2023.12.12
「第100回箱根駅伝トークバトル」が12月11日、東京・恵比寿ガーデンプレイスで4年ぶりとなる有観客で行われた。
前回の優勝校でトークバトル初登場となる駒大・藤田敦史監督、前回2位の中大・藤原正和駅伝監督、同3位の青学大・原晋監督、同4位の國學院大・前田康弘監督、同5位の順大・長門俊介駅伝監督が出席しコーディネーター役を関東学生陸上競技連盟・上田誠仁駅伝対策委員長(山梨学院大学顧問)が務めた。
各指揮官は、第100回大会の展望や秘策、出雲駅伝と全日本大学駅伝を終えての手応えなどを展開。本大会への意気込みを熱く、ユーモアを交えながらの〝舌戦〟を繰り広げた。
最初のテーマは、「理想の監督像」。上田委員長は「監督とは、オーケストラの作曲家でもあり、調律師でもあり、指揮者でもある。いろいろな楽器のような個性ある選手たちを調律したりリズムを取ったりして、芸術的な素晴らしい演奏をする役目を担っている」と表現したが、藤田監督は自身の恩師でもある大八木弘明前監督の名を挙げ、「熱量、情熱がすべてを突き動かした」と話した。同じく駒大OBの前田監督は、「心は熱くパッションを燃やして、選手の心に響く発言力が必要」とした上で、「それだけではダメで、冷静に考える頭や聞く力が求められる」と語った。
トークバトル恒例の「ズバリ!今大会の目標順位は?」という質問では、各監督が往路、復路、総合の目標順位をそれぞれ手元のフリップに以下のように記入した。
駒大・藤田監督「(往路)優勝 (復路)優勝 (総合)優勝」
中大・藤原監督「(往路)1~2位 (復路)1~2位 (総合)優勝」
青学大・原監督「(往路)優勝 (復路)優勝 (総合)優勝」
國學院大・前田監督「(往路)3位以内 (復路)3位以内 (総合)3位以内」
順大・長門監督「(往路)7~8位 (復路) (総合)5位」
前回の3位までの監督がそれぞれ力強く総合優勝を目標に掲げた。藤田監督が「今年度のチーム目標は2年連続3冠ですが、3冠を達成した昨年度のチームへの挑戦というテーマも掲げて挑んでいます」と語れば、藤原監督も「今回は絶対にもつれる。もつれさせる自信が現時点ではあります」と応戦。恒例となった青学大の作戦名を「負けてたまるか大作戦」と発表した原監督は、「挽回するのは非常に難しいので、往路から先頭に立ってレースをしたい」と打倒・駒大に闘志を燃やした。
続けて、この日エントリーされた各校のエントリーメンバー16名を見ていった。各校が概ね順当に主力選手を登録し、指揮官たちは「○○選手は何区?」「○○君は2区だと思うけど、どうですか?」といった腹を探り合うような駆け引きが会場を盛り上げた。
続いてのテーマは、「駒澤にどうやって勝つ!?」と、出雲駅伝と全日本大学駅伝を快勝し、史上初の2年連続3冠が懸かる駒大を軸にトークが展開された。駒大対策として、藤原監督は「箱根の距離」、原監督は「30秒以内でレース」、前田監督は「追う心理」、長門監督は「混戦」と記載。
原監督は「10000m27分台ランナーが3人いて、山もいる。前回の箱根からブレーキがなく、隙がない。そうは言っても同じ学生ランナーが戦う大会。30秒以内で常にプレッシャーをかけながらレースを進めていく」ことで勝機をつかもうと考えている。しかし、藤田監督も「今は大八木総監督と2人体制でまた強くしていますので、負けるつもりはないです」ときっぱり言い切った。
「他校のこの選手が気になる!」というテーマでは、長門監督が「4代目 山の神!?」と個人名を挙げなかった一方で、前田監督は駒大の佐藤圭汰(2年)、原監督は創価大の吉田響(3年)、藤原監督と藤田監督はともに東農大の前田和摩(1年)を挙げ、それぞれの選手の魅力や将来への期待を述べた。
最後に各監督が今大会に向けた意気込みを力強く語り、トークバトルが終了した。
第100回箱根駅伝は来年1月2日に往路、3日に復路が行われる。12月29日に区間エントリー10人が発表され、往路、復路スタートの1時間10分前(6時50分)にメンバー変更が認められる。
文/小野哲史
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.11.17
-
2025.11.16
2025.11.16
橋岡優輝が家族での初教室「楽しみながら陸上に触れて」
-
2025.11.14
-
2025.11.13
-
2025.11.15
2025.11.02
青学大が苦戦の中で3位確保!作戦不発も「力がないチームではない」/全日本大学駅伝
-
2025.11.02
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.11.17
クイーンズ駅伝「クマ対応」出没時間によって開催・中止を本部で決定 広瀬川沿い、1区の松島町、利府町内を警戒
一般社団法人日本実業団陸上競技連合は11月17日、全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝in宮城/11月23日)における「クマ対応」を発表した。 頻発するクマによる被害を鑑みての対応。松島町の文化交流館前のスタート地点 […]
2025.11.17
長谷川体育施設が日本陸連のオフィシャルサポーティングカンパニーに “協働”と“共創”目指す
日本陸連は11月17日、新たな協賛企業として、スポーツ施設総合建設業の長谷川体育施設(本社・東京都世田谷区/仁ノ平俊和社長)が決定したと発表した。11月からの契約で、カテゴリーとしては「オフィシャルサポーティングカンパニ […]
2025.11.17
男子は東京世界陸上5000m11位のキプサング、女子はアメバウが制覇 そろってツアー2勝目/WAクロカンツアー
世界陸連(WA)クロスカントリーツアー・ゴールドの第4戦「クロス・インターナショナル・デ・ソリア」が11月16日、スペイン北部のソリアで開催され、男子(8km)はM.キプサング(ケニア)が23分10秒で優勝した。 キプサ […]
2025.11.17
女子砲丸投・鞏立姣が現役引退 世界選手権2連覇含む8大会連続メダル獲得
女子砲丸投の五輪・世界選手権金メダリストの鞏立姣(中国)が現役を引退することがわかった。 鞏立姣は東京五輪で金メダルを獲得している36歳。世界選手権では2017年ロンドン、19年ドーハ大会で2連覇している。 18歳で初出 […]
2025.11.16
佐久長聖2時間4分57秒で27連覇 長野東1時間8分10秒でV17 地区代表は2年連続で長野日大&新潟一/北信越高校駅伝
北信越高校駅伝が11月16日、新潟市のデンカビッグスワンスタジアムを発着とする駅伝周回コースで行われ、男子(7区間42.195Km)は佐久長聖(長野)が2時間4分57秒で27連覇を決めた。女子(5区間21.0975Km) […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025