◇第100回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km)
城西大の5区・山本唯翔(4年)が自身の持つ区間記録を50秒上回る1時間9分14秒で2年連続の区間賞を手にした。
「上りに入ったら負けない」。青学大の若林宏樹(3年)や創価大の吉田響(3年)といった“スペシャリスト”がそろうなか、山本は絶対の自信を持って天下の剣を駆け上がった。
「この1年間、区間賞は絶対取りたいという気持ちでやってきました」。最終学年は2区への意欲も見せていたが、チームのために山を担った。
周りは気にせず自分との勝負だと思って走り抜いた。前回は中盤でケイレンを起こし、小涌園の辺りからペースを抑え「30秒ほどのロスがあった」(櫛部静二監督)が、脚力強化など日ごろのトレーニングの成果で軽々と上っていった。
冷たい雨が降りしきる厳しい天候の中でのレース。山本は「雨予報は事前に把握していました。小田原中継所をスタートしてすぐは結構寒さを感じましたが、上っていくと前回より温度差がありませんでした。上のほうまで来ても『とても寒い』とは感じませんでした」という。
レース後半には雨も止み、若林を抑えて区間賞ペース。残るは“山の神”と呼ばれた今井正人(順大)が2005年に旧コース(函嶺洞門を通るため現コースより20m短い)でマークした1時間9分12秒への挑戦だった。
トラックシーズンにスピードを磨いた。「スパートを最後しっかりかけられるよう意識して、ジョグ後の流しや低酸素トレーニングでしっかり追い込んできました」。
残り1kmでは今井の記録しか見ていなかった。「そこには届きませんでしたが、あと2秒まで近づけたのは今季スパート力を磨いてきた結果だと思います」。中盤押していく力と合わせ、今季の取り組みがすべて報われた結果の区間新だった。
副主将としての立場もあった。チームのエースとして練習から背中を見せ、引っ張った。「自分自身も成長できたし、チームにも良い影響を与えられたのかなと思います」。
出雲3位、全日本5位、そして箱根往路も3位となり過去最高記録を残し続けてきた。「復路のメンバーも強いですが、往路の野村(颯斗)、(斎藤)将也、ヴィクター(・キムタイ)、(山中)秀真のみんなで稼がないといけないという思いもあったので、そこは自分の仕事ができた」。往路最高成績に決して満足せず、目標の総合3位に向けチームの意識は定まっている。
今井の記録にはあと一歩届かなかった。しかし、山本は何か吹っ切れたような笑顔で話した。
「どう呼ばれようと、みんなの記憶に残る走りができました。箱根駅伝の5区を小さい頃から見ていたので、大学生活ラストはいい走りができたのは良かった。特に“山の神”にこだわらなくてもいいかなと今は思います」
卒業後はSUBARUに進み、マラソンで五輪を狙う。箱根5区で輝いた山本は、いずれ日本のマラソン界を背負って立つランナーを目指す。
文/荒井寛太
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2026.10.29
富士通が新寮を公開!低酸素ルームやサウナなど完備「競技に集中できる」
2026.10.28
2026.10.27
2026.10.29
2026.10.17
【大会結果】第103回箱根駅伝予選会/チーム総合(2026年10月17日)
2026.10.08
2026.10.05
2026.10.17
Latest articles 最新の記事
2026.10.29
日本は金19含む51個のメダル 大島健吾らが2冠 嶋津雄大も堂々V 髙桑早生はアジアタイ記録で有終/アジアパラ
名古屋アジアパラ大会の陸上競技が10月19日から23日まで、名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムで行われ、日本勢は金メダル19個、銀メダル18個、銅メダル14個の計51個のメダルを獲得した。 ホスト国の日本からは男女53人がエ […]
2026.10.29
富士通が新寮を公開!低酸素ルームやサウナなど完備「競技に集中できる」
富士通は10月29日、今春完成した陸上競技部の選手寮を公開した。 陸上競技部が千葉県から本社のある神奈川県川崎市に拠点を約30年ぶりに再移転。これを受けて川崎市中原区に構えた。居室は25部屋で、寮内には低酸素ルームを備え […]
2026.10.28
【学生長距離Close-upインタビュー】出雲駅伝5区で快走した日大・長澤辰朗 「チームのためにやる仕事が強み」
学生長距離Close-upインタビュー 長澤辰朗 Nagasawa Tatsuro 日大3年 「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。63回目は、日大 […]
2026.10.28
宇佐美彰朗氏が死去 68年メキシコからマラソンで五輪3大会連続出場、東海大名誉教授など歴任
男子マラソンで五輪3大会連続出場を果たした宇佐美彰朗氏が10月26日、がんのため死去した。83歳だった。 1943年5月31日、新潟県西蒲原郡吉田町(現・燕市)に9人きょうだいの三男として生まれた。中学時代はバスケットボ […]
Latest Issue
最新号

2026年11月号 (10月14日発売)
アジア大会総特集
駅伝プレビュー

