2025.03.28
旭化成は3月28日、所属選手である競歩の池田向希が受けたアンチ・ドーピング規則違反による4年間の資格停止処分について、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に不服申し立てを行ったと発表した。
男子20km競歩で東京五輪銀メダリストの池田。世界陸連(WA)の独立不正調査機関「アスリート・インテグリティ・ユニット(AIU)」が昨年6月28日に、23年6月~8月にかけて実施した血液検査値から、血液ドーピング(事前に採取した自身の血液を大会前に体内に戻すことで赤血球量を増やし、パフォーマンス向上を狙う方法)の疑いがあること、弁明がある場合は所定の期日までに提出すべきとの通知を受けたことが発端となる。これに対し、池田は7月24日にAIUへ弁明書を提出した。
だが、AIUは24年11月1日、アンチ・ドーピング規則違反として正式に立件することと、解決されるまでの間の暫定的資格停止処分を下すとの通知を受けた。池田と旭化成は真っ向から否定し、11月15日には資格停止処分の取り消しを求める申し立て、およびWA懲戒委員会の審問を求める書面を提出。さらに11月30日にはアンチ・ドーピング規則違反立件に対する不服申し立てを行っている。
今年2月6~8日にかけて懲戒委員会の審問が行われたが、AIUの判断を覆すには至らず。2月14日に池田に対して、2023年6月20日以降の成績の取り消し、2024年11月1日から4年間の資格停止処分という裁定が下った。これにより池田はパリ五輪にも出場して7位フィニッシュしていたが、その結果も取り消されている。
池田は完全否定し、旭化成も「スポーツ界におけるドーピングには強く反対し、これを撲滅するためのAIUをはじめとする各種国際・国内機関の理念と活動を全面的に支持する姿勢に、変わりはありません」とする一方、今回の裁定に対しては池田へのヒアリング、多くの専門家による医学的見地から「池田選手のアンチ・ドーピング規則違反はないものと認識しており、今回の裁定については極めて遺憾です」と訴えていた。
今回のCASへの提訴について旭化成は「池田選手の潔白が証明されるよう、今後も引き続き支援してまいります」とコメント。また、池田も所属先を通じ「多くの方から激励のお言葉を頂きました。私の潔白を信じて、そのようなお言葉をかけて頂いた方に、まずはお礼申し上げます」と感謝を綴り、「正式な裁定書面を受領した後に、多くの関係者の方に相談した結果、一日も早く競技を再開し、そして名誉を回復するために必要なことであると考え、スポーツ仲裁裁判所に対して不服申立てを行うことにいたしました」と説明した。
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