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2023.12.14

〝合宿の聖地〟菅平高原で酸素ルームを最初に導入、目標に向かって突き進むアスリートをO2Room®で応援【スポーツハイム初音館】
〝合宿の聖地〟菅平高原で酸素ルームを最初に導入、目標に向かって突き進むアスリートをO2Room®で応援【スポーツハイム初音館】

スポーツ合宿を受け入れている菅平高原のホテルや旅館で高気圧酸素ルームを最初に導入したスポーツハイム「初音館」。〝酸素ルームのパイオニア〟日本気圧バルク工業社製で、 確かなエビデンスを基に自社開発・自社製造された製品に対して初音館の下平雅伸代表は「これだったら安心してお客様に使っていただける」と話している

ラグビーやサッカーをはじめ、陸上競技やスキーなど〝スポーツ合宿の聖地〟として知られる長野県上田市の菅平高原。昭和初期から国内屈指のスキー場として発展。戦後、広大な敷地と夏場の冷涼な気候を利用してラグビーの合宿地として広まって現在に至る。複数の芝グラウンドや全天候型陸上競技場もある菅平スポーツランド「サニアパーク菅平」、各宿泊施設が所有するものを含め100面以上のフルサイズの天然芝・人工芝グラウンドを有し、雨の少ない気候条件とも相まって、全国各地から多くの選手が集う。さらに標高1200~1500mの準高地に位置し、近年、クロカンやロードコースも整備され、高地トレーニングの場としても活用が進む。ここでは、2018年に日本気圧バルク工業の高気圧酸素ルームを同地で初めて常設し、合宿に訪れる選手のコンディショニングに役立てているスポーツハイム「初音館」(下平雅伸代表)の取り組みを紹介する。

先祖は開拓の先駆者、菅平高原に通年定住した第1号

1967年に日本ラグビーフットボール協会が初めて日本代表の合宿を実施したことを皮切りに、夏の合宿地としての開発が一気に進んだ長野県上田市の菅平高原。花の百名山として知られる根子岳(2207m)、日本百名山のひとつ四阿山(2354m)の山麓に広がる高原には、約30軒のホテルやペンションなどの宿泊施設をはじめ、大学や企業の保養所などが点在する。

そうしたなか、サッカーやラグビーはもちろん、アルティメット、ラクロスなどをフルサイズで使用可能な天然芝(110m×68m)および人工芝(110m×75m)のグラウンドを各1面ずつ備えた高原ホテルとして1985年にオープンしたのがスポーツハイム「初音館」。標高1250m、コンビニや飲食店が集まる高原の中心に位置し、32室・最大230人が宿泊可能な中規模施設として親しまれている。

オーナーである下平雅伸さん(53歳)の先祖は、江戸時代末期の1848年に菅平高原へ入植し、当地に通年で定住した第1号。高原を開拓して農業を営んでいたが、その後は民宿との兼業となった。昭和の時代になって民宿は冬のスキー客が主な対象になっていたが、夏のスポーツ合宿にも対応できるようリニューアルしたのが「初音館」だ。

このエリアは1998年の長野冬季オリンピック開催に合わせて開発が進み、1999年に天然芝グラウンド5面と第3種公認の全天候型陸上競技場(400m8レーン)を備えた菅平高原スポーツランド「サニアパーク菅平」が誕生。その後、各宿泊施設も独自にグラウンド開発に取り組み、現在では高原内に100面以上のグラウンドを有するまでに発展した。

さらに準高地の環境を活用し、1周約4~6㎞の周回ランニングコースやクロカンコースなどを整備。陸上の長距離選手が徐々に集まって走り込みをしたり、海外で本格的な高地トレーニングを行う前の〝高地順化〟として訪れる例も増えており、夏場はラグビーやサッカー、春と秋は陸上の長距離、冬はスキーと、季節ごとに異なるスポーツの合宿のメッカとして知られるようになった。

