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2025.12.27

箱根駅伝Stories/初の総合優勝狙う國學院大 「堅実な駅伝をすれば勝機を見いだせる」 悲願達成へ“山攻略”を
箱根駅伝Stories/初の総合優勝狙う國學院大 「堅実な駅伝をすれば勝機を見いだせる」 悲願達成へ“山攻略”を

初の総合優勝を狙う國學院大の選手たち

選手たちが自ら走り込み

「ジョーカーになりうるランナーを(ここに)並べましたが、この5人がジョーカーになる選手であり、この5人が力を出せれば優勝に近づけます。この5人が区間3番以内で任された区間を走れれば、優勝を引き寄せられると思います」

おそらく質問した記者は、この5人が当然主要区間に起用されると想定した上で投げかけた質問だっただろう。いささか意表をつかれた前田監督の回答と思われる。

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その真意を読み解くならば、ライバル校が手薄になる局面で強力な一手を打ち、勝負を決めるということだろうか。確かに柱となる選手が5人もいれば、そういう戦略をとることも可能だ。

「夏合宿では練習の設定も量も全部昨年を超えてきました」と前田監督が言うように、この夏は例年以上の練習量をこなした。しかも、前田監督が課したわけではなく、選手たち自ら走り込んだという。

スタミナを磨き上げただけでなく、スピード駅伝と言われる出雲駅伝でも見事なレースを見せた。

「最初から派手にいくチームではないんですけど、混戦になればなるほど、ウチのチームは“駅伝力”で前に行ける。ミスのないレースができた時、ウチが浮上する」と前田監督は総括する。

その言葉の通り、序盤を先頭が見える位置でしのぐと、3区では野中が留学生や東京世界選手権にも出場したアイビーリーグ選抜のグラハム・ブランクス(米国)を相手に区間2位と奮闘し、一気に2位に浮上した。

そして、後半に入ると、4区の辻原が区間新記録を打ち立ててついに先頭に立つ。5区、6区は経験豊富な4年生、高山と上原が安定した走りで首位を守り切り、危なげないレース運びで連覇を果たした。

全日本大学駅伝は、なかなか主導権を握ることができず、序盤から苦戦した。結局4位で終えたが、最後まで優勝を諦めず、攻めたレースを見せた。

悔しい結果になったものの、「最終的な目標地点は箱根駅伝で勝つことです」と、指揮官もチームもすぐに前を向いた。「箱根駅伝で勝つためには乗り越えていかなければいけない課題があります。課題の整理ができて、それが先にわかったのは良かったと思います」と話していた。

また、2年の尾熊迅斗、飯國新太、浅野結太がきっちりと区間上位で走ったこともプラス材料だっただろう。

11月の上尾ハーフでは、青木が優勝し、6位に入ったルーキーの野田顕臣は1時間1分29秒のU20日本最高記録を打ち立てた。箱根経験者の嘉数純平(4年)も1時間1分30秒の自己ベストで7位に入り、復調をアピールしている。さらに7人が1時間2分台で走り、1時間3分を切る選手はなんと18人を数える。

そのほか、まだ駅伝で出番はないものの、四国の高校生で初めて5000m13分台をマークしたルーキー・高石樹も16人にエントリーされている。「アベレージは相当高いです。堅実な駅伝をすれば勝機は見いだせる」と前田監督は自信を口にする。

一方で、國學院大の悩みの種になっていたのが山区間だ。特に上りはこの3大会、伊地知賢造(現・ヤクルト)、前々回の上原、前回の高山と、平地でも区間上位が狙える選手を配したが、大きなアドバンテージを作ることができなかった。

今回はどうか。「課題である山をしっかり育成できていたのか、作れていたか検証されるのが第102回大会になります」と、前田監督は発言に含みをもたせている。格となる選手がそろう上に圧倒的な選手層を誇っているだけに、“山攻略”が悲願達成への最大の鍵となりそうだ。

副主将の青木瑠郁も上尾ハーフを制するなどチームを牽引する

文/和田悟志

[caption id="attachment_194415" align="alignnone" width="800"] 初の総合優勝を狙う國學院大の選手たち[/caption] 新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。

