2025.10.01

立教大の馬場賢人
馬場賢人 Baba Kento 立教大4年
「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。52回目は、立教大の馬場賢人(4年)をピックアップする。
今季は4月に5000mで13分52秒55をマークし、5月の関東インカレ(2部)は10000mに出場(11位)。7月のワールドユニバーシティゲームズではハーフマラソンで3位と5秒差の4位と健闘した。
昨季の駅伝シーズンでエース格の働きを見せ、今年度も箱根駅伝予選会、全日本大学駅伝で核となりそうだ。最終学年で臨む駅伝シーズンへの意気込みや今後の目標などを聞いた。
ターニングポイントは全日本
森の中をコツコツと歩いた先に、急に景色が開けることがある。馬場賢人(立教大4)にとってのそれは、昨年の全日本大学駅伝7区だった。
シードライン(8位)から41秒遅れの11位で中継所を出発。10秒先行してスタートしていた東京国際大を抜き、中大、日体大、帝京大が形成する7位集団に追いついた。駆け引きはしない。「前に行くしかなかったので、ひたすら前に行きました」(馬場)。
ライバルを振り切って7位に浮上し、8区の主将・安藤圭佑へ勢いを伝達。区間4位の快走で、初出場にして初のシード権へ大きく貢献した。
チーム内で主軸の一角ではあった。2週間前に箱根駅伝予選会チームトップ(個人15位)の熱走があり、ブレイクにつながる気配も。だが、酷暑のハーフマラソンをこなした疲れもある。そうした背景を携え、馬場は他校も認めるエースへブレイクした。
優れた内容とともに、51分11秒の好タイムと区間4位の好成績だ。この快走が先に続く道を照らす。
箱根駅伝2区7位で1時間6分32秒。日本学生ハーフマラソン選手権(丸亀)は1時間0分26秒。この選考会2位の成績が、望外のワールドユニバーシティゲームズの代表入りにつながった。
レース前は、チームメイトの國安広人(4年)が持っていた立教大記録の1時間2分07の更新、できれば1時間1分30秒あたりが目標だったという。
春先は5000m、10000mに取り組んで、苦手分野ながら納得の過程。プライベートを含めても初の海外遠征を6月に1つ挟み、初の世界大会はハーフマラソン4位。ラストのスピードチェンジに置いていれたが、日本の団体戦金メダルに貢献した。
ハーフマラソンの準備を酷暑の都心を拠点に行った。難しいミッションだったが、「良い経験でした」と馬場は振り返る。
自身として、もっとも大きかったターニングポイントを尋ねると、「自分が一皮向けたなと感じたのは、やはり全日本の7区ですね」と馬場は振り返る。
「シードライン内へ持っていけたこと。そこそこ良いタイムを出せたこと。駅伝での単独走を踏まえて結構な自信になりましたね」。景色が開けたその場所からは、もっと高い頂が目に入った。
立教大の馬場賢人[/caption]
学生長距離Close-upインタビュー
馬場賢人 Baba Kento 立教大4年
「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。52回目は、立教大の馬場賢人(4年)をピックアップする。
今季は4月に5000mで13分52秒55をマークし、5月の関東インカレ(2部)は10000mに出場(11位)。7月のワールドユニバーシティゲームズではハーフマラソンで3位と5秒差の4位と健闘した。
昨季の駅伝シーズンでエース格の働きを見せ、今年度も箱根駅伝予選会、全日本大学駅伝で核となりそうだ。最終学年で臨む駅伝シーズンへの意気込みや今後の目標などを聞いた。
ターニングポイントは全日本