スポーツハイム「初音館」は菅平高原の中心地にある

菅平高原までは、最寄り駅の北陸・長野新幹線上田駅からバスで約60分。東京から約2時間20分というアクセスの良さも魅力のひとつである。
「初音館でも独自のグラウンドを持っているので、夏は高校の花園常連チームなどラグビーを中心に、その前後は大学や実業団など陸上のチーム、最近では市民ランナーのグループなどにも活用していただいています」と下平代表。猛暑となった今年度の夏でも、夜はエアコンなしで過ごせる快適な気候を求めて多くの人々が同館を訪れた。

学生時代までは競技スキーに打ち込み、現在もスキーの指導員や検定員の資格を持ち、菅平高原スキー学校(全日本スキー連盟公認)の校長も務める下平代表。「菅平が東京都のスキー検定の会場となっていることもあり、中学・高校の合宿や宿泊研修としても活用していただいています」と冬は多くのスキー客で賑わいを見せる。

夏は涼しく、スポーツ合宿に最適な菅平高原(左)。冬はスキーリゾートとして人気を集めている

話題となっていた〝酸素〟に注目、菅平高原で初の酸素ルーム導入

プロ、アマを問わずスポーツに親しむ人々が宿泊者の中心となるスポーツハイム「初音館」。何か選手に役立つものはないかと思案しているなか、「サッカーワールドカップの際のベッカム選手(イングランド)のケガの治療や高校野球でのハンカチ王子の連投の際に〝酸素〟が有効だったという報道などを目にするようになったこと、ラグビーやサッカーはコンタクトスポーツでケガも多く、2010年頃からは、合宿の際に酸素カプセルを持ち込むチームが増え、少しずつ〝酸素〟に興味を持つようになりました」と、酸素ルーム導入のきっかけを振り返る。

「選手のために」をモットーとして菅平高原の施設でいち早く酸素ルームを導入したスポーツハイム「初音館」の下平代表

夏でも涼しい菅平高原だが、夏場の日中は気温が上がる。そうしたなか、午前と午後の練習の合間に酸素カプセルを使用している選手が、温度調節ができない酸素カプセルの中で暑がっているのを目の当たりにし、どうにかならないものかと考えていた際に出会ったのが酸素ルームの存在だった。

当時、どの宿泊施設でも、チームによる酸素カプセルの持ち込みが増えており、その導入に踏み切るところも見かけられたが、まだ菅平高原で酸素ルームを導入している施設はなかった。
「大学や実業団のチームが酸素ルームをトラックに載せて持ち込んでいるのを見て、どうせ入れるなら、複数人で入れて、温度調節なども可能な酸素ルームを最初に入れたい」

そんな思いを抱いていた中、東京都内で行われていたホテル、レストラン向けの展示会でたまたま日本気圧バルク工業株式会社のブースに立ち寄り、酸素ルームを実際に体験。「狭い酸素カプセルとは異なり、広い酸素ルームは圧迫感などもなく、エアコンがあって室温の調整もできるので快適でした。なおかつ、外に出た後に視野が広がった感覚があり、身体が軽くなってスッキリした気分になれました」と下平代表は話す。

さらに、日本気圧バルク工業は酸素ルーム業界のパイオニアでもあり、部屋型タイプを〝酸素ルーム〟と名付けた企業でもあることを知り、「多くの著名な大学と共同研究もされており、確かなエビデンスをもとに製品を自社で製造・販売されている信頼性もあり、これだったら安心してお客様に使っていただけると思いました」と下平代表。

長野に戻って即座に導入を決め、展示会に訪れてからわずか2ヵ月後の2018年12月、高気圧酸素ルーム(幅150cm、高さ190cm、奥行き255cm)を設置した。菅平高原の施設で常設の酸素ルーム導入は初音館が最初となった。

