◇第100回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km)
箱根駅伝で最も華やかな花の2区。歴代のエースたちを苦しめてきたのが、終盤にそびえる“戸塚の壁”だ。第100回大会でこの難所を征服したのが青学大・黒田朝日(2年)だった。
「自分自身、上りが得意なので、権太坂から徐々にペースを上げていくイメージを持って走りました。最後のほうまで脚がすごく動いてくれたので、理想の走りができたかなと思います」
黒田の快走がレースの流れを変えた。
前回は5区の候補に挙げられながらも不出場。今季は夏に大きく進化した。
「夏合宿でケガなく練習を消化しました。その辺りから自分のなかでもベースが上がった感覚があったんです」
その予感通り、黒田は駅伝シーズンで快走を連発した。出雲駅伝2区は区間賞の走りで5人抜き、全日本大学駅伝2区は区間新記録(区間2位)で6人抜きを披露。全日本後、原晋監督から箱根2区の起用を告げられる。
そして11月22日のMARCH対抗戦10000mで28分15秒82の自己ベストをマークした。12月前半は「大丈夫かな」と思うくらい調子が落ち込んだが、本番1週間を切って急上昇。「ピークを持ってこられた」と自信満々で鶴見中継所に向かった。
トップ駒大と35秒差の9位でタスキを受け取ると、黒田は「自然体」でエース区間を駆け抜けた。レース前半は大集団となったが、他の選手やタイムは気にしなかったという。個人タイムは横浜駅前(8.2km地点)が13位、権太坂(15.2km地点)が7位。自分のリズムで刻んでいくと、終盤に圧倒的な強さを見せつける。
集団から抜け出すと、創価大のスティーブン・ムチーニ(1年)に迫り、20.5kmで2位に浮上。最後は藤色のタスキに近づいていく。
「ラスト3kmを切ってから駒大が見えてきたんです。1秒でも差を縮めたいという気持ちだけで走りました」
区間賞については「全然意識していなかった」ようで、ひたすら無我夢中で走った。権太坂で1分05秒差あった駒大に急接近。最後は13秒まで詰め寄り、フレッシュグリーンのタスキを3区・太田蒼生(3年)につなげた。
「区間賞は驚きで一杯ですし、うれしさもありますね。1時間6分台を出せればいいんじゃないかなと思ってたので、タイムは予想以上でした」と黒田は振り返る。駒大の背中には届かなかったが、権太坂で区間トップだった鈴木芽吹(4年)を大逆転。区間歴代4位の1時間06分07秒で区間賞に輝いた。
「監督に声をかけられているのかよくわかっていなかったのですが、自分1人になってから聞こえてきた『戸塚の坂に朝日が昇る』という言葉が印象的でしたね」
青学大の2年生エースが往路Vへの道筋を照らした。
文/酒井政人
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