スローガンに込めた想い

今季、國學院大が掲げたチームスローガンは『はばちかす』という耳慣れない言葉だ。これは主将を務める上原琉翔(4年)の出身地、沖縄県の方言で「名声を高める」「有名になる」といった意味があるという。このスローガンには副題もついている。それは『〜想いの継承、そして革新へ〜』というものだ。 「『はばちかす』も大事なんですけど、“〜”(副題)のところも重要です。これは歴代の先輩たちの頑張りも含めたスローガンなんです」と上原は説明してくれた。 昨季は出雲駅伝は5年ぶりの優勝、全日本大学駅伝で初優勝し、箱根駅伝は過去最高の総合3位だった。しかし、箱根駅伝総合優勝を目指してきただけに、チームには悔しさだけが残った。 「前回の3位という結果は、走った選手も走らなかった選手も、全員が悔しいと感じていました。その悔しさを晴らすために『今度こそ優勝したい』と思ってスタートしました」。上原は1年前をこう振り返る。 今季のチーム目標はもちろん箱根駅伝総合優勝だ。『歴史を変える挑戦』を掲げた昨季に届かなかった唯一の駅伝タイトルは、國學院大にとっての悲願だ。 今季は、前回の箱根駅伝を走った選手が7人残る。なかでも、4年の上原、青木瑠郁、高山豪起、3年の辻原輝、野中恒亨の5人が強力だ。 2月の日本学生ハーフマラソンでは、上原が1時間0分30秒の國學院大記録を打ち立てて3位に入り、青木が1時間0分47秒、辻原が1時間0分51秒、野中が1時間0分54秒と、4人が1時間0分台の好記録をマークした。 また、同日の別府大分毎日マラソンでは高山が、2時間8分50秒の日本学生歴代8位(当時)の好記録で7位に入っている。 その後も、6月のホクレン・ディスタンスチャレンジ深川大会では、青木が5000mで13分30秒42の國學院大記録を樹立し、辻原も國學院大歴代3位をマークした。7月はワールドユニバーシティゲームズのハーフマラソンで上原が銅メダルを獲得し、団体戦の金メダルにも貢献している。 さらに、野中は、11月の八王子ロングディスタンス10000mで日本人学生歴代6位、そして、國學院大記録となる27分36秒64をマークした。駅伝でも留学生と互角の勝負を繰り広げ、出雲3区2位、全日本3区区間賞と結果を残している。 秋以降は野中の突出した活躍が目立っているが、いずれも今季の國學院大の柱となる選手たちだ。 12月12日に行われた合同会見には、前田康弘監督とともにこの5人が出席した。その壇上で、「ジョーカーになりうる選手は?」と問われた前田監督はこう答えた。

選手たちが自ら走り込み

「ジョーカーになりうるランナーを(ここに)並べましたが、この5人がジョーカーになる選手であり、この5人が力を出せれば優勝に近づけます。この5人が区間3番以内で任された区間を走れれば、優勝を引き寄せられると思います」 おそらく質問した記者は、この5人が当然主要区間に起用されると想定した上で投げかけた質問だっただろう。いささか意表をつかれた前田監督の回答と思われる。 その真意を読み解くならば、ライバル校が手薄になる局面で強力な一手を打ち、勝負を決めるということだろうか。確かに柱となる選手が5人もいれば、そういう戦略をとることも可能だ。 「夏合宿では練習の設定も量も全部昨年を超えてきました」と前田監督が言うように、この夏は例年以上の練習量をこなした。しかも、前田監督が課したわけではなく、選手たち自ら走り込んだという。 スタミナを磨き上げただけでなく、スピード駅伝と言われる出雲駅伝でも見事なレースを見せた。 「最初から派手にいくチームではないんですけど、混戦になればなるほど、ウチのチームは“駅伝力”で前に行ける。ミスのないレースができた時、ウチが浮上する」と前田監督は総括する。 その言葉の通り、序盤を先頭が見える位置でしのぐと、3区では野中が留学生や東京世界選手権にも出場したアイビーリーグ選抜のグラハム・ブランクス(米国)を相手に区間2位と奮闘し、一気に2位に浮上した。 そして、後半に入ると、4区の辻原が区間新記録を打ち立ててついに先頭に立つ。5区、6区は経験豊富な4年生、高山と上原が安定した走りで首位を守り切り、危なげないレース運びで連覇を果たした。 全日本大学駅伝は、なかなか主導権を握ることができず、序盤から苦戦した。結局4位で終えたが、最後まで優勝を諦めず、攻めたレースを見せた。 悔しい結果になったものの、「最終的な目標地点は箱根駅伝で勝つことです」と、指揮官もチームもすぐに前を向いた。「箱根駅伝で勝つためには乗り越えていかなければいけない課題があります。課題の整理ができて、それが先にわかったのは良かったと思います」と話していた。 また、2年の尾熊迅斗、飯國新太、浅野結太がきっちりと区間上位で走ったこともプラス材料だっただろう。 11月の上尾ハーフでは、青木が優勝し、6位に入ったルーキーの野田顕臣は1時間1分29秒のU20日本最高記録を打ち立てた。箱根経験者の嘉数純平(4年)も1時間1分30秒の自己ベストで7位に入り、復調をアピールしている。さらに7人が1時間2分台で走り、1時間3分を切る選手はなんと18人を数える。 そのほか、まだ駅伝で出番はないものの、四国の高校生で初めて5000m13分台をマークしたルーキー・高石樹も16人にエントリーされている。「アベレージは相当高いです。堅実な駅伝をすれば勝機は見いだせる」と前田監督は自信を口にする。 一方で、國學院大の悩みの種になっていたのが山区間だ。特に上りはこの3大会、伊地知賢造(現・ヤクルト)、前々回の上原、前回の高山と、平地でも区間上位が狙える選手を配したが、大きなアドバンテージを作ることができなかった。 今回はどうか。「課題である山をしっかり育成できていたのか、作れていたか検証されるのが第102回大会になります」と、前田監督は発言に含みをもたせている。格となる選手がそろう上に圧倒的な選手層を誇っているだけに、“山攻略”が悲願達成への最大の鍵となりそうだ。 [caption id="attachment_123595" align="alignnone" width="800"] 副主将の青木瑠郁も上尾ハーフを制するなどチームを牽引する[/caption] 文/和田悟志

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