2023.11.30
学生長距離Close-upインタビュー
湯浅 仁 Yuasa Jin 中央大学4年
「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。35回目は、中大の湯浅仁(4年)をピックアップする。
2年時から2年連続で箱根駅伝9区を任され、区間3位、区間6位と好走。今季は関東インカレ1部ハーフマラソン2位(日本人トップ)と個人レースでも結果を残し、11月には10000mで28分12秒17と好タイムを残した。
最後の箱根駅伝を1ヵ月後に控えた11月下旬、駅伝主将として牽引するチームへの思い、これまでの競技生活の振り返りや今後について語ってもらった。
野球少年から箱根ランナーに
4年という歳月は人を大きく成長させる。11月22日のMARCH対抗戦で自己ベストの28分12秒17を叩き出したのが中大の駅伝主将・湯浅仁(4年)だ。
大学入学時の5000mベストは14分27秒02。藤原正和駅伝監督が「学生の模範となる選手。4年間で一番成長しました」と評価するほどの進化を遂げている。
湯浅はかつて野球少年だった。宮崎・木花中3年時に「助っ人」として駅伝に駆り出され、全国大会では1区26位という成績を収めている。
「走るのは嫌いだった」というが、宮崎日大高の藤井周一監督から熱心な勧誘を受けて、心が揺らいだ。「藤井先生の力になれればいいかな」と目指す舞台を「甲子園」から「都大路」に切り替えて、高校から本格的に競技を開始した。
宮崎日大高では2年時にチームの全国高校駅伝初出場に貢献。「藤井監督を京都に連れていけてうれしかった」と当時を振り返る。3年時も出場して7位入賞を果たしたものの、3区で区間31位と力を発揮できず「個人としては悔しい走りになりました」。
![](https://www.rikujyokyogi.co.jp/wp-content/uploads/2023/11/7d654835108bfc211853feb7c1afda8d.jpg)
2019年全国高校駅伝で宮崎日大は2度目の出場で7位入賞を達成した。前列中央が湯浅
高校卒業後は藤井監督の勧めで中大に進学。吉居大和、中野翔太ら同学年の強さに衝撃を受けたという。
「レベルが違いましたね。正直、4年間で追いつけないだろうなと思いました。彼らの競技力には本当に驚かされました」
それでも湯浅はコツコツと努力を積み重ねていく。1年時はチーム内でも下のグループで練習していたが、2年時の夏合宿を過ぎたあたりから、「変わってきたかな」という感覚があったという。
その年の箱根駅伝予選会(ハーフマラソン)ではチーム内6番手となる個人74位(1時間3分57秒)で走り、チームの主力として奮闘。11月のMARCH対抗戦で28分47秒81の自己新を出し、箱根駅伝では9区(23.1km)区間3位(1時間8分31秒)と10年ぶりシード権獲得に大きく貢献した。
翌年も9区を担い、区間6位で準優勝の一翼となった。
野球少年から箱根ランナーに
4年という歳月は人を大きく成長させる。11月22日のMARCH対抗戦で自己ベストの28分12秒17を叩き出したのが中大の駅伝主将・湯浅仁(4年)だ。 大学入学時の5000mベストは14分27秒02。藤原正和駅伝監督が「学生の模範となる選手。4年間で一番成長しました」と評価するほどの進化を遂げている。 湯浅はかつて野球少年だった。宮崎・木花中3年時に「助っ人」として駅伝に駆り出され、全国大会では1区26位という成績を収めている。 「走るのは嫌いだった」というが、宮崎日大高の藤井周一監督から熱心な勧誘を受けて、心が揺らいだ。「藤井先生の力になれればいいかな」と目指す舞台を「甲子園」から「都大路」に切り替えて、高校から本格的に競技を開始した。 宮崎日大高では2年時にチームの全国高校駅伝初出場に貢献。「藤井監督を京都に連れていけてうれしかった」と当時を振り返る。3年時も出場して7位入賞を果たしたものの、3区で区間31位と力を発揮できず「個人としては悔しい走りになりました」。 [caption id="attachment_121460" align="alignnone" width="800"]![](https://www.rikujyokyogi.co.jp/wp-content/uploads/2023/11/7d654835108bfc211853feb7c1afda8d.jpg)
名門・中大の駅伝主将として牽引