展示会での体験からわずか2ヵ月後の2018年12月、スポーツハイム「初音館」に納品された日本気圧バルク工業の高気圧酸素ルーム(O2Room®)。幅150cm、高さ190cm、奥行き255cmで、大人でも6~8人が同時に入れる

広くてエアコンやテレビも完備している日本気圧バルク工業の高気圧酸素ルーム(O2Room®)は快適な環境であり、その点が、狭い酸素カプセルとの大きな違いだ

宿泊者以外も酸素ルームを活用、菅平高原に集うアスリートを支援

年が明けた2019年はワールドカップラグビー日本大会を秋に控え、菅平高原は外国のナショナルチームが直前合宿に訪れるなど例年以上に活況を呈し、初音館の高気圧酸素ルームはアスリートの身体のケアに大活躍。それまで酸素カプセルを持ち込んできたチームは手ぶらで来られるようになり、1人用の酸素カプセル設置スペースとあまり変わらないスペースに置かれた酸素ルームは6人~8人で同時に使用でき、効率性も快適性も断然向上した。

菅平高原はラグビー合宿のメッカとして1980年代に一気に注目された(左)。菅平高原には各種グラウンドが100面以上もあるが、天然芝グラウンド5面と全天候型陸上競技場(400m8レーン)を有する公共施設、菅平スポーツランド「サニアパーク菅平」が1999年に完成し、トレーニング環境は一段と充実した

2020年以降は新型コロナウイルスが蔓延した影響で施設自体があまり活用する機会に恵まれなかったが、2023年に入ってコロナウイルスが5類の扱いに移行されたこともあり、徐々に客足も回復。

「酸素ルームを導入したこともやっとPRできるようになり、口コミなどでも酸素ルームが設置してあることが広まり、宿泊者以外にも、大学のセミナーハウスや企業の保養所に泊まられているチームが使用されるなど、多くの方々に活用してもらっています」と下平代表も笑顔で話す。

下平代表はスキー学校で指導にあたり、自身もアスリートとして活動してきたものの、医師や治療師の国家資格を持つ身体のプロでもなければ、高地トレーニングに精通したコーチでもないため、酸素ルームに関しては「使い方はもちろん、時間設定、入るタイミング・頻度など、エビデンスをもとに日本気圧バルク工業の担当の方に一から丁寧にご指導いただきました」と振り返る。

「5年間、これまで一度も問題なく使わせてもらっています。他の施設への導入事例なども更新されるごとに確認させてもらっており、こちらの知識もバージョンアップしています」と、日々の安心・安全はもちろん、万全のサポート体制を含め、日本気圧バルク工業との信頼関係を深めている。

夏場はラグビー関係の宿泊が多い初音館。体力の限界までトレーニングをしている選手たちは、疲労回復のために高気圧酸素ルームを積極的に活用している。
「合宿期間中2~3日に1回、1グループ60分で入る時間を分けて使ってもらっています。使用者からは、(エアコンとテレビが設置されているため)快適に過ごせた、1時間がアッという間、疲れがとれた、リフレッシュできた、よく眠れるなどの感想が聞かれ、故障者からはケガの早期回復に役立つ、痛みが軽減したなどの声をいただいています」と下平代表。

スポーツハイム「初音館」も独自の天然芝グラウンド(左)と人工芝グラウンド(右)をそれぞれ1面ずつ保有。主にラグビーで使用しているが、時には長距離の強豪チームがランニングに利用することもあるという

1回60分を基本にしている高気圧酸素ルームの利用料は、1人で使用する場合は2500円、2人の場合は4000円(1人2000円)、3人の場合は4500円(1人1500円)、4人以上の場合は5000円と非常にリーズナブルな設定。宿泊者には一定の料金で〝入り放題〟にする場合もあるそうで、「少しでも選手たちの役に立ってほしい」という思い入れが強い。

