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2026.01.22

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最後の箱根路/中大・溜池一太 エースとしての走りに納得できずも「突っ込んでいく走りができたのは成長」

第102回箱根駅伝で2区区間6位と力走した中大・溜池一太

第102回箱根駅伝で力走した選手たちがいる。優勝を手にしたり、区間賞に輝いたりした選手以外にもそれぞれの思いを胸に、タスキをつないだ。最終学年として迎えた選手たちの“最後”の奮闘を紹介する。

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「全日本よりも仕上がりは良かった」

中大の溜池一太(4年)にとって、大学でのベストレースは最長区間のアンカーを務めた昨年11月の全日本大学駅伝だった。区間2位ながら、「しっかり攻めた走りができて、今までの自分よりもう1段階上が見えました」。日本人最高記録(56分59秒)に4秒まで迫る快走でチームを過去最高順位の2位に導いた。

それから2ヵ月後の第102回箱根駅伝。3年生だった前回に続き、“花の2区”を任された溜池は、これ以上ない調子の良さを感じながら決戦の日を迎える。

自身のベストレースを更新するつもりだった。「2週間前からの調整は全日本大学駅伝と同じ。その全日本よりも仕上がりは良かったので、自信もありましたし、すごく良い準備ができました」

もともと溜池は、箱根駅伝に特別な思いを抱いて入学したわけではない。「駅伝も走りたくて関東の大学を選びましたが、どちらかと言えば駅伝よりトラックで頑張りたい。トラックで世界を目指したいと思っていました」。しかし、箱根で最多の出場回数(99)と優勝回数(14)を誇る伝統校では、「周りから一番求められるのは駅伝」だった。

溜池は吉居駿恭(4年)とともにルーキーイヤーから駅伝メンバーに選ばれ、奮闘してきた。箱根では、1年時に1区で4位と好走し、チームの往路2位、総合2位に大きく貢献。中大が優勝候補に挙げられていた2年目は、主力の多くが大会直前に体調不良に見舞われ、13位でシード校から陥落する。溜池も1区で19位と振るわない。

往路優勝まであと一歩の2位だった前回は、初の2区で区間9位と踏ん張ったものの、「1区と3区が区間賞だったので、悔しい気持ちもありました」。

出雲駅伝や全日本大学駅伝も含め、大きな期待を背負って臨まなければいけない駅伝は、重圧もあったが、仲間とタスキをつなぐ戦いにはやりがいもあった。特に箱根駅伝は、溜池の中で大きなものになっていた。「箱根は1年目も3年目も往路2位で終わったので、往路優勝したいですし、4年生なので、チームとして勝ちたい。最後の箱根は絶対に総合優勝したいです」と意気込んでいた。

30年ぶりとなる総合優勝を目標に掲げた中大は、1年かけてじっくりチームを強化してきた。そのなかで藤原正和駅伝監督が軸に据えたのが、主将の吉居と溜池の“ダブルエース”だった。

しかし、吉居はレース10日前にふくらはぎを痛めて万全でなく、復路に回った。溜池が「自分がやらなくては」という思いをより強くしたに違いない。

1区の藤田大智(3年)が首位・國學院大と9秒差の2位で中継所に飛び込んでくる。タスキを受け取った瞬間、溜池の“最後の箱根路”が幕を開けた。

[caption id="attachment_127554" align="alignnone" width="800"] 第102回箱根駅伝で2区区間6位と力走した中大・溜池一太[/caption] 第102回箱根駅伝で力走した選手たちがいる。優勝を手にしたり、区間賞に輝いたりした選手以外にもそれぞれの思いを胸に、タスキをつないだ。最終学年として迎えた選手たちの“最後”の奮闘を紹介する。