森の中をコツコツと歩いた先に、急に景色が開けることがある。馬場賢人(立教大4)にとってのそれは、昨年の全日本大学駅伝7区だった。 シードライン(8位)から41秒遅れの11位で中継所を出発。10秒先行してスタートしていた東京国際大を抜き、中大、日体大、帝京大が形成する7位集団に追いついた。駆け引きはしない。「前に行くしかなかったので、ひたすら前に行きました」(馬場)。 ライバルを振り切って7位に浮上し、8区の主将・安藤圭佑へ勢いを伝達。区間4位の快走で、初出場にして初のシード権へ大きく貢献した。 チーム内で主軸の一角ではあった。2週間前に箱根駅伝予選会チームトップ(個人15位)の熱走があり、ブレイクにつながる気配も。だが、酷暑のハーフマラソンをこなした疲れもある。そうした背景を携え、馬場は他校も認めるエースへブレイクした。 優れた内容とともに、51分11秒の好タイムと区間4位の好成績だ。この快走が先に続く道を照らす。 箱根駅伝2区7位で1時間6分32秒。日本学生ハーフマラソン選手権(丸亀)は1時間0分26秒。この選考会2位の成績が、望外のワールドユニバーシティゲームズの代表入りにつながった。 レース前は、チームメイトの國安広人(4年)が持っていた立教大記録の1時間2分07の更新、できれば1時間1分30秒あたりが目標だったという。 春先は5000m、10000mに取り組んで、苦手分野ながら納得の過程。プライベートを含めても初の海外遠征を6月に1つ挟み、初の世界大会はハーフマラソン4位。ラストのスピードチェンジに置いていれたが、日本の団体戦金メダルに貢献した。 ハーフマラソンの準備を酷暑の都心を拠点に行った。難しいミッションだったが、「良い経験でした」と馬場は振り返る。 自身として、もっとも大きかったターニングポイントを尋ねると、「自分が一皮向けたなと感じたのは、やはり全日本の7区ですね」と馬場は振り返る。 「シードライン内へ持っていけたこと。そこそこ良いタイムを出せたこと。駅伝での単独走を踏まえて結構な自信になりましたね」。景色が開けたその場所からは、もっと高い頂が目に入った。立教大進学後に頭角現す
高校まで個人での主要な全国大会出場はなく、大牟田高2年時に全国高校駅伝5区14位の成績が残る。当時の大牟田高でエースが、1学年上の太田蒼生(GMOインターネットグループ)だった。 中学、高校で次第に力をつけ、県内では実力者に数えられるレベルに達した馬場だったが、頭角を現したと言えるのは、立教大進学後だろう。 立教大が初出場を遂げた箱根駅伝において、1年生ながら4区(区間16位)を受け持ったところからその名が広まり始めた。 2年時は箱根駅伝予選会でチーム内2位をステップに、本戦は3区8位。主軸の地位を得ていく。順調の二文字だ。そして前記したような、3年時のブレイクスルーへ。隠れていた長い距離への素養。種が芽吹き、花が咲いた。 浮き沈みが小さい。これはランナー・馬場の特徴を表している。猛烈に練習した、などといったエピソードがない。この夏の鍛錬期はどうだったかと聞くと、「特別良かった、悪かった、なしに練習できました」と返ってくる。 こうした等身大の日常の積み重ねが、馬場らしくあり、そこが良さなのだ。付け加えるなら、ケガが少ない。その要因を尋ねても、特別に気を付けていることはない――のだと言う。安定した生活習慣などの基礎が、自然にできているのだろう。 「こういうレベルになるとは、2、3年前の自分は想像もしなかった世界なので。着実に成長しているんだなと感じます」 自分でも驚く成果が続いた。しかし想像を超える成長速度にとまどっている様子でもない。競技レベルに応じた意識の変化も、自然体の一部だ。 競技という観点での成長について、馬場はこのように話す。「予選会、全日本、箱根へ向かっていく中で、一つひとつの試合に合わせていく力が上がっていきました。それから、最初に少し速く突っ込んで後半に粘る走りが確立されていった。それが昨年1年を通しての良かった点です」 序盤からハイペースで、終盤は粘り切る。箱根駅伝予選会、全日本大学駅伝7区、箱根駅伝2区、学生ハーフ。そのいずれも、そのスタイルに違わなかった。 馬場の10000mベストは28分40秒67。現状で実力を表していないタイムだが、全日本以降の3レースはこれをはるかに上回る速さで10kmを通過している。