和室31部屋、洋室1部屋のスポーツハイム「初音館」は最大230人が宿泊可能(左)宿泊者が一堂に食事ができる大広間

独自の酸素ルームを持つチームを除けば、普段から酸素ルームを利用する場合でも、その場所は限られ、時間にも制約がある。しかし、合宿期間中とはいえ、宿泊すれば、トレーニング後にすぐに利用できるなどメリットも大きい。

宿泊者の利用が最優先となるが、宿泊者以外にも酸素ルームの噂を聞き付け、酸素ルームのみの使用者も増えているそうで、「陸上では、大学の女子駅伝で活躍している大東文化大学が近くにある大学のセミナーハウスを拠点に合宿をしていましたが、『酸素ルームを使わせてほしい』と2日に1回は来られていましたし、酸素ルームがあるということで市民ランナーのグループの方々にもよく利用していただいています」と下平代表。

下平ファミリーを中心に運営されているスポーツハイム「初音館」。心温まるおもてなしが特徴の施設だ

普段から酸素ルームを活用するチームが増加しており、そうしたチームの選手にも「長期合宿中でも普段と変わらぬ環境が提供でき、厳しい合宿中でも酸素ルームを活用することで、疲労回復、コンディショニングにも役立てることができる。合宿などで初音館を使っていただいたチームが活躍してくれることが大きな喜びのひとつでもあります。そんなチームに貢献できる施設でありたい」と期待を寄せる。

酸素ルーム(高気圧酸素)は疲労回復やケガの治癒促進が期待され、医科学との融合が進み、エビデンスが公表されて活用事例が広まるなか、病院や治療院、実業団や大学のスポーツチームへの導入が加速している。それに伴い、今後は合宿地の公共施設をはじめ、初音館のように宿泊施設への導入が進むことが予測される。

「選手のために」をモットーに、合宿のメッカでも、その先駆者として初音館のチャレンジはこれからも続いていく。

信州菅平高原
スポーツハイム初音館
長野県上田市菅平高原 1227-3
TEL 0268-74-2628
ホームページ

※この記事は『月刊陸上競技』2024年1月号に掲載しています

文/花木 雫

ラグビーやサッカーをはじめ、陸上競技やスキーなど〝スポーツ合宿の聖地〟として知られる長野県上田市の菅平高原。昭和初期から国内屈指のスキー場として発展。戦後、広大な敷地と夏場の冷涼な気候を利用してラグビーの合宿地として広まって現在に至る。複数の芝グラウンドや全天候型陸上競技場もある菅平スポーツランド「サニアパーク菅平」、各宿泊施設が所有するものを含め100面以上のフルサイズの天然芝・人工芝グラウンドを有し、雨の少ない気候条件とも相まって、全国各地から多くの選手が集う。さらに標高1200~1500mの準高地に位置し、近年、クロカンやロードコースも整備され、高地トレーニングの場としても活用が進む。ここでは、2018年に日本気圧バルク工業の高気圧酸素ルームを同地で初めて常設し、合宿に訪れる選手のコンディショニングに役立てているスポーツハイム「初音館」(下平雅伸代表)の取り組みを紹介する。

