2024.06.29
◇第108回日本選手権(6月27日~30日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)3日目
第108回日本選手権の3日目が行われ、女子100mハードル準決勝の2組で田中佑美(富士通)が自己記録を0.04秒更新する日本歴代2位の12秒85(-0.3)で1着。東京五輪代表の寺田明日香(ジャパンクリエイト)が12秒98(-0.3)で2着を占め、ともに30日の17時50分に行われる決勝に駒を進めた。
1組目で日本記録保持者の福部真子(日本建設工業)が12秒75(+0.8)を叩き出し、12秒77のパリ五輪参加標準記録を突破。その状況を把握していた田中はレース後、「私もパリに出たくて頑張っているので、標準記録を突破したかった。自己ベストではありますが、こんなにうれしくない自己ベストは初めてでした」と悔しさを押し殺すように口にした。
今大会前のワールドランキングでは、五輪出場ラインとなるターゲットナンバー圏内に位置していた田中だが、視線の先にあったのは、あくまでも参加標準の突破のみ。意気込んで臨んだこの日の予選は、12秒91(+0.2)の組1着で危なげなく通過したものの、自身にとっては納得の内容ではなかった。
「予選はスタートを潰すように出てしまい、1台目へのアプローチの入りでうまくスピードに乗れませんでした」
準決勝は修正したものの、「全体的にバランスを左右に崩す感じで体幹のブレを感じました」と振り返る。ただ、裏を返せば、完璧なレースができれば、さらなるタイム短縮が期待できるということだろう。
「今まで日本選手権にはたくさん出てきましたが、初めてラウンドを通過する、しないを意識せず、自分の記録や走りだけに集中できています。明日の決勝も同じで、でも力まない。自分のやってきたことをしっかりと出すレースができたらと思います」
明日の大一番、田中は自力でパリ行きをつかみ取る。
一方の寺田は隣りのレーンに田中がいることで、「落ち着いて走ろう」と考えていたという。その田中には中盤あたりからリードを広げられたが、「シーズン初戦から足が痛かったので、痛みなく走れることが幸せ」と感じながら走り切った。パリ行きの切符をつかむには、決勝での参加標準突破が絶対条件。
しかし、34歳のベテランは「明日はオリンピックに向けて最後の決勝。悔いなくできたらいいと思います」と自然体で臨むつもりだ。
文/小野哲史
女子100mH日本歴代10傑
12.73 1.1 福部真子(日本建設工業) 2022. 9.25 12.85 -0.3 田中佑美(富士通) 2024. 6.29 12.86 -0.2 青木益未(七十七銀行) 2022. 4.10 12.86 0.7 寺田明日香(ジャパンクリエイト)2023. 5. 7 12.96 0.4 清山ちさと(いちご) 2023. 5.21 12.97 2.0 大松由季(サンドリヨン) 2023. 9.24 13.00 0.7 金沢イボンヌ(佐田建設) 2000. 7.16 13.00 1.5 鈴木美帆(長谷川体育施設) 2021. 6. 6 13.00 1.9 紫村仁美(リタジャパン) 2024. 6. 2 13.01 1.9 田中陽夏莉(富士山の銘水) 2024. 6. 2 13.01 0.6 中島ひとみ(長谷川体育施設) 2024. 6.29
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.04.30
【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
2025.04.29
100mH田中佑美が予選トップ通過も決勝棄権「故障ではない」昨年の結婚も明かす/織田記念
-
2025.04.28
-
2025.04.26
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.04.01
-
2025.04.12
-
2025.04.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.04.30
【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」
山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]
2025.04.30
【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦
FOCUS! 高校生INTERVIEW 山田大智 Yamada Daichi 西脇工高3兵庫 2025年シーズンが本格的に始まり、高校陸上界では記録会、競技会が次々と開かれています。その中で好記録も生まれており、男子50 […]
2025.04.30
5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場
5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]
2025.04.30
26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得
世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)