2023.12.28
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの)
第89回(2013年/平成25年)
前回19位から歴史的なV 中大が途中棄権で連続シードが28でストップ
全日本大学駅伝を大会新で連覇した駒大と、前回王者で全日本2位の東洋大による「2強」の優勝争いが予想された第89回大会。10月の予選会では40年連続で本戦出場を続けていた東海大が敗退したほか、前年11位の国士大、同14位の拓大も本戦へ駒を進めなかった。一方で大東大と法大が3年ぶり、日大が2年ぶりに本戦出場をつかんだ。
強烈な向かい風が吹き荒ぶ中でスタートした1区は、16km手前でスパートをかけた東洋大の田口雅也に法大の西池和人、明大の文元慧がつく、2年生3人の争いとなった。19km付近で再度ペースを上げた田口が区間賞を獲得。14秒差の2位で明大、さらにその1秒差で法大が続き、前々回王者の早大、出雲駅伝優勝の青学大が17位、18位と出遅れた。
2区では東洋大の設楽啓太(3年)が首位を独走する一方で、13位でスタートした日大のガンドゥ・ベンジャミン(4年)が猛烈な勢いで迫っていく。13位でスタートしたベンジャミンはあっという間に2位まで順位を上げ、最後の上り坂で設楽を捕らえて12人抜きを達成。区間賞を獲得する走りでトップ中継を果たした。
3区では双子の兄からタスキを受けた東洋大の設楽悠太(3年)が日大を抜いてトップを爆走。区間1位の走りで後続に2分41秒の大差をつけた。駒大が中村匠吾(2年)の3人抜きで2位へ浮上。早大も大迫傑(3年)が区間2位と好走して12位から3位へ躍り出た。
首位をひた走る東洋大は4区でやや詰められたものの、そのままトップで5区へ中継。日体大が2位に上がり、3位に早大、4位に明大と続き、駒大は4区で区間19位と振るわず、10位まで順位を落とした。
山上りの5区では日体大の服部翔大(3年)と早大の山本修平(2年)が東洋大を猛追し、12km手前で首位に躍り出る。その後、服部が山本を振り切り、最終的には2分35秒の大差をつけて26年ぶりの往路優勝を決めた。2位に早大、3位に東洋大、4位に明大と上位の顔ぶれは変わらず、13位から関口頌悟(2年)が8人抜きの快走を見せた法大が5位に食い込んだ。
復路は日体大の強さが際立った。6区の鈴木悠介(3年)が区間7位で山を下ると、7区の高田翔二(4年)、8区の高柳祐也(4年)、9区の矢野圭吾(3年)、10区の谷永雄一(4年)は区間2位でまとめ、終わってみれば6区で2位に浮上した東洋大に5分近くの差をつけて30年ぶり10回目の総合優勝を勝ち取った。前年19位からの優勝は史上最大の“V字回復”だった。
往路9位から3位まで順位を上げた駒大が復路優勝。6区の千葉健太、9区の上野渉、10区の後藤田健介と4年生3人の区間賞で優勝候補の意地を見せた。
4位争いはし烈を極め、帝京大の熊崎健人(2年)と早大の田口大貴(2年)がフィニッシュ直前までデッドヒートを繰り広げた。お互いスパートするタイミングを見計らい、先に勝負を仕掛けた熊崎が同タイムながらわずかに先着。チームの過去最高順位タイを手繰り寄せた。
予選会から勝ち上がった法大が9位で7年ぶりにシード権を獲得。10位の中央学大も4年ぶりにシード校へ返り咲いた。
一方で5区では城西大と中大が途中棄権となるアクシデントも発生。中大は1985年から続けていた連続シードが「28」で途切れたが、8区の永井秀篤(2年)が参考記録ながら区間1位の記録を36秒も上回る“幻の区間賞”の走りで名門の意地を見せた。
金栗四三杯(最優秀選手)は5区で区間賞を獲得して総合優勝の立役者となった服部が獲得。強風が吹き荒れ、全体的に記録水準は低かったものの、名門の復活、ごぼう抜き、熾烈なアンカー争いなど見応えのある大会だった。
参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
第89回(2013年/平成25年) 前回19位から歴史的なV 中大が途中棄権で連続シードが28でストップ
