【シューズレポ】
サブスリー編集者が語る!!
プーマ「DEVIATE NITRO(ディヴィエイト ニトロ)」
中学時代から陸上競技に取り組み、今も市民ランナーとして走り続けている月陸編集者(マラソンの自己ベストは2時間43分)が、注目のシューズをトライアル! 今回はプーマの厚底レーシングシューズ「ディヴィエイト ニトロ」(税込19,800円)を紹介する。
プーマの厚底レーシングシューズ「DEVIATE NITRO(ディヴィエイト ニトロ)」
幅広いランナーに対応する性能
コンセプトは“誰でも履けるみんなの厚底”。プレート内蔵の厚底レーシングシューズが一世を風靡しているランニング界にプーマが本格参戦だ。
プーマは新素材「NITRO FOAM(ニトロフォーム)」をミッドソールに搭載した新作ランニングシューズ4モデルを2月18日から発売。その中でも「DEVIATE NITRO(ディヴィエイト ニトロ)」は、「ビギナーランナーからトップ選手まで」をターゲットにしたレーシングモデルとなっている。
ディヴィエイト ニトロの特徴は、ミッドソール全体にニトロフォームを採用し、そこにスプーン状のカーボンプレート「INNO PLATE(イノープレート)」を内蔵していること。ニトロフォームは窒素ガス(Nitro)を加えて作り上げた素材で、オーソドックスなクッション材であるEVAに比べて46%もの軽量化に成功。最大80%という高いエネルギーリターン率を誇り、高反発性とソフトなクッション性を両立している。
そして、先端が二股に分かれたイノープレートは接地が不安定になりがちな初心者ランナーでもロスを減らし、力を中心に集めやすい構造になっている。プレートの湾曲も最小限に抑えられ、フォアフット接地(前足部着地)だけでなくフラット接地やヒールストライク(踵着地)のランナーでも推進力を得やすいように配慮されている。それでいてプレートの効果は1km3分30秒から3分00秒のスピードで最大化するように設計されているそうで、上級者のレースにも対応できるスペックとなっている。
アウトソール中央部分にある窓から見えるのがプーマが開発したカーボンプレート「INNO PLATE」。なお、アウトソールのグリップ力も強い
柔らかくてよく弾む
では、実際に履いて走ってみた感想はどうだったか。結論から言うと、「トップレーシングモデル」と呼ぶには心もとないものの、「想像以上にいい」という印象だ。
サイズ感は標準的で、普段25.0~25.5cmの靴を履くことの多い筆者は25.0cmで問題なし。重量は27.0cmで約255gと、レーシングシューズとしてはかなり重い部類になるが、いざ走ってみると重さはあまり気にならない。その理由は、重さを感じさせないほどに靴が軽快さを生み出してくれるからだ。
ニトロフォームを全面に使用したミッドソールは非常に柔らかく、ロードでもフワッとしたクッションを感じられる。ここまでの柔らかさを実現した素材はそう多くはないはずだ。それなのに接地後の反発は非常に強く、地面を「蹴る」というよりは靴をポンポン「弾ませる」ような感覚で走れる。厚底シューズにありがちな反発のタイムラグも少なく、弾むように前に進んでいくような感覚が味わえるのだ。
トラックで1000m4分を切るペースで走ってみると、ニトロフォームのクッション性が秀逸で地面からの衝撃はほとんど感じなかった。高い反発性はスピードを上げても変わらず、走行時の感覚は高反発で知られる“世界最速シューズ”に近いものがある。とにかくニトロフォームがよく弾むため、その勢いを干渉しないように脚を回していくだけでダメージを抑えつつ「楽に速く」走れるのだ。
ただし、スピードを上げていくと少しずつ靴の重さも気になり始め、私の走力(2020年の5000mベストが18分22秒84)では1000m3分40秒を切るスピードを持続するにはやや重すぎるようにも感じた。クッション性や反発性のバランスからすると靴の“適正速度”は1km4分前後だと考えられ、上級者であれば距離走など長い距離を走る際に重宝するのではないかと思う。レースで使うとすれば初心者からマラソンでサブスリー(3時間切り)を目指すランナーまでがターゲットだろう。
つま先はやや反り上がっているもののクセはなく、走り方に関係なく使いやすいシューズとなっている
上級者がレースで使用するにはやや重いものの、ポテンシャルの高さが感じられるシューズであるのは間違いない。何よりもニトロフォームの生み出す軽快さは特筆すべきものがある。初心者から中級者はレース用に、上級者はロングラン用に、一足は持っておきたいシューズだ。
文/山本慎一郎
<関連リンク>
ディヴィエイト ニトロ(公式サイト)
“誰でも履けるみんなの厚底”「DEVIATE NITRO」 誕生―サニブラウン選手着用―(プーマ ジャパンのプレスリリース)
