HOME 学生長距離

2023.12.26

箱根駅伝Stories/再び山に挑む城西大・山本唯翔「目標は区間新記録。最後は笑顔で終わりたい」
箱根駅伝Stories/再び山に挑む城西大・山本唯翔「目標は区間新記録。最後は笑顔で終わりたい」

2年連続の5区区間賞、そして区間新記録を目指す山本唯翔

新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。

学生トップランナーへと成長

前回の箱根駅伝で5区区間賞に輝いた山本唯翔(4年)。櫛部静二監督が発した「山の妖精」のフレーズとともに、にわかに注目を集めた。2023年は2月に丸亀ハーフで1時間1分34秒と大学記録を更新。8月のワールドユニバーシティゲームズ10000mで銅メダルを獲得するなど、学生長距離界を代表する選手へと成長を遂げている。

学生生活最後の駅伝シーズン。まずは出雲駅伝。山本はエースが集う最終6区(10.2km)を走り、区間3位。総合でも3位に入り、大学史上最高順位でゴールした。

「1区で斎藤(将也/2年)の転倒もありましたが、みんなが順位を押し上げてくれました。アンカーでは後ろから青学大と國學院大が迫ってきていましたが、『絶対にこの順位は守らないといけない』という使命感を持って走りました。総合3位はチームとして大きな躍進。三大駅伝でいいスタートを切れました」

続いて全日本大学駅伝。再び最終8区(19.7km)を任されて区間5位。総合でも5位と、これまた大学史上最高順位でフィニッシュした。

「1年生の時に7区(17.6km、区間13位)を走りましたが、8区は初めて。コースも最長で後半に上りがあったりして、自分には合うコースだと思いました。最初の5kmを突っ込んで後半耐えるレースプランでしたが、暑さもあり耐える走りになりました。しかし、チーム目標の5位まで順位を上げゴールできたのは自信になりました」

その全日本から1週間後。11月11日の日体大長距離競技会10000mで、出場した城西大の選手7人全員が自己ベストを記録した。しかもヴィクター・キムタイ(2年)が27分41秒04、斎藤が27分59秒69。山本は斎藤に自己記録を抜かれた。

広告の下にコンテンツが続きます

「あの日は大学でポイント練習をしていました。2人が27分台に乗ったのはすごいなと思います。斎藤に自分のタイムを越されたのは少し悔しい部分もありますが、駅伝はチームスポーツ。選手層の厚みが生まれました。自分も走りたかったなという気持ちもなくはなかったですが、みんなが強くなったのはうれしいです」と後輩たちの奮起に、自身もやる気をみなぎらせる。

新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。

学生トップランナーへと成長

前回の箱根駅伝で5区区間賞に輝いた山本唯翔(4年)。櫛部静二監督が発した「山の妖精」のフレーズとともに、にわかに注目を集めた。2023年は2月に丸亀ハーフで1時間1分34秒と大学記録を更新。8月のワールドユニバーシティゲームズ10000mで銅メダルを獲得するなど、学生長距離界を代表する選手へと成長を遂げている。 学生生活最後の駅伝シーズン。まずは出雲駅伝。山本はエースが集う最終6区(10.2km)を走り、区間3位。総合でも3位に入り、大学史上最高順位でゴールした。 「1区で斎藤(将也/2年)の転倒もありましたが、みんなが順位を押し上げてくれました。アンカーでは後ろから青学大と國學院大が迫ってきていましたが、『絶対にこの順位は守らないといけない』という使命感を持って走りました。総合3位はチームとして大きな躍進。三大駅伝でいいスタートを切れました」 続いて全日本大学駅伝。再び最終8区(19.7km)を任されて区間5位。総合でも5位と、これまた大学史上最高順位でフィニッシュした。 「1年生の時に7区(17.6km、区間13位)を走りましたが、8区は初めて。コースも最長で後半に上りがあったりして、自分には合うコースだと思いました。最初の5kmを突っ込んで後半耐えるレースプランでしたが、暑さもあり耐える走りになりました。しかし、チーム目標の5位まで順位を上げゴールできたのは自信になりました」 その全日本から1週間後。11月11日の日体大長距離競技会10000mで、出場した城西大の選手7人全員が自己ベストを記録した。しかもヴィクター・キムタイ(2年)が27分41秒04、斎藤が27分59秒69。山本は斎藤に自己記録を抜かれた。 「あの日は大学でポイント練習をしていました。2人が27分台に乗ったのはすごいなと思います。斎藤に自分のタイムを越されたのは少し悔しい部分もありますが、駅伝はチームスポーツ。選手層の厚みが生まれました。自分も走りたかったなという気持ちもなくはなかったですが、みんなが強くなったのはうれしいです」と後輩たちの奮起に、自身もやる気をみなぎらせる。