全日本大学駅伝を大会新で連覇した駒大と、前回王者で全日本2位の東洋大による「2強」の優勝争いが予想された第89回大会。10月の予選会では40年連続で本戦出場を続けていた東海大が敗退したほか、前年11位の国士大、同14位の拓大も本戦へ駒を進めなかった。一方で大東大と法大が3年ぶり、日大が2年ぶりに本戦出場をつかんだ。 強烈な向かい風が吹き荒ぶ中でスタートした1区は、16km手前でスパートをかけた東洋大の田口雅也に法大の西池和人、明大の文元慧がつく、2年生3人の争いとなった。19km付近で再度ペースを上げた田口が区間賞を獲得。14秒差の2位で明大、さらにその1秒差で法大が続き、前々回王者の早大、出雲駅伝優勝の青学大が17位、18位と出遅れた。 2区では東洋大の設楽啓太(3年)が首位を独走する一方で、13位でスタートした日大のガンドゥ・ベンジャミン(4年)が猛烈な勢いで迫っていく。13位でスタートしたベンジャミンはあっという間に2位まで順位を上げ、最後の上り坂で設楽を捕らえて12人抜きを達成。区間賞を獲得する走りでトップ中継を果たした。 3区では双子の兄からタスキを受けた東洋大の設楽悠太(3年)が日大を抜いてトップを爆走。区間1位の走りで後続に2分41秒の大差をつけた。駒大が中村匠吾(2年)の3人抜きで2位へ浮上。早大も大迫傑(3年)が区間2位と好走して12位から3位へ躍り出た。 首位をひた走る東洋大は4区でやや詰められたものの、そのままトップで5区へ中継。日体大が2位に上がり、3位に早大、4位に明大と続き、駒大は4区で区間19位と振るわず、10位まで順位を落とした。 山上りの5区では日体大の服部翔大(3年)と早大の山本修平(2年)が東洋大を猛追し、12km手前で首位に躍り出る。その後、服部が山本を振り切り、最終的には2分35秒の大差をつけて26年ぶりの往路優勝を決めた。2位に早大、3位に東洋大、4位に明大と上位の顔ぶれは変わらず、13位から関口頌悟(2年)が8人抜きの快走を見せた法大が5位に食い込んだ。 復路は日体大の強さが際立った。6区の鈴木悠介(3年)が区間7位で山を下ると、7区の高田翔二(4年)、8区の高柳祐也(4年)、9区の矢野圭吾(3年)、10区の谷永雄一(4年)は区間2位でまとめ、終わってみれば6区で2位に浮上した東洋大に5分近くの差をつけて30年ぶり10回目の総合優勝を勝ち取った。前年19位からの優勝は史上最大の“V字回復”だった。 往路9位から3位まで順位を上げた駒大が復路優勝。6区の千葉健太、9区の上野渉、10区の後藤田健介と4年生3人の区間賞で優勝候補の意地を見せた。 4位争いはし烈を極め、帝京大の熊崎健人(2年)と早大の田口大貴(2年)がフィニッシュ直前までデッドヒートを繰り広げた。お互いスパートするタイミングを見計らい、先に勝負を仕掛けた熊崎が同タイムながらわずかに先着。チームの過去最高順位タイを手繰り寄せた。 予選会から勝ち上がった法大が9位で7年ぶりにシード権を獲得。10位の中央学大も4年ぶりにシード校へ返り咲いた。 一方で5区では城西大と中大が途中棄権となるアクシデントも発生。中大は1985年から続けていた連続シードが「28」で途切れたが、8区の永井秀篤(2年)が参考記録ながら区間1位の記録を36秒も上回る“幻の区間賞”の走りで名門の意地を見せた。 金栗四三杯(最優秀選手)は5区で区間賞を獲得して総合優勝の立役者となった服部が獲得。強風が吹き荒れ、全体的に記録水準は低かったものの、名門の復活、ごぼう抜き、熾烈なアンカー争いなど見応えのある大会だった。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)第89回箱根駅伝総合成績をチェック
●総合成績 1位 日体大 11時間13分26秒 2位 東洋大 11時間18分20秒 3位 駒大 11時間19分23秒 4位 帝京大 11時間21分39秒 5位 早大 11時間21分39秒 6位 順大 11時間24分43秒 7位 明大 11時間25分14秒 8位 青学大 11時間25分59秒 9位 法大 11時間26分40秒 10位 中央学大11時間27分34秒 11位 山梨学大11時間28分24秒 12位 大東大 11時間30分46秒 13位 関東学連選抜 11時間31分50秒 14位 國學院大11時間33分28秒 15位 日大 11時間35分23秒 16位 神奈川大11時間37分36秒 17位 東農大 11時間39分13秒 18位 上武大 11時間42分44秒 城西大 途中棄権 中大 途中棄権 ●区間賞 1区 田口雅也(東洋大) 1時間03分32秒 2区 N.ベンジャミン(日大)1時間08分46秒 3区 設楽悠太(東洋大) 1時間04分36秒 4区 田中秀幸(順大) 57分16秒 5区 服部翔大(日体大) 1時間20分35秒 6区 千葉健太(駒大) 58分15秒 7区 我那覇和真(神奈川大)1時間04分47秒 8区 高橋宗司(青学大) 1時間06分46秒 9区 上野渉(駒大) 1時間09分50秒 10区 後藤田健介(駒大) 1時間10分49秒
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