【シューズレポ】 サブスリー編集者が語る!! プーマ「DEVIATE NITRO(ディヴィエイト ニトロ)」
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コンセプトは“誰でも履けるみんなの厚底”。プレート内蔵の厚底レーシングシューズが一世を風靡しているランニング界にプーマが本格参戦だ。 プーマは新素材「NITRO FOAM(ニトロフォーム)」をミッドソールに搭載した新作ランニングシューズ4モデルを2月18日から発売。その中でも「DEVIATE NITRO(ディヴィエイト ニトロ)」は、「ビギナーランナーからトップ選手まで」をターゲットにしたレーシングモデルとなっている。 ディヴィエイト ニトロの特徴は、ミッドソール全体にニトロフォームを採用し、そこにスプーン状のカーボンプレート「INNO PLATE(イノープレート)」を内蔵していること。ニトロフォームは窒素ガス(Nitro)を加えて作り上げた素材で、オーソドックスなクッション材であるEVAに比べて46%もの軽量化に成功。最大80%という高いエネルギーリターン率を誇り、高反発性とソフトなクッション性を両立している。 そして、先端が二股に分かれたイノープレートは接地が不安定になりがちな初心者ランナーでもロスを減らし、力を中心に集めやすい構造になっている。プレートの湾曲も最小限に抑えられ、フォアフット接地(前足部着地)だけでなくフラット接地やヒールストライク(踵着地)のランナーでも推進力を得やすいように配慮されている。それでいてプレートの効果は1km3分30秒から3分00秒のスピードで最大化するように設計されているそうで、上級者のレースにも対応できるスペックとなっている。 アウトソール中央部分にある窓から見えるのがプーマが開発したカーボンプレート「INNO PLATE」。なお、アウトソールのグリップ力も強い柔らかくてよく弾む
では、実際に履いて走ってみた感想はどうだったか。結論から言うと、「トップレーシングモデル」と呼ぶには心もとないものの、「想像以上にいい」という印象だ。 サイズ感は標準的で、普段25.0~25.5cmの靴を履くことの多い筆者は25.0cmで問題なし。重量は27.0cmで約255gと、レーシングシューズとしてはかなり重い部類になるが、いざ走ってみると重さはあまり気にならない。その理由は、重さを感じさせないほどに靴が軽快さを生み出してくれるからだ。 ニトロフォームを全面に使用したミッドソールは非常に柔らかく、ロードでもフワッとしたクッションを感じられる。ここまでの柔らかさを実現した素材はそう多くはないはずだ。それなのに接地後の反発は非常に強く、地面を「蹴る」というよりは靴をポンポン「弾ませる」ような感覚で走れる。厚底シューズにありがちな反発のタイムラグも少なく、弾むように前に進んでいくような感覚が味わえるのだ。 トラックで1000m4分を切るペースで走ってみると、ニトロフォームのクッション性が秀逸で地面からの衝撃はほとんど感じなかった。高い反発性はスピードを上げても変わらず、走行時の感覚は高反発で知られる“世界最速シューズ”に近いものがある。とにかくニトロフォームがよく弾むため、その勢いを干渉しないように脚を回していくだけでダメージを抑えつつ「楽に速く」走れるのだ。 ただし、スピードを上げていくと少しずつ靴の重さも気になり始め、私の走力(2020年の5000mベストが18分22秒84)では1000m3分40秒を切るスピードを持続するにはやや重すぎるようにも感じた。クッション性や反発性のバランスからすると靴の“適正速度”は1km4分前後だと考えられ、上級者であれば距離走など長い距離を走る際に重宝するのではないかと思う。レースで使うとすれば初心者からマラソンでサブスリー(3時間切り)を目指すランナーまでがターゲットだろう。 つま先はやや反り上がっているもののクセはなく、走り方に関係なく使いやすいシューズとなっている 上級者がレースで使用するにはやや重いものの、ポテンシャルの高さが感じられるシューズであるのは間違いない。何よりもニトロフォームの生み出す軽快さは特筆すべきものがある。初心者から中級者はレース用に、上級者はロングラン用に、一足は持っておきたいシューズだ。 文/山本慎一郎 <関連リンク> ディヴィエイト ニトロ(公式サイト) “誰でも履けるみんなの厚底”「DEVIATE NITRO」 誕生―サニブラウン選手着用―(プーマ ジャパンのプレスリリース)RECOMMENDED おすすめの記事
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