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2025.08.14

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織田裕二さん単独インタビュー「海外に行く環境が当たり前に」東京世界陸上への思い語る「文化として根づいてほしい」
織田裕二さん単独インタビュー「海外に行く環境が当たり前に」東京世界陸上への思い語る「文化として根づいてほしい」

本誌単独インタビューに応じた織田裕二さん

海外との“差”を選手、観客も埋めていく

――サニブラウン選手や、注目に挙げていらっしゃいました北口榛花選手(JAL)を筆頭に、拠点を海外にしたり、試合スケジュールも海外が中心になったりする選手が増えています。

もっと増えほしいですね。サッカーの日本代表はみんな海外組ですよね。30年前はワールドカップの優勝なんて難しいと思っていたのが、今では「本当に狙えるかもしれない」と思える。それは世界を知って、近づいたからですよね。日本は島国ですから、これまで才能を生かしてきれていなかった部分もあったと思う。

世界に近づくためには、北口選手みたいに、自分から海外に飛び出していくことが大事。でも、それってなかなかできないこと。そういう環境がジュニア時代から当たり前になると自信になるでしょう。「あいつ知っているぞ」「勝ったことあるぞ」って。シニアの大会でも臆すことなく戦えるようになると思います。

――海外選手で注目選手には女子400mハードル世界記録保持者のシドニー・マクローリン・レヴロン選手(米国)を挙げていました。東京には400mハードルに出場しないのは残念です。

いやいや、僕はヨンパー(400mハードル)だけのシドニーじゃなく、いろんな種目を走るのを見るのが楽しいんです! だから、400mで見られるのもうれしい。今一番強いドミニカの(マリレイディ)パウリノがいます。彼女からしたら「ハードル選手に負けたくないわよ」と燃えていることでしょう。割って入る選手もいるかもしれない。これはおもしろいですよ。

東京の暑さの中だから大変だけど、シドニーはリレーにも出てほしいな。男女混合マイルリレーは初日にあって、決勝までは6日目の18日。アメリカチームがどんな判断をするかな。ノア・ライルズ(米国/前回100m、200m金メダル)はどうかな? 100mだけってこともあるのかな? 僕はノアの本業は200mだと思っているんで、そこは譲れません(笑)

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――ライルズ選手は、前回のブダペスト世界陸上の時はマイルリレー(4×400mリレー)にも出たいと発言したこともありましたよ。

4×100mリレーと合わせて4冠ってこと!? じゃあ、400mでも自信があるんだね。見てみたいなぁ。年齢は28歳。今がピークかな。ただ、東京は暑いから疲れも残るだろうし…。でも、見たいですね。

スペシャルアンバサダーとして東京世界陸上に携わる

――以前、「東京世界陸上に日本の陸上が強くなるヒントがあると思う」とお話されていたのが印象に残っています。

日本で一番になるだけじゃダメで、世界のトップとどう戦えるか。そういう機会が世界陸上です。今回は“ホーム”で戦える。

試合のスピード感はもちろん、練習で見て、「もうちょっとここを頑張れば戦える」「スタートを磨けばいける」と距離感を図ることで、得られるものがあるのかなって。

選手だけじゃありません。例えば、裏方の人たち、支える人たちは何をしているのか。そういうのを知っていけば強くなれるはずです。

観る側もそうですよね。海外、特にヨーロッパに行くと陸上が根づいていて、ファンの応援の仕方、楽しみ方が素晴らしい。見慣れているだけなんですよ。誰かが手拍子しているから、自分も真似しようって。それが自然に身についているんだなって思います。

僕もコンサートを始めた頃は、僕のファンの人もあまりコンサートに行ったことがなかったと思うので“ノリ”がわからなかった。じゃあ、曲によって手を振ろうとか、タオルを回そうとか決まり事を作って、そうしたらみんな覚えてくれました。

国内の大会でもほとんど関係者ばかり。この大会が文化として根づいてくれて、陸上を観てみようと、思えるきっかけになればいいなって思っています。

TBSのキャッチコピーは「1秒後、世界が変わる」

――改めて世界陸上の観戦のアピールをお願いします!

34年ぶりの東京開催。僕としては自国開催を観られるのは最後だと思っています。世界一ってこういうものなんだって、子どもたちにも観てほしいですね。やっぱり、テレビで観るのと生観戦では全然違います。まだ一部はチケットも残っているようなので、ぜひ、会場で、自分の目でみてください!

――スペシャルアンバサダーとして、みんなが期待していると思います!

本当はビールを飲みながら観たかったですね! でも、それはできなさそうで…。さっき、いろいろ(スケジュールを)聞いたら、こりゃ大変だな、と。思った以上でした。ちょっとお手伝いできればと思っていましたが、そんな甘いもんじゃなかったです。途中で倒れないといいなと。歳なので無茶させないでって。ちょっとくらいビール飲んで観ていてもいいかな?(笑)

