◇セイコーゴールデングランプリ2025(5月18日/東京・国立競技場)
世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールドのセイコーゴールデングランプリが行われ、男子100mは栁田大輝(東洋大)が10秒06(+1.1)で優勝した。
予選となったチャレンジレースは「スタートでもたついてしまった」と、10秒20(+0.5)でギリギリ5番手の通過。それにより決勝は「良くも悪くも端っこ」の1レーンに入ったが、9秒76の自己記録を持つクリスチャン・コールマンや同9秒93のクリスチャン・ミラー(ともに米国)といった世界の強豪の存在も気にならなかったという。
意識したのは、「今の僕の生命線」と語るスタート。「しっかり入れれば何とかなるというか、ある程度は走れる」と自信を持っており、予選の反省もそこにあった。
「60mで決着をつける」というプランを描き、号砲一発。実際、飛び出しが誰よりも鋭かったのが栁田だった。2週間前の関東インカレでは追い風参考記録ながら9秒95をマーク。その時の「風に押してもらって、良いスピード感でスタートを切れた」という経験も今回の決勝レースで生かせたようだ。「スタートをちゃんとできたら、うまく最後まで転がるように走れると思っていました」と語ったとおり、中盤以降も動きはスムーズだった。9秒台を持つ米国勢3人が必ずしも本調子でなかったとはいえ、リードを守って勝ち切った点は十分に評価できるだろう。
「ハイレベルの争いになることはわかっていた。そこでも自分の走りを貫いて、タイムもどれだけ出せるかが僕自身、楽しみにしていた部分でした。優勝できて、10秒06は良いのか悪いのか、ちょっとわからないですけど、シーズン全体で見たら右肩上がりに来ているので、ひとまず結果を残せたことは良かったです」
今後について、「目指すところは、東京世界陸上のファイナルで走ること」ときっぱり。それを実現するには、「毎回2本目で調子が良くなるので、これからは1本目から決勝ぐらいのタイムを出して、次のラウンドでもう1段階上げるようにやっていけたら」と課題を口にする。
「今日は80点ぐらい。まだやれることがあるので、100点のレースができたら10秒00も切ることができると思っています」
今季、最も勢いのある大学生スプリンターが、日本のエースになりつつある。
男子トラック種目では、他に110mハードルでパリ五輪5位の村竹ラシッド(JAL)が13秒16(-1.1)で2連覇。0秒11差の2位に阿部竜希(順大)が続いた。3000m障害では五輪2大会連続入賞の三浦龍司(SUBARU)が8分18秒96で快勝した。
3000mでは森凪也(Honda)が7分41秒58の日本歴代2位の好タイムで日本人トップ(4位)。400mの佐藤風雅(ミズノ)は45秒23、400mハードルの豊田兼(トヨタ自動車)は48秒55でそれぞれ日本人トップの2位を占め、200mの飯塚翔太(ミズノ)は20秒67(-2.0)で日本人最上位の3位に入った。
文/小野哲史
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.10.13
-
2025.10.13
-
2025.10.13
2025.10.07
桐生祥秀の凱旋に、800m落合、円盤投・湯上がV 44年ぶり湖国開催/滋賀国スポ
2025.10.13
【テキスト速報】第37回出雲駅伝
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.10.13
十種競技・丸山優真が8054点の自己新 2度目の8000点オーバー!アクシデント乗り越え来季のステップに
10月12日、13日の2日間、長野市の長野市営陸上競技場で長野県選手権混成競技兼長野オータム・トライアル2025が行われ、男子十種競技で丸山優真(住友電工)が8054点で優勝を飾り、日本歴代3位の自己記録(8021点)を […]
2025.10.13
サニブラウン主催のDAWN GAMES決勝大会開催「横のつながりを大切にしてほしい」子どもたちの走りに興奮
男子短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が主宰する「DAWN GAMES FINAL Powered by TORAY」が10月13日、東京・大蔵運動公園陸上競技場で行われた。 「陸上人口を増やし、層を厚くし […]
2025.10.13
國學院大が初の2連覇! 混戦予想にも主将・上原琉翔「自分たちのレースをするだけだった」/出雲駅伝
◇第37回出雲駅伝(10月13日/6区間45.1km:島根・出雲大社正面鳥居前スタート、出雲ドームフィニッシュ) 学生駅伝シーズンの幕開けを告げる出雲駅伝が行われ、國學院大が2時間9分12秒で2年連続3回目の優勝を果たし […]
2025.10.13
東京五輪4×100mR金メンバーの兄に資格停止処分 ジェイコブスへのスパイ行為で
イタリア陸連は、元男子短距離選手のジャコモ・トルトゥ氏に対し、3年間の資格停止処分を科したと発表した。 トルトゥ氏は21年東京五輪男子4×100mリレーで金メダルを獲得したフィリッポ・トルトゥ(イタリア)の兄。東京五輪男 […]
Latest Issue
最新号

2025年10月号 (9月9日発売)
【別冊付録】東京2025世界陸上観戦ガイド
村竹ラシッド/桐生祥秀/中島佑気ジョセフ/中島ひとみ/瀬古優斗
【Coming EKIDEN Season 25-26】
学生長距離最新戦力分析/青学大/駒大/國學院大/中大/