山の神の記録に挑む

いよいよ箱根駅伝100回大会を迎える。山本は前回同様に5区出走の見込みだ。初代山の神・今井正人(順大/現・トヨタ自動車九州)の持つ1時間9分12秒がターゲットだ。 8月のワールドユニバーシティゲームズの後も夏合宿もしっかり距離を踏み、質の高い練習が積めた。 櫛部静二監督が「前回も上りに対しての準備はかなりしていて、その結果が区間賞に結びつきました。ただ、途中で脚を攣りかけたのもあり、1回ペースを抑えています。結果的には区間新でしたが、もし攣っていなかったら1時間9分台は出せていたと思います」と言うように、前回は決して100点のレースではなかった。「区間賞は取りましたが、まだまだタイムの短縮が図れます」(櫛部監督)は前回以上の走りを期待する。 山本も指揮官の意図を理解している。「脚を攣ってしまったことへの準備不足がまずありました。平地でペースを押していけることが自分の強みですが、今年1年間の練習の成果を出すことができれば、もっといい記録につながるはずです」。 チームは総合3位を狙う。駒大の強さは際立っている。全日本で城西大の上を行った青学大、國學院大、中大との争いになりそうだ。「全日本は途中で2位に上がりましたし、その3校と戦えるくらいの力はチームとしてついたと思います。そうは言っても、他の大学は層が厚い。自分たちも失敗してしまったらすぐに順位は落ちてしまいます」。チームに勢いはあるが、油断は決してしていない。 母校の開志国際高(新潟)が5年ぶり2回目の全国高校駅伝出場を果たした。山本が高校2年生の時以来の県代表だ。「後輩たちの頑張りはうれしいです。いい刺激をもらいました。それを受け止めて自分は最後の箱根で頑張る必要がありますね」。 学生生活集大成の100回大会。山本にとっては中学生の時から一番思い入れのある大会だ。「まずはチームのために走りたい。目標の総合3位を達成して、後輩たちのために101回大会につなげたい。個人としては区間賞、そして区間新記録、最後は笑顔で終わりたい」。 卒業後は実業団のSUBARUに進み、マラソンに挑戦する。箱根駅伝を糧に成長してきた山本。「山の妖精」から「世界の山本」へ。最後の箱根路は陸上人生の思いのすべてをぶつけるつもりだ。 [caption id="attachment_124700" align="alignnone" width="800"] 総合3位に向けて健闘を誓う山本(左)と斎藤将也(チーム提供)[/caption] やまもと・ゆいと/2001年5月16日生まれ。新潟県十日町市出身。新潟・松代中→開志国際高。5000m13分51秒08、10000m28分25秒21、ハーフ1時間1分34秒 文/荒井寛太

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.12.02

1万mで塩尻和也が27分36秒37で1着タイ 山谷昌也27分50秒77 伊藤達彦、長嶋幸宝、鈴木健吾らも27分台/日体大長距離競技会

第318回日体大長距離競技会兼第13回NITTAIDAI Challenge Games(NCG)が12月1日に行われ、NCG男子10000mは日本記録保持者の塩尻和也(富士通)、フィレモン・キプラガット(愛三工業)の2 […]

NEWS 東洋大男子長距離部門がセブン銀行と契約「日々挑戦する心で革新」箱根駅伝からロゴ入りユニ着用

2024.12.02

東洋大男子長距離部門がセブン銀行と契約「日々挑戦する心で革新」箱根駅伝からロゴ入りユニ着用

株式会社セブン銀行は12月2日、東洋大学陸上競技部男子長距離部門の公式トレーニングウェア・公式ユニフォームへのロゴ掲出に関する契約を締結したと発表した。 東洋大は箱根駅伝で優勝4度を誇り、19年連続シード権獲得中。スクー […]

NEWS やり投・北口榛花がアサヒ生ビールCMに登場「お疲れ生です!」ではにかむ

2024.12.02

やり投・北口榛花がアサヒ生ビールCMに登場「お疲れ生です!」ではにかむ

アサヒビール株式会社は、“マルエフ”の愛称で親しまれる『アサヒ生ビール』の新TVCM「2024今年も一年おつかれ生です」篇を12月1日から放映。女子やり投でパリ五輪金メダルに輝いた北口榛花(JAL)が出演している。 訪日 […]

NEWS やり投五輪金の北口榛花「名言が残せなかった」流行語大賞トップ10入り!「流行った自覚ない(笑)」

2024.12.02

やり投五輪金の北口榛花「名言が残せなかった」流行語大賞トップ10入り!「流行った自覚ない(笑)」

2024年を代表する言葉を選ぶ「現代用語の基礎知識選 2024ユーキャン新語・流行語大賞」の表彰式が12月2日に都内で行われ、パリ五輪女子やり投金メダルの北口榛花(JAL)の「名言が残せなかった」がトップ10入りを果たし […]

NEWS 中大・本間颯がハーフマラソンで1時間2分45秒の自己新 溜池一太、吉居駿恭らもベスト更新/THE DISTANCE GAMES

2024.12.02

中大・本間颯がハーフマラソンで1時間2分45秒の自己新 溜池一太、吉居駿恭らもベスト更新/THE DISTANCE GAMES

12月1日、THE DISTANCE GAMESが東京都の荒川河川敷の公認コースで行われ、ハーフマラソンの部では本間颯(中大)が1時間2分45秒の自己新でトップフィニッシュを果たした。 チームのSNSによると、この日は主 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年12月号 (11月14日発売)

2024年12月号 (11月14日発売)

全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会

page top