先祖は開拓の先駆者、菅平高原に通年定住した第1号

1967年に日本ラグビーフットボール協会が初めて日本代表の合宿を実施したことを皮切りに、夏の合宿地としての開発が一気に進んだ長野県上田市の菅平高原。花の百名山として知られる根子岳(2207m)、日本百名山のひとつ四阿山(2354m)の山麓に広がる高原には、約30軒のホテルやペンションなどの宿泊施設をはじめ、大学や企業の保養所などが点在する。 そうしたなか、サッカーやラグビーはもちろん、アルティメット、ラクロスなどをフルサイズで使用可能な天然芝(110m×68m)および人工芝(110m×75m)のグラウンドを各1面ずつ備えた高原ホテルとして1985年にオープンしたのがスポーツハイム「初音館」。標高1250m、コンビニや飲食店が集まる高原の中心に位置し、32室・最大230人が宿泊可能な中規模施設として親しまれている。 オーナーである下平雅伸さん(53歳)の先祖は、江戸時代末期の1848年に菅平高原へ入植し、当地に通年で定住した第1号。高原を開拓して農業を営んでいたが、その後は民宿との兼業となった。昭和の時代になって民宿は冬のスキー客が主な対象になっていたが、夏のスポーツ合宿にも対応できるようリニューアルしたのが「初音館」だ。 このエリアは1998年の長野冬季オリンピック開催に合わせて開発が進み、1999年に天然芝グラウンド5面と第3種公認の全天候型陸上競技場(400m8レーン)を備えた菅平高原スポーツランド「サニアパーク菅平」が誕生。その後、各宿泊施設も独自にグラウンド開発に取り組み、現在では高原内に100面以上のグラウンドを有するまでに発展した。 さらに準高地の環境を活用し、1周約4~6㎞の周回ランニングコースやクロカンコースなどを整備。陸上の長距離選手が徐々に集まって走り込みをしたり、海外で本格的な高地トレーニングを行う前の〝高地順化〟として訪れる例も増えており、夏場はラグビーやサッカー、春と秋は陸上の長距離、冬はスキーと、季節ごとに異なるスポーツの合宿のメッカとして知られるようになった。 [caption id="attachment_121732" align="alignnone" width="800"] スポーツハイム「初音館」は菅平高原の中心地にある[/caption] 菅平高原までは、最寄り駅の北陸・長野新幹線上田駅からバスで約60分。東京から約2時間20分というアクセスの良さも魅力のひとつである。 「初音館でも独自のグラウンドを持っているので、夏は高校の花園常連チームなどラグビーを中心に、その前後は大学や実業団など陸上のチーム、最近では市民ランナーのグループなどにも活用していただいています」と下平代表。猛暑となった今年度の夏でも、夜はエアコンなしで過ごせる快適な気候を求めて多くの人々が同館を訪れた。 学生時代までは競技スキーに打ち込み、現在もスキーの指導員や検定員の資格を持ち、菅平高原スキー学校(全日本スキー連盟公認)の校長も務める下平代表。「菅平が東京都のスキー検定の会場となっていることもあり、中学・高校の合宿や宿泊研修としても活用していただいています」と冬は多くのスキー客で賑わいを見せる。 [caption id="attachment_122233" align="alignnone" width="800"] 夏は涼しく、スポーツ合宿に最適な菅平高原(左)。冬はスキーリゾートとして人気を集めている[/caption]

