◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)7日目
東京世界陸上7日目のイブニングセッションが行われ、男子5000m予選1組に出場した森凪也(Honda)は13分29秒44の15着で決勝には進めなかった。
初挑戦の世界大会だったが、森は「準備の段階は100点。もうこれ以上やれることはないという準備をしてこの世界陸上を迎えられました」。良い状態でスタートラインに立っていた。
自己記録は4月の金栗記念でマークした13分15秒07。12分台のベストを持つ選手が13人もいる組で決勝進出の8位以内に入るのは至難の業だったが、端から諦めるようなことはしなかった。
「僕の目標は決勝。チャンスがあるとすれば、自分がある程度元気な状態で、かつ周りの選手も世界選手権ということで緊張やプレッシャーで力出し切れない可能性もある。周りの選手が疲れている状態でラスト1周を迎えられたら可能性はあると思っていました」
そのプランを実行すべく、スタートしてまずは集団の後方についた。先頭が1000mを2分43秒11、2000mを5分28秒93で通過するなか、森は集団の最後方付近で「後方待機」しながらレースを進めた。
「あと6周」という場内アナウンスを耳にし、「あと6周か」と思いながら、「ラスト2000か1600mから動く可能性はあったので、動いた時にまずはしっかり反応しよう」と、18位前後の位置から上位を窺う冷静さもあった。
実際、3000m過ぎに集団がペースアップすると、森もギアチェンジ。「世界選手権ならではのペースアップで、第1段階は反応できました」。しかも落ちていく選手を少しずつ拾い、3500~4000mあたりでは11番手まで順位を上げた。
その後、ラスト2周までは集団に食らいついたが、徐々に引き離されて予選突破とはならなかった。しかし、レース後の森の表情は晴れやかだった。
「準備はできていたので、実力だけが足りなかったというか、実力通り。逆に言えば実力は出せたかなと。この世界の舞台で自分のやりたいことができたことは良かったと思っています」
これまで「自分が日本代表という意識を持っていなかった」。だが、「このユニフォームを着た以上、日本の5000mの代表は自分だという自覚を持って競技に取り組んでいきたい」という考えに至った。
「今日はラスト3周ぐらいまでは(先頭集団に)いましたが、いつの間にか100m、15秒ぐらい差をつけられていたので、その差を埋めるためには記録を向上させていくしかない。まずは日本記録の更新を目指していきたいです」
これまで何本も走ってきた5000m。世界の舞台で走った、たった1本から多くのことを学んだ。
文/小野哲史
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