2024.01.03
◇第100回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km)
フレッシュグリーンが誇る“駅伝男”が、3度目の箱根路でも大仕事をやってのけた。
当日の区間変更で、1年生以来の3区に起用された太田蒼生(3年)は、22秒前にスタートした駒大の佐藤圭汰(2年)を猛追した。
「展開的に追いつくには攻めるしかないと思っていました」と、5kmを13分台で入ると、7.6km地点で佐藤に並びかける。その後はしばらく並走が続き、10kmも27分26秒という驚異的なラップタイムを刻んだ。
それでも、「キツさはそこまでなかった」と、以降は何度かペースを上げて前に出るなど主導権を握っていき、最後は18km過ぎにサングラスを頭にかけると同時にロングスパート。粘る佐藤を振り切り、最後は4秒先着して平塚中継所に飛び込んだ。
圧倒的な強さを見せ、昨年の箱根駅伝4区から続いていた駒大の学生三大駅伝連続トップ中継を「23」でストップする快進撃。走り終えた瞬間、後ろの運営管理車に乗る原晋監督から、「良く頑張った。あっぱれ!」の声がかかると笑顔で応えた。
59分47秒は区間歴代2位、日本人初の59分台だ。下り基調とはいえ、21.4kmをハーフマラソンの日本記録(1時間0分00秒)を上回るペースで走り切ったことになる。
だが太田本人は、「箱根駅伝はお祭り。楽しく走りたいと思っていて、その通りの走りができた結果、タイムがついてきた」と飄々と話す。
今大会出場選手で10000m自己記録トップ(27分28秒50)の佐藤とのデットヒートを制する殊勲にも、「競り合っている時が一番楽しかった。ロードは自分のフィールドなので」と言ってのけるほど。「追いかける怖さはなかった。並走してからは最後までもつれる覚悟もしましたけど、今季は1年間継続して練習もできていたので、1年時より走れる自信もあった」という同コースでの経験も武器にした。
これで勢いに乗ったチームは、4区の佐藤一世(4年)が区間賞。5区の若林宏樹(3年)も区間新記録(区間2位)と独走態勢を築き、2年ぶりに往路優勝を奪還。1年時は“シンデレラボーイ”と呼ばれた男は、2年の時を経て、“スーパーエース”となって箱根ファンを魅了した。
文/田中 葵
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