話題となっていた〝酸素〟に注目、菅平高原で初の酸素ルーム導入

プロ、アマを問わずスポーツに親しむ人々が宿泊者の中心となるスポーツハイム「初音館」。何か選手に役立つものはないかと思案しているなか、「サッカーワールドカップの際のベッカム選手(イングランド)のケガの治療や高校野球でのハンカチ王子の連投の際に〝酸素〟が有効だったという報道などを目にするようになったこと、ラグビーやサッカーはコンタクトスポーツでケガも多く、2010年頃からは、合宿の際に酸素カプセルを持ち込むチームが増え、少しずつ〝酸素〟に興味を持つようになりました」と、酸素ルーム導入のきっかけを振り返る。 [caption id="attachment_122223" align="alignnone" width="800"] 「選手のために」をモットーとして菅平高原の施設でいち早く酸素ルームを導入したスポーツハイム「初音館」の下平代表[/caption] 夏でも涼しい菅平高原だが、夏場の日中は気温が上がる。そうしたなか、午前と午後の練習の合間に酸素カプセルを使用している選手が、温度調節ができない酸素カプセルの中で暑がっているのを目の当たりにし、どうにかならないものかと考えていた際に出会ったのが酸素ルームの存在だった。 当時、どの宿泊施設でも、チームによる酸素カプセルの持ち込みが増えており、その導入に踏み切るところも見かけられたが、まだ菅平高原で酸素ルームを導入している施設はなかった。 「大学や実業団のチームが酸素ルームをトラックに載せて持ち込んでいるのを見て、どうせ入れるなら、複数人で入れて、温度調節なども可能な酸素ルームを最初に入れたい」 そんな思いを抱いていた中、東京都内で行われていたホテル、レストラン向けの展示会でたまたま日本気圧バルク工業株式会社のブースに立ち寄り、酸素ルームを実際に体験。「狭い酸素カプセルとは異なり、広い酸素ルームは圧迫感などもなく、エアコンがあって室温の調整もできるので快適でした。なおかつ、外に出た後に視野が広がった感覚があり、身体が軽くなってスッキリした気分になれました」と下平代表は話す。 さらに、日本気圧バルク工業は酸素ルーム業界のパイオニアでもあり、部屋型タイプを〝酸素ルーム〟と名付けた企業でもあることを知り、「多くの著名な大学と共同研究もされており、確かなエビデンスをもとに製品を自社で製造・販売されている信頼性もあり、これだったら安心してお客様に使っていただけると思いました」と下平代表。 長野に戻って即座に導入を決め、展示会に訪れてからわずか2ヵ月後の2018年12月、高気圧酸素ルーム(幅150cm、高さ190cm、奥行き255cm)を設置した。菅平高原の施設で常設の酸素ルーム導入は初音館が最初となった。 [caption id="attachment_121736" align="alignnone" width="800"] 展示会での体験からわずか2ヵ月後の2018年12月、スポーツハイム「初音館」に納品された日本気圧バルク工業の高気圧酸素ルーム(O2Room®)。幅150cm、高さ190cm、奥行き255cmで、大人でも6~8人が同時に入れる[/caption] [caption id="attachment_121738" align="alignnone" width="800"] 広くてエアコンやテレビも完備している日本気圧バルク工業の高気圧酸素ルーム(O2Room®)は快適な環境であり、その点が、狭い酸素カプセルとの大きな違いだ[/caption]

