2024.02.26
◇第107回日本選手権クロスカントリー(2月25日/福岡・海の中道海浜公園)
世界クロスカントリー選手権(3月30日/セルビア・ベオグラード)の代表選考会を兼ねた第107回日本選手権クロスカントリーが行われた。シニア男子10kmを制したのは山口智規(早大)。ラスト1kmを切ったアップダウンの多い場所で、大学の先輩である井川龍人(旭化成)、都道府県対抗男子駅伝7区区間3位の荻久保寛也(ひらまつ病院)など4人の先頭集団から抜け出し、29分16秒でフィニッシュした。
このタイムは前回、塩尻和也(富士通)が三浦龍司(順大)と競った上で出した29分15秒にあと1秒と迫るもの。世界大会経験者らを破った価値あるレースとなった。
学生らしいがむしゃらさが存分に生かされた。時にはバランスを崩しながらも、大きく腕を振って力強い一歩を踏み出し、先頭集団に喰らいつく。最後まで前に出ず、タイミングを図ったのは、ラストスパートに自信があったからだ。
レース前には、井川と「最後まで集団にいられれば、2人の勝負になるだろう」と互いのスパート力を認め合った。実際、その通りの展開になり、「最後の直線は楽しかったですね」と持ち味を出し切った上でつかみ取った優勝に、うれしさが倍増した。
昨年11月の上尾ハーフでは大迫傑(現・Nike)の早大記録を31秒塗り替える1時間1分16秒。今年の箱根駅伝では2年生ながら2区を任され、1時間6分31秒(区間4位)と渡辺康幸(現・住友電工監督)の大学記録も塗り替えた。その後も1月21日の都道府県対抗駅伝(7区区間6位)、1月31日には早大記録会10000mで28分17秒87の自己新など、精力的にレースをこなしている。
1月に米国の室内5000mレースで室内日本新の13分09秒45を出した同学年の佐藤圭汰(駒大)は、高校時代からその背中を追う存在ではあるが、「まだ上であることには変わりないけど、長い目で見て勝てればいいと思っています」と、手が届く位置にいると感じ始めている。
「こんな大きなタイトルを取ったのは初めてだし、大事な1年と思っていた時に取れたことがうれしい。大迫さんも大学2年生の時に優勝しているので、これをステップにできれば」と、また一つ自信を手にしたようだった。
文/田端慶子
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.12.07
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.11
タイの19歳ブーンソンが100m9秒94!!!日本記録上回るアジア歴代3位、U20世界選手権2大会ファイナル
東南アジア大会がタイ・バンコクのスパチャラサイ競技場で行われ、男子100mでタイのプリポル・ブーンソンが9秒94(+0.7)をマークした。 予選で出されたこの記録はアジア歴代で日本記録(9秒95:山縣亮太)を上回る3位。 […]
2025.12.11
青学大・原晋監督が最大のライバルに駒大 「勝つ知識、ノウハウを兼ね備える」 箱根V3へ不安材料は「経験者が少ない」
第102回箱根駅伝で3連覇を狙う青学大が、都内の青山キャンパスで壮行会を開き、原晋監督やエントリー選手たちが登壇した。 壮行会後に記者会見が行われ、一番のライバル校を問われた原監督は「一番はやはり駒澤大学です。ここ11年 […]
2025.12.11
箱根駅伝V3へ青学大が壮行会 主将・黒田朝日「新たな歴史を作る舞台」 2年連続区間賞・塩出翔太「良い報告ができるように」
第102回箱根駅伝で3連覇を狙う青学大が、都内の青山キャンパスで壮行会を開き、原晋監督やエントリー選手たちが登壇した。 お昼休みで多くの学生や教職員が集まるなか、原監督は「シーズン当初は新体制となり、学生たちには『勝つ確 […]
2025.12.10
【箱根駅伝エントリー】登録選手336人が決定 最多出身高は13年ぶりの駅伝名門校! 都道府県別では埼玉が2年連続トップ
第102回箱根駅伝のチームエントリーが12月10日に行われ、今回も1チーム16人、21チーム計336人が選手登録された。 登録選手を出身高校別に見ると、佐久長聖高(長野)が13人で最多となった。続いて、洛南高(京都)が1 […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025