◇第104回関東インカレ(5月8~11日/神奈川・相模原ギオンスタジアム)2日目
学校対抗の第104回関東インカレの2日目が行われ、男子4×100mリレーは中大が39秒03で6年ぶりに優勝を果たした。2年ぶりに優勝を狙った東洋大が0.12秒差の2位だった。
昨年9月の日本インカレで、早大とともに従来の日本学生記録を上回ったが競り負けた東洋大。アンカーを務めていた大石凌功は、あの日の景色をスマホの待ち受け画面にして、この半年間を過ごしてきた。だが、またも先頭でフィニッシュラインを走り抜けることができず、しばらくうつむき、動くことができない。
そこに、戻ってきたのが2走を務めた栁田大輝だった。「仕方ない。凌功だけのせいじゃない」。仲間の荷物を持ちながら、後輩の側にいくと、その後は黙って横にいた。
100mで9秒95(+4.5)をマークして優勝した栁田。3位に入った大石、決勝に残った成島陽紀、1年の庭山晴希と、盤石のオーダーで挑んだが、それでも勝てなかった。
「なんでですかね……。自分が2走になってから勝てなくて」
栁田は悔しさを押し殺しながら、務めて明るく話す。自身もリレーで悔しい思いを何度もしてきた。昨年の関東インカレ、日本インカレはもちろんだが、パリ五輪では予選を走って決勝進出に貢献しながら、調子が上がらずに決勝でメンバー外となった。そうした経験があるからこそ、後輩たちの悔しさも十分に理解できた。
1走の成島も、元々脚を少し痛めていたが「本人が大丈夫、と言っていたので思いっきり出ました。ちゃんと渡してくれました」。100m決勝に残った3人はハイレベルなレースを3本こなしているなか、疲労はもちろんあるが「それは負け惜しみになる」。ただ、「100m3人が決勝に残ったは評価できること」と胸を張り、「勝って終わりたかったけど、今度こそ負けないようにすればいいだけ」と前を向いた。
「アンカー勝負になったら、アンカーがクローズアップされる。バトンを持ってフィニッシュしたのは凌功なので悔しいと思う。僕がもっと前で渡しておけば。1人でしょんぼりしていましたが、帰りにおいしいものを食べて帰ります」
衝撃の1年生100m優勝を飾っていた栁田が、もう最終学年を迎えた。「気づいたら最後でした」。1年生の時は「吐きそう」と緊張しっぱなしだった栁田が、主将として、エースとして戦い抜いた。次期エースとなる大石に対しても「これからも一緒にやっていく大切な仲間。僕もそうですが、こんなところで終わる選手じゃない。2人で世界大会に出たいし、9秒台を目指していきたいです」と語る。
チームの応援や雰囲気、そして仲間と組むリレーが大好きな栁田。「ここからは応援に回って、何かできることがあればサポートしたい」。その圧倒的な走りと存在感でチームを鼓舞した主将は、さわやかな表情で4年間駆け抜けた関東インカレのトラックに別れを告げた。
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