宿泊者以外も酸素ルームを活用、菅平高原に集うアスリートを支援

年が明けた2019年はワールドカップラグビー日本大会を秋に控え、菅平高原は外国のナショナルチームが直前合宿に訪れるなど例年以上に活況を呈し、初音館の高気圧酸素ルームはアスリートの身体のケアに大活躍。それまで酸素カプセルを持ち込んできたチームは手ぶらで来られるようになり、1人用の酸素カプセル設置スペースとあまり変わらないスペースに置かれた酸素ルームは6人~8人で同時に使用でき、効率性も快適性も断然向上した。 [caption id="attachment_122227" align="alignnone" width="800"] 菅平高原はラグビー合宿のメッカとして1980年代に一気に注目された(左)。菅平高原には各種グラウンドが100面以上もあるが、天然芝グラウンド5面と全天候型陸上競技場(400m8レーン)を有する公共施設、菅平スポーツランド「サニアパーク菅平」が1999年に完成し、トレーニング環境は一段と充実した[/caption] 2020年以降は新型コロナウイルスが蔓延した影響で施設自体があまり活用する機会に恵まれなかったが、2023年に入ってコロナウイルスが5類の扱いに移行されたこともあり、徐々に客足も回復。 「酸素ルームを導入したこともやっとPRできるようになり、口コミなどでも酸素ルームが設置してあることが広まり、宿泊者以外にも、大学のセミナーハウスや企業の保養所に泊まられているチームが使用されるなど、多くの方々に活用してもらっています」と下平代表も笑顔で話す。 下平代表はスキー学校で指導にあたり、自身もアスリートとして活動してきたものの、医師や治療師の国家資格を持つ身体のプロでもなければ、高地トレーニングに精通したコーチでもないため、酸素ルームに関しては「使い方はもちろん、時間設定、入るタイミング・頻度など、エビデンスをもとに日本気圧バルク工業の担当の方に一から丁寧にご指導いただきました」と振り返る。 「5年間、これまで一度も問題なく使わせてもらっています。他の施設への導入事例なども更新されるごとに確認させてもらっており、こちらの知識もバージョンアップしています」と、日々の安心・安全はもちろん、万全のサポート体制を含め、日本気圧バルク工業との信頼関係を深めている。 夏場はラグビー関係の宿泊が多い初音館。体力の限界までトレーニングをしている選手たちは、疲労回復のために高気圧酸素ルームを積極的に活用している。 「合宿期間中2~3日に1回、1グループ60分で入る時間を分けて使ってもらっています。使用者からは、(エアコンとテレビが設置されているため)快適に過ごせた、1時間がアッという間、疲れがとれた、リフレッシュできた、よく眠れるなどの感想が聞かれ、故障者からはケガの早期回復に役立つ、痛みが軽減したなどの声をいただいています」と下平代表。 [caption id="attachment_122225" align="alignnone" width="800"] スポーツハイム「初音館」も独自の天然芝グラウンド(左)と人工芝グラウンド(右)をそれぞれ1面ずつ保有。主にラグビーで使用しているが、時には長距離の強豪チームがランニングに利用することもあるという[/caption] 1回60分を基本にしている高気圧酸素ルームの利用料は、1人で使用する場合は2500円、2人の場合は4000円(1人2000円)、3人の場合は4500円(1人1500円)、4人以上の場合は5000円と非常にリーズナブルな設定。宿泊者には一定の料金で〝入り放題〟にする場合もあるそうで、「少しでも選手たちの役に立ってほしい」という思い入れが強い。 [caption id="attachment_122231" align="alignnone" width="800"] 和室31部屋、洋室1部屋のスポーツハイム「初音館」は最大230人が宿泊可能(左)宿泊者が一堂に食事ができる大広間[/caption] 独自の酸素ルームを持つチームを除けば、普段から酸素ルームを利用する場合でも、その場所は限られ、時間にも制約がある。しかし、合宿期間中とはいえ、宿泊すれば、トレーニング後にすぐに利用できるなどメリットも大きい。 宿泊者の利用が最優先となるが、宿泊者以外にも酸素ルームの噂を聞き付け、酸素ルームのみの使用者も増えているそうで、「陸上では、大学の女子駅伝で活躍している大東文化大学が近くにある大学のセミナーハウスを拠点に合宿をしていましたが、『酸素ルームを使わせてほしい』と2日に1回は来られていましたし、酸素ルームがあるということで市民ランナーのグループの方々にもよく利用していただいています」と下平代表。 [caption id="attachment_121768" align="alignnone" width="800"] 下平ファミリーを中心に運営されているスポーツハイム「初音館」。心温まるおもてなしが特徴の施設だ[/caption] 普段から酸素ルームを活用するチームが増加しており、そうしたチームの選手にも「長期合宿中でも普段と変わらぬ環境が提供でき、厳しい合宿中でも酸素ルームを活用することで、疲労回復、コンディショニングにも役立てることができる。合宿などで初音館を使っていただいたチームが活躍してくれることが大きな喜びのひとつでもあります。そんなチームに貢献できる施設でありたい」と期待を寄せる。 酸素ルーム(高気圧酸素)は疲労回復やケガの治癒促進が期待され、医科学との融合が進み、エビデンスが公表されて活用事例が広まるなか、病院や治療院、実業団や大学のスポーツチームへの導入が加速している。それに伴い、今後は合宿地の公共施設をはじめ、初音館のように宿泊施設への導入が進むことが予測される。 「選手のために」をモットーに、合宿のメッカでも、その先駆者として初音館のチャレンジはこれからも続いていく。 信州菅平高原 スポーツハイム初音館 長野県上田市菅平高原 1227-3 TEL 0268-74-2628 ホームページ ※この記事は『月刊陸上競技』2024年1月号に掲載しています 文/花木 雫

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