだ邁進していかないといけないなって感じました」と話し、涙は悔しさを表すものだった。 序盤は事前に設定されたペースを上回る展開だった。第1集団は1km3分20~21秒で30kmまでペースメーカーが先導する予定だったが、1kmあたり3分16~17秒を刻むことも。時折風を受けながら5km16分34秒、10km33分02秒というのは松田の体感的にも想定以上だった。「ペースメーカーがどんどんどんどん前に早くなっていったので、下がってほしくてペースメーカーの名前を呼んでいました」と松田。そのスピードに対応する選手は限られ、13km時点では松田と、佐藤早也伽(積水化学)の2人に絞られた。 その後も風を受けながら5km17分を切るペースで進み、ハーフは1時間10分23秒で通過。佐藤が23km手前で脱落する。30kmでペースメーカーが外れ、ここからは松田の独走となった。 「前半の早いペースでエネルギーを使ってしまい、30kmでは余力はあまりない状態でした。最後まできつくて1km、1kmが長かったです」。35kmまでの5kmは17分02秒とこの日初めて17分を越えたが、次の5kmは16分59秒に戻す。風に苦しみながらも力強いフォームは最後まで変わらず走りきった。「30km以降、1人になって粘りきれた」と松田。マラソン5戦目にして3勝目を挙げた。 昨年は東京五輪代表を逃し、補欠として出席した昨年3月のマラソン代表会見では涙を流した松田。その後もショックから簡単には立ち直れなかった。「スタートラインに立つことさえ怖かった」と言う。それでも、「負けて知る悔しさがすごくありました。励ましのメッセージがすごく多かったので、たくさんの人に元気を与えたいと思いました」と奮起を誓って初の名古屋に挑んだ。 日本選手権10000mで2017、18年の2連覇や、初マラソンとなった18年の大阪国際女子で初マラソン日本歴代3位の2時間22分44秒での優勝と実績を重ねてきた。そんな松田を支えるのが、走ることへの貪欲な姿勢。今大会に向けたトレーニングでは、昨秋の駅伝で腰を痛めたことや、例年行っている海外での高地合宿ができなかったものの、「やることはやってきて、後悔はないと思ってスタートラインに立った」と言うほど、準備はしてきた。「元々プラスアルファの練習をする選手。もういいよって言うぐらい走る」と山中監督。メニューでは月間900kmだったが、さらに本人がプラスして走り込んできたという。また、新シューズにも対応できる身体作りにも取り組んできた。 山中監督は「本人はいろんな意味で負けたと泣いていましたが、私としては風の中であれだけ走れたと思います。いろんな方から、強いというコメントをいただいて、それが彼女の持ち味。それが一番の成果です」と教え子の快走を称えた。 ■名古屋ウィメンズマラソン 1位 松田 瑞生(ダイハツ) 2時間21分51秒 2位 佐藤早也伽(積水化学) 2時間24分32秒 3位 松下 菜摘(天満屋)  2時間26分26秒 4位 和久 夢来(ユニバーサルエンターテインメント) 2時間26分30秒 5位 田中 華絵(資生堂)  2時間26分49秒 6位 赤坂よもぎ(スターツ) 2時間26分51秒 7位 上杉 真穂(スターツ) 2時間27分03秒 8位 加藤  岬(九電工)  2時間27分20秒 9位 池田 千晴(日立)   2時間27分39秒 10位 福良 郁美(大塚製薬) 2時間28分31秒

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.24

女子はレムンゴルが2連覇達成 男子はサミュエルがV/全米学生クロカン

11月22日、米国ミズーリ州コロンビアで全米学生クロスカントリー選手権が行われ、女子(6km)はD.レムンゴル(アラバマ大/ケニア)が18分25秒4で連覇を飾った。 レムンゴルはケニア出身の23歳。23年秋にアラバマ大に […]

NEWS 七種競技女王・ホール NFLスター選手と婚約発表 マクローリン・レヴロンらも祝福

2025.11.24

七種競技女王・ホール NFLスター選手と婚約発表 マクローリン・レヴロンらも祝福

女子七種競技東京世界選手権金メダリストのA.ホール(米国)が婚約を自身のSNSで発表した。お相手はNFL選手でニューヨーク・ジャイアンツ所属のダリアス・スレイトンさん。「初めて出会った場所で、永遠を誓う」というテキストと […]

NEWS バットクレッティ 今季初V 男子はキプサングがツアー3勝目/WAクロカンツアー

2025.11.24

バットクレッティ 今季初V 男子はキプサングがツアー3勝目/WAクロカンツアー

11月23日、世界陸連(WA)クロスカントリーツアー・ゴールド第6戦のアタプエルカ国際クロスがスペイン・アタプエルカで行われ、女子(6.821km)はパリ五輪・東京世界選手権10000m銀メダリストのN.バットクレッティ […]

NEWS 円盤投・湯上剛輝が2大会ぶり世界一「やっと取れた」デフリンピック新の58m93

2025.11.24

円盤投・湯上剛輝が2大会ぶり世界一「やっと取れた」デフリンピック新の58m93

聴覚障害者のスポーツ国際大会、デフリンピックの陸上競技が行われ、男子円盤投の湯上剛輝(トヨタ自動車)が金メダルを獲得した。 64m48の日本記録を持ち、今年の東京世界選手権にも出場した湯上。「理想の展開としては1回目にし […]

NEWS 3区で五島莉乃と廣中璃梨佳が熱走!東京世界陸上はじめ「日本代表」たちが力走/クイーンズ駅伝

2025.11.24

3区で五島莉乃と廣中璃梨佳が熱走!東京世界陸上はじめ「日本代表」たちが力走/クイーンズ駅伝

◇第45回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝:11月23日/宮城・松島町文化観光交流館前~弘進ゴムアスリートパーク仙台、6区間42.195km) 女子駅伝日本一を懸けた全日本実業団対抗女子駅伝が行われ、「日本代表」 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top