箱根駅伝3区と学生ハーフの10km通過はほぼ同じだったと言う。持ち味を「再現」できたことが大きく、自信を上乗せしている。 箱根駅伝予選会の通過が前提となるが、全日本7区や箱根駅伝2区でその「再現」の上をいく走りを見せるだろうか。「今は練習を手堅く積めた段階で、ここが伸びたな、という実感はまだないですが……。練習への余裕度がだいぶ変わってきました。夏も、昨年ほどやり切った感じではない中で、練習が充実した感覚です。コース途中の上り坂には、『箱根2区のラストランだ!』と意識して臨みましたね」。 大風呂敷はなく、意識するのは自己ベストの積み重ね。近未来の目標に一つ一つ取り組んでいく馬場らしい言葉だ。 そんな馬場だが、少し先の未来については「マラソンへ挑戦」を芯に据えている。大迫傑(東京陸協)らの活躍に胸躍らせた少年時代からすれば、いつの間にかマラソンが近づいてきた。ただただ、走るだけでなく、「初マラソンの歴代記録を狙って」など、この数年でイメージもはっきりしてきた。 そこへ向かって、馬場は今日も等身大の日常を送っている。 [caption id="attachment_131366" align="alignnone" width="800"]
昨年の全日本大学駅伝で7区区間4位と快走した馬場[/caption]
◎ばば・けんと/2003年11月11日生まれ、福岡県福岡市出身。長丘中→大牟田高→立教大。自己記録5000m13分52秒55、10000m28分40秒67、ハーフマラソン1時間0分26秒。
文/奥村 崇 RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2026.02.14
-
2026.02.08
-
2026.02.07
-
2026.02.10
2026.01.31
青学大・黒田朝日は「コンディション不良に近い」MGC獲得が「第一目標」/別大毎日マラソン
-
2026.02.01
-
2026.01.18
Latest articles 最新の記事
2026.02.14
〝青学メソッド〟を支える「コンディショニングの肝」とは―― 磁気の力で休息中のカラダをサポート
正月の大学駅伝で史上初となる2度目の3連覇を達成。往路、復路、総合のすべてで大会記録を更新する偉業を成し遂げた青山学院大学。なかでも5区の黒田朝日(4年)が従来の区間記録を1分55秒も塗り替える驚異の走りで大逆転劇を演じ […]
2026.02.14
東京世界陸上20km代表の柳井綾音「4年間の中で一番練習を積めた」 35km代表の梅野倖子「準備はできた」/日本選手権ハーフ競歩
◇第109回日本選手権・ハーフマラソン競歩(2月15日/兵庫・六甲アイランド) 今秋の名古屋アジア大会代表選考会を兼ねた日本選手権ハーフマラソン競歩が行われる。大会を前日に控え、有力選手が会見に登壇した。 広告の下にコン […]
2026.02.14
東京世界陸上20km7位の吉川絢斗「良い状態でこられた」 丸尾知司「スピードをベースアップ」/日本選手権ハーフ競歩
◇第109回日本選手権・ハーフマラソン競歩(2月15日/兵庫・六甲アイランド) 今秋の名古屋アジア大会代表選考会を兼ねた日本選手権ハーフマラソン競歩が行われる。大会を前日に控え、有力選手が会見に登壇した。 広告の下にコン […]
2026.02.14
20km世界記録保持者の山西利和 距離変更も「大きくは変わらないと思っている」/日本選手権ハーフ競歩
◇第109回日本選手権・ハーフマラソン競歩(2月15日/兵庫・六甲アイランド) 今秋の名古屋アジア大会代表選考会を兼ねた日本選手権ハーフマラソン競歩が行われる。大会を前日に控え、有力選手が会見に登壇した。 広告の下にコン […]
Latest Issue
最新号
2026年3月号 (2月14日発売)
別府大分毎日マラソン
大阪国際女子マラソン
矢田みくにインタビュー
追跡箱根駅伝