構成/向永拓史 撮影/原田健太

34年ぶりに東京開催となる世界陸上(9月13日~21日/東京・国立競技場)の開幕まで1ヵ月を切った。長くTBSのメインキャスターを務め、今回はスペシャルアンバサダーとして大会を盛り上げる俳優の織田裕二さんが本誌の単独インタビューに応え、日本代表や東京世界陸上への思いを語った。 ――東京世界陸上の開幕まであと1ヵ月です。 急に盛り上がって来たって感じがしますね。やっぱり全米選手権が終わってアメリカ代表が決まるといよいよだなって。日本選手権も終わって日本代表も少しずつ決まっていますが、まだじゃないですか?(8月24日まで出場資格の有効期間) 一番ドキドキなのは男子100m。誰が代表になるのか。サニ(サニブラウン・アブデル・ハキーム/東レ)はどうなるのかな? ――日本選手権を優勝し、8年ぶりに9秒台を出した桐生祥秀選手(日本生命)は当確です。高校生で世界デビューした時から見ていらっしゃいました。 13年のモスクワ大会に出た時は17歳。当時は、素人の僕が見ても「ここからどうやって速くなっていくの?」と思っていたし、大変だったと思うんです。そこから日本人で初めて9秒台に入って。それ以降も期待やプレッシャーはハンパじゃなかったはず。 それにもつぶされずに9秒台を出すのは素晴らしいですね。普通なら燃え尽きてもおかしくないのに、続けられるモチベーションがすごい。夢の舞台が、しかも東京である。最高です。全部出し切るくらいに思っているんじゃないかな。 [caption id="attachment_179262" align="alignnone" width="800"] 東京世界陸上への熱い思いを語る織田裕二さん[/caption]

海外との“差”を選手、観客も埋めていく

――サニブラウン選手や、注目に挙げていらっしゃいました北口榛花選手(JAL)を筆頭に、拠点を海外にしたり、試合スケジュールも海外が中心になったりする選手が増えています。 もっと増えほしいですね。サッカーの日本代表はみんな海外組ですよね。30年前はワールドカップの優勝なんて難しいと思っていたのが、今では「本当に狙えるかもしれない」と思える。それは世界を知って、近づいたからですよね。日本は島国ですから、これまで才能を生かしてきれていなかった部分もあったと思う。 世界に近づくためには、北口選手みたいに、自分から海外に飛び出していくことが大事。でも、それってなかなかできないこと。そういう環境がジュニア時代から当たり前になると自信になるでしょう。「あいつ知っているぞ」「勝ったことあるぞ」って。シニアの大会でも臆すことなく戦えるようになると思います。 ――海外選手で注目選手には女子400mハードル世界記録保持者のシドニー・マクローリン・レヴロン選手(米国)を挙げていました。東京には400mハードルに出場しないのは残念です。 いやいや、僕はヨンパー(400mハードル)だけのシドニーじゃなく、いろんな種目を走るのを見るのが楽しいんです! だから、400mで見られるのもうれしい。今一番強いドミニカの(マリレイディ)パウリノがいます。彼女からしたら「ハードル選手に負けたくないわよ」と燃えていることでしょう。割って入る選手もいるかもしれない。これはおもしろいですよ。 東京の暑さの中だから大変だけど、シドニーはリレーにも出てほしいな。男女混合マイルリレーは初日にあって、決勝までは6日目の18日。アメリカチームがどんな判断をするかな。ノア・ライルズ(米国/前回100m、200m金メダル)はどうかな? 100mだけってこともあるのかな? 僕はノアの本業は200mだと思っているんで、そこは譲れません(笑) ――ライルズ選手は、前回のブダペスト世界陸上の時はマイルリレー(4×400mリレー)にも出たいと発言したこともありましたよ。 4×100mリレーと合わせて4冠ってこと!? じゃあ、400mでも自信があるんだね。見てみたいなぁ。年齢は28歳。今がピークかな。ただ、東京は暑いから疲れも残るだろうし…。でも、見たいですね。 [caption id="attachment_179257" align="alignnone" width="800"] スペシャルアンバサダーとして東京世界陸上に携わる[/caption] ――以前、「東京世界陸上に日本の陸上が強くなるヒントがあると思う」とお話されていたのが印象に残っています。 日本で一番になるだけじゃダメで、世界のトップとどう戦えるか。そういう機会が世界陸上です。今回は“ホーム”で戦える。 試合のスピード感はもちろん、練習で見て、「もうちょっとここを頑張れば戦える」「スタートを磨けばいける」と距離感を図ることで、得られるものがあるのかなって。 選手だけじゃありません。例えば、裏方の人たち、支える人たちは何をしているのか。そういうのを知っていけば強くなれるはずです。 観る側もそうですよね。海外、特にヨーロッパに行くと陸上が根づいていて、ファンの応援の仕方、楽しみ方が素晴らしい。見慣れているだけなんですよ。誰かが手拍子しているから、自分も真似しようって。それが自然に身についているんだなって思います。 僕もコンサートを始めた頃は、僕のファンの人もあまりコンサートに行ったことがなかったと思うので“ノリ”がわからなかった。じゃあ、曲によって手を振ろうとか、タオルを回そうとか決まり事を作って、そうしたらみんな覚えてくれました。 国内の大会でもほとんど関係者ばかり。この大会が文化として根づいてくれて、陸上を観てみようと、思えるきっかけになればいいなって思っています。 [caption id="attachment_179259" align="alignnone" width="800"] TBSのキャッチコピーは「1秒後、世界が変わる」[/caption] ――改めて世界陸上の観戦のアピールをお願いします! 34年ぶりの東京開催。僕としては自国開催を観られるのは最後だと思っています。世界一ってこういうものなんだって、子どもたちにも観てほしいですね。やっぱり、テレビで観るのと生観戦では全然違います。まだ一部はチケットも残っているようなので、ぜひ、会場で、自分の目でみてください! ――スペシャルアンバサダーとして、みんなが期待していると思います! 本当はビールを飲みながら観たかったですね! でも、それはできなさそうで…。さっき、いろいろ(スケジュールを)聞いたら、こりゃ大変だな、と。思った以上でした。ちょっとお手伝いできればと思っていましたが、そんな甘いもんじゃなかったです。途中で倒れないといいなと。歳なので無茶させないでって。ちょっとくらいビール飲んで観ていてもいいかな?(笑) 構成/向永拓史 撮影/原田健太

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