2023.12.29
第100回箱根駅伝(2024年1月2日、3日)の区間エントリーが12月29日に発表された。
当日変更の可能性があるため、あくまでも“仮オーダー”ではあるものの、各校の戦略が垣間見えるかたちとなった。
各区間ごとにスポットを当ててみると、2区には駒大の鈴木芽吹(4年)や中大の吉居大和(4年)、國學院大の平林清澄(3年)、日大のシャドラック・キップケメイ(1年)、中央学大の吉田礼志(3年)ら“花の2区”にふさわしいメンバーが集った。
なかでも注目は前回区間賞の吉居だ。前回は区間歴代8位の1時間6分22秒で走破し、駒大の田澤廉(現・トヨタ自動車)や青学大の近藤幸太郎(現・SGホールディングスグループ)らに競り勝つ殊勲。前々回は1区で空前絶後の区間新記録を樹立した。
本人は「1時間5分30秒」という目標を掲げており、2021年に東京国際大のイェゴン・ヴィンセント(現・Honda)が樹立した区間記録(1時間5分49秒)の更新も視野に入る。
キップケメイは予選会で、後半にアップダウンが待ち構える昭和記念公園コースでハーフマラソンを1時間0分16秒と好タイムを刻んだ。これは同コースでの日本人最高タイムとなる順大・塩尻和也(現・富士通)の1時間1分22秒を1分以上も上回る。塩尻はその3ヵ月後の箱根路で2区を1時間6分46秒と当時の日本人最高記録をマークしており、単純計算ではそれよりも1分以上速く走っても不思議ではない。
鈴木は吉居とともに1年時から主力選手として各大会で活躍してきたものの、意外にも駅伝での直接対決はない。展開次第では学生長距離界を代表するランナー2人の熱い競演が見られるかもしれない。
全日本7区区間賞の平林、ハーフマラソンで日本人学生歴代2位の1時間0分31秒を持つ吉田、今季絶好調の早大・山口智規(2年)も有力で、複数のランナーが1時間7分切りの好タイムをそろえてきそうだ。
5区では“山の神”誕生に注目だ。その候補筆頭に挙がるのが、前回区間新記録での区間賞を獲得した城西大の山本唯翔(4年)。自身が樹立した1時間10分04秒を上回ることはもちろん、ほぼ同じコース(函嶺洞門を迂回するぶん、現コースのほうが20m長い)だった2005年に順大の今井正人(現・トヨタ自動車九州)がマークした1時間9分12秒がターゲットだ。
他にも5区には注目選手がそろう。創価大は前々回1年生ながら区間2位と好走した吉田響(3年)がエントリー。今季は出雲駅伝5区、全日本大学駅伝5区と連続で区間賞を獲得しており、今回も区間賞となれば異例の“5区完全制覇”となる。吉田響も今井の記録を意識しており、「1時間8分45秒」を目標に掲げる。
前々回で区間2位だった吉田響からわずか2秒遅れの区間3位だったのが青学大の若林宏樹(3年)だ。前回は直前の体調不良で欠場となったが、2度目の山上りへ気合は十分。秋までは故障などで苦しんだものの、徐々に調子を上げ、今回また5区に登録された。
王者・駒大は前々回区間4位と好走した金子伊吹(4年)をエントリーしており、前回区間4位だった補欠の山川拓馬(2年)と合わせて上り候補は万全。その他にも11月19日の激坂最速王決定戦登りの部で優勝した国士大の山本雷我(4年)、中大の山﨑草太や早大の工藤慎作らルーキー勢も好走するかもしれない。
記念すべき100回大会で、新たな箱根のヒーロー誕生なるか。
1月2日の往路、3日の復路スタートの1時間10分前(6時50分)にメンバー変更が認められる。往路、復路合わせて当日変更は6人までで、1日最大4人まで変更できる。
第100回箱根駅伝の2区&5区のエントリーリストをチェック!
<2区> <5区> 駒大 鈴木芽吹(4年) 金子伊吹(4年) 中大 吉居大和(4年) 山﨑草太(1年) 青学大 平松享祐(1年) 若林宏樹(3年) 國學院大 平林清澄(3年) 上原琉翔(2年) 順大 浅井皓貴(3年) 石井一希(4年) 早大 山口智規(2年) 工藤慎作(1年) 法大 松永 伶(4年) 細迫海気(4年) 創価大 S.ムチーニ(1年) 吉田 響(3年) 城西大 磯西健心(2年) 山本唯翔(4年) 東洋大 梅崎 蓮(3年) 馬場大翔(1年) [adinserter block="4"] 大東大 久保田徹(4年) 菊地駿介(4年) 明大 児玉真輝(4年) 吉川 響(2年) 帝京大 山中博生(3年) 尾崎仁哉(2年) 日体大 山口 廉(3年) 三好紘生(4年) 日大 S.キップケメイ(1年)大橋 優(3年) 立教大 國安広人(2年) 岸本健太郎(4年) 神奈川大 花井 創(1年) 飯塚 厚(3年) 国士大 P.カマウ(3年) 山本雷我(4年) 中央学大 吉田礼志(3年) 柴田大輝(3年) 東海大 花岡寿哉(2年) 喜早駿介(4年) 東農大 並木寧音(4年) 吉村颯斗(4年) 駿河台大 早稲田蓮(2年) 倉島啓人(2年) 山梨学大 B.キピエゴ(1年) 弓削征慶(2年) 箱根駅伝 全チーム区間エントリー(pdf)
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.04.30
【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
2025.04.29
100mH田中佑美が予選トップ通過も決勝棄権「故障ではない」昨年の結婚も明かす/織田記念
-
2025.04.28
-
2025.04.26
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.04.01
-
2025.04.12
-
2025.04.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.04.30
【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」
山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]
2025.04.30
【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦
FOCUS! 高校生INTERVIEW 山田大智 Yamada Daichi 西脇工高3兵庫 2025年シーズンが本格的に始まり、高校陸上界では記録会、競技会が次々と開かれています。その中で好記録も生まれており、男子50 […]
2025.04.30
5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場
5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]
2025.04.30
26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得
世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)