「全日本よりも仕上がりは良かった」

中大の溜池一太(4年)にとって、大学でのベストレースは最長区間のアンカーを務めた昨年11月の全日本大学駅伝だった。区間2位ながら、「しっかり攻めた走りができて、今までの自分よりもう1段階上が見えました」。日本人最高記録(56分59秒)に4秒まで迫る快走でチームを過去最高順位の2位に導いた。 それから2ヵ月後の第102回箱根駅伝。3年生だった前回に続き、“花の2区”を任された溜池は、これ以上ない調子の良さを感じながら決戦の日を迎える。 自身のベストレースを更新するつもりだった。「2週間前からの調整は全日本大学駅伝と同じ。その全日本よりも仕上がりは良かったので、自信もありましたし、すごく良い準備ができました」 もともと溜池は、箱根駅伝に特別な思いを抱いて入学したわけではない。「駅伝も走りたくて関東の大学を選びましたが、どちらかと言えば駅伝よりトラックで頑張りたい。トラックで世界を目指したいと思っていました」。しかし、箱根で最多の出場回数(99)と優勝回数(14)を誇る伝統校では、「周りから一番求められるのは駅伝」だった。 溜池は吉居駿恭(4年)とともにルーキーイヤーから駅伝メンバーに選ばれ、奮闘してきた。箱根では、1年時に1区で4位と好走し、チームの往路2位、総合2位に大きく貢献。中大が優勝候補に挙げられていた2年目は、主力の多くが大会直前に体調不良に見舞われ、13位でシード校から陥落する。溜池も1区で19位と振るわない。 往路優勝まであと一歩の2位だった前回は、初の2区で区間9位と踏ん張ったものの、「1区と3区が区間賞だったので、悔しい気持ちもありました」。 出雲駅伝や全日本大学駅伝も含め、大きな期待を背負って臨まなければいけない駅伝は、重圧もあったが、仲間とタスキをつなぐ戦いにはやりがいもあった。特に箱根駅伝は、溜池の中で大きなものになっていた。「箱根は1年目も3年目も往路2位で終わったので、往路優勝したいですし、4年生なので、チームとして勝ちたい。最後の箱根は絶対に総合優勝したいです」と意気込んでいた。 30年ぶりとなる総合優勝を目標に掲げた中大は、1年かけてじっくりチームを強化してきた。そのなかで藤原正和駅伝監督が軸に据えたのが、主将の吉居と溜池の“ダブルエース”だった。 しかし、吉居はレース10日前にふくらはぎを痛めて万全でなく、復路に回った。溜池が「自分がやらなくては」という思いをより強くしたに違いない。 1区の藤田大智(3年)が首位・國學院大と9秒差の2位で中継所に飛び込んでくる。タスキを受け取った瞬間、溜池の“最後の箱根路”が幕を開けた。

後半に異変は訪れた

「まずは國學院大に追いついて、そこから自分のペースで行くのか、ついていくのかを判断して、自分のペースでいきました」と、スタートから700mあたりで追いついた國學院大・上原琉翔(4年)を5.5kmから徐々に引き離す。10km通過は27分53秒。14kmから始まる権太坂も軽快に駆け上がっていく。 だが、異変は15km過ぎに訪れた。「15kmくらいまでは良いペースで走れたのですが、15~20kmのつなぎのところで右ハムストリングスがつりそうになってブレーキになり、ラップタイムが落ちてしまいました」 背後からは区間新記録のペースで爆走する城西大のヴィクター・キムタイ(4年)が迫り、18.2kmでついに抜き去られた。さらに早大の山口智規(4年)が猛追してきたものの、残る力を振り絞って逆転は許さなかった。「自分がこれだけブレーキしたので、(山口が)来るかもしれないと思っていました。最後は抜かれなくて良かったです」と振り返る。 中大は3区・本間颯(3年)の区間賞の快走などで再び首位に立ったが、5区で2つ順位を落として往路は3位。復路は何とか3位をキープしながら、10区最終盤で2校に抜かれて総合5位に終わった。 10時間44分31秒の中大新記録をマークしながらも頂点には届かない。またしても箱根の厳しさを突きつけられる結果となった。 2区の溜池は中大新記録の1時間6分06秒で区間6位。「しっかり前半から突っ込んでいく走りができるようになったのは成長できた部分だと思います」と一定の自己評価をした一方で、「(1時間)5分台を出せなかったですし、75~80点ぐらい。最後に抜かれたので、エースの走りは正直できなかったです」と唇をかんだ。 優勝を目指すチームのエースとしては、自身の走りに100%納得することはできなかった。 中大が夏合宿中に敢行した山上りのトライアルで、溜池はチーム内で断トツの強さを見せた。今回の箱根では優勝した青学大を始め、5区の山上りで快走したチームが上位を占めている。勝負の世界に“タラ・レバ”は禁物だが、もし溜池が5区に入ることがあれば、違った展開が見られたかもしれない。 しかし、それももはやあとの祭りだろう。1996年以来となる箱根制覇は後輩たちに託し、溜池はすでに次への戦いに向かっている。 その舞台は2月1日の別府大分毎日マラソン。中大のユニフォームで走る最後のレースは、フルマラソンへの初挑戦であるとともに、春から始まる実業団生活への第一歩につながる。 [caption id="attachment_127554" align="alignnone" width="800"] 中大のユニフォームで走る最後の大会が別府大分毎日マラソンとなる[/caption] 溜池一太(ためいけ・いった:中大)/2003年9月23日生まれ。滋賀県野洲市出身。京都・洛南高卒。自己ベストは5000m13分25秒11、10000m27分52秒18、ハーフ1時間3分18秒。 文/小野哲史

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