そして今季は駅伝主将としてチームを牽引。「主将として言葉に説得力がないといけません。そのためには結果を残して、取り組む姿勢を見せていきたい」との言葉どおり、レースではクレバーな走りが光っている。 5月の関東インカレは1部ハーフマラソンで2位に入り、日本人トップに輝いた。出雲駅伝は6区で区間2位。9位から7位に順位を押し上げた。 そして全日本大学駅伝はエースが集結した7区を快走する。國學院大・平林清澄(3年)と大激戦を演じて、最後は先着。区間賞を獲得した平林と5秒差の区間2位だった。 「出雲はアンカーでしっかりと結果を残せました。全日本は(37秒前にスタートした)青学大との差を詰めたかったので、後ろから来た平林君を利用するようなかたちで、前を追いかけたんです。最後は8秒差まで詰め寄ることができました。冷静な判断ができて、イメージ通りの走りができたと思います」 [caption id="attachment_121461" align="alignnone" width="800"]![](https://www.rikujyokyogi.co.jp/wp-content/uploads/2023/11/0642a531bbe8b0921ca0192d86f3faaf.jpg)
最後の箱根路へ「任された区間で求められた仕事をするだけ」
中大は今年の箱根駅伝で2区、3区と連続区間賞を獲得した吉居大和と中野翔太(ともに4年)、5000mで現役日本人学生トップの13分22秒01を持つ吉居駿恭(2年)らを擁している。 総合優勝を狙うために、エースが集う2区は誰が走るべきなのか? という問いに湯浅はこう答えた。 「2区は大和がベストじゃないでしょうか。前回あれだけの結果を残しているので、大和が万全な状態なら往路で流れをつかめると思っています」 ロードの強さには定評があった湯浅だが、MARCH対抗戦の10000mで自己ベストを20秒以上も短縮。スピードも身に着けて、最後の箱根に臨むことになる。 「区間に強いこだわりはありません」と言うが、他大学のエースと勝負したいという気持ちも持っているようで、「2区を任されたら1時間7分を切らないと優勝は見えてきません。9区なら区間記録(1時間7分15秒)の更新、最低でも1時間7分30秒切りは目標にしたいです」とも言う。ただ、最後には「任された区間で求められた仕事をするだけです」と締めくくった。 総合優勝を勝ち取るには、出雲と全日本を完勝した最強王者・駒大を倒さないといけないが、「箱根駅伝は10人が20㎞以上走るので、どこかに隙が生まれます。駒大といえども、出雲、全日本のような完璧なレース展開に持っていくのは簡単ではない」と考えている。 「1区は区間賞、もしくは先頭が見える位置でつなぎ、2区のエースが決定打を打って、3区、4区は逃げ切る。山は自信があるので、往路をトップで折り返したい。そうすれば可能性が見えてくるかなと思います」 入学してから、「第100回大会で優勝しよう!」と仲間たちと声を合わせてきた。 「2日間、全力で勝ちにいきたい」 大学入学時はチーム最後尾だった男がキャプテンとして名門・中大を引っ張り、箱根駅伝で28年ぶりの栄光をもたらすつもりだ。 [caption id="attachment_121462" align="alignnone" width="906"]![](https://www.rikujyokyogi.co.jp/wp-content/uploads/2023/11/dc8b30d4a06907011323e1fd45032e8a.png)
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2024.07.27
混合競歩代表の川野将虎「自分らしい粘り強い歩きで上位を目指したい」/パリ五輪
-
2024.07.27
-
2024.07.26
-
2024.07.25
-
2024.07.25
2024.07.24
やり投・北口榛花がオメガのアンバサダーに就任!パリ代表の阿部兄妹、早田ひなら6人
-
2024.07.20
-
2024.07.02
-
2024.07.24
-
2024.06.28
-
2024.06.29
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.07.27
中大ルーキー・岡田開成が3000m7分55秒41! U20歴代4位の好タイム
7月26日、中大多摩キャンパス競技場で「Summer Night Run Festival in CHUO」が行われ、男子3000mで岡田開成(中大1)が7分55秒41とU20歴代4位のタイムをマークした。 同大会はこれ […]
2024.07.26
実業団 VS 大学生! 日本一を決める駅伝大会「EXPO EKIDEN 2025」の出場チーム要件決定
7月26日、朝日放送グループホールディングスは大阪・関西万博開催を記念して実業団と大学生のトップチームがタスキをつなぐ駅伝「大阪・関西万博開催記念 ACN EXPO EKIDEN 2025」の大会概要を発表した。 この大 […]
Latest Issue
最新号
![2024年8月号 (7月12日発売)](https://www.rikujyokyogi.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/202408cover.jpg)
2024年8月号 (7月12日発売)
W別冊付録
パリ五輪観戦ガイド&福岡インターハイ完全ガイド