HOME ニュース、国内

2022.04.30

ライバル不在の100mに圧勝の小池祐貴 新たなレーススタイルに手応え十分/織田記念
ライバル不在の100mに圧勝の小池祐貴 新たなレーススタイルに手応え十分/織田記念


織田記念の男子100mは桐生祥秀(日本生命)が前日に欠場を発表。多田修平(住友電工)はA決勝に進めず、ライバル不在というなかで小池祐貴(住友電工)が存在感を発揮した。

雨天となった予選は2組を10秒42(+0.3)で悠々とトップ通過すると、A決勝は中盤で抜け出す。終盤はスピードを緩めながらも10秒49(-3.3)で圧勝した。2位は東田旺洋(栃木県スポ協)で10秒54、3位は伊藤孝太郎(東京ガスエコモ)で10秒57だった。

「やっぱり風が強かったですね。押されながらのレースになったんですけど、最後まであまり力まないように、自分のリズムで走り終えた感じです」

広告の下にコンテンツが続きます

予選は「ケガだけはしないように」と慎重に駆け抜けた小池。決勝は強風にタイムを阻まれたが、気象条件に恵まれていれば、「オレゴン世界選手権の参加標準記録(10秒05)を狙おうかな」という気持ちになるほどギアを上げていた。

今季は米国でシーズンインを迎えて、4月18日のスタンフォード招待100mは予選で10秒21(+2.0)、決勝は10秒31(+0.6)。翌日の200mは20秒87(+0.3)だった。織田記念でタイムの上乗せはできなかったが、手応えを十分につかんだようだ。

「風が強すぎてちょっと気持ち悪いレースになったけど、仮に追い風だったとしたら、かなりいい感覚で80~90点ぐらいは出せていたんじゃないでしょうか。最後はちょっと肉離れが危ないと思ったので、少し流すようなかたちになったのがマイナス20点ぐらいです」

これまでスタートブロックの足を前後逆にしたり、歩幅や歩数を調整するなど、さまざまなことを試してきたという。そのなかでレースの流れはしっかりと固めてきた。

「最大速度の部分を意識してきたんです。スタートのピッチが上がりすぎると、中盤のトップスピードが下がる傾向があったので、前半のピッチをできるだけ抑えて、中盤以降にトップスピードが達するようなレースを心掛けました。前半は特に気にせず、顔を上げてから全力で走ろうと思って、その通りのレースができましたね」

昨季は50m以降にスピードが上がらなかったというが、今季は世界トップクラスのスプリンターと同じスピード曲線を目指している。

「トップスピードの高さが僕にとって一番大事。その出現区間を40~50mではなく、60~70mまで引っ張っていきたい。データ的には間違いなくその方がいいので、この冬はその方向でやってきました。自分の型みたいなものが決まってきたので、今後は好条件が来るのを待っていこうかなと思っています」

今季は個人種目でオレゴン世界選手権の「ファイナル」を目指すという小池。日本選手権は100mと200mに出場予定で、両種目で出場権を勝ち取り、オレゴンでは状態を見極めながら種目を絞って世界に切り込んでいきたい考えだ。次戦は5月3日の静岡国際。「自分の走りをして勝つことが大事だと思っています」という小池が200mでどんな走りを見せるのか。

文/酒井政人

織田記念の男子100mは桐生祥秀(日本生命)が前日に欠場を発表。多田修平(住友電工)はA決勝に進めず、ライバル不在というなかで小池祐貴(住友電工)が存在感を発揮した。 雨天となった予選は2組を10秒42(+0.3)で悠々とトップ通過すると、A決勝は中盤で抜け出す。終盤はスピードを緩めながらも10秒49(-3.3)で圧勝した。2位は東田旺洋(栃木県スポ協)で10秒54、3位は伊藤孝太郎(東京ガスエコモ)で10秒57だった。 「やっぱり風が強かったですね。押されながらのレースになったんですけど、最後まであまり力まないように、自分のリズムで走り終えた感じです」 予選は「ケガだけはしないように」と慎重に駆け抜けた小池。決勝は強風にタイムを阻まれたが、気象条件に恵まれていれば、「オレゴン世界選手権の参加標準記録(10秒05)を狙おうかな」という気持ちになるほどギアを上げていた。 今季は米国でシーズンインを迎えて、4月18日のスタンフォード招待100mは予選で10秒21(+2.0)、決勝は10秒31(+0.6)。翌日の200mは20秒87(+0.3)だった。織田記念でタイムの上乗せはできなかったが、手応えを十分につかんだようだ。 「風が強すぎてちょっと気持ち悪いレースになったけど、仮に追い風だったとしたら、かなりいい感覚で80~90点ぐらいは出せていたんじゃないでしょうか。最後はちょっと肉離れが危ないと思ったので、少し流すようなかたちになったのがマイナス20点ぐらいです」 これまでスタートブロックの足を前後逆にしたり、歩幅や歩数を調整するなど、さまざまなことを試してきたという。そのなかでレースの流れはしっかりと固めてきた。 「最大速度の部分を意識してきたんです。スタートのピッチが上がりすぎると、中盤のトップスピードが下がる傾向があったので、前半のピッチをできるだけ抑えて、中盤以降にトップスピードが達するようなレースを心掛けました。前半は特に気にせず、顔を上げてから全力で走ろうと思って、その通りのレースができましたね」 昨季は50m以降にスピードが上がらなかったというが、今季は世界トップクラスのスプリンターと同じスピード曲線を目指している。 「トップスピードの高さが僕にとって一番大事。その出現区間を40~50mではなく、60~70mまで引っ張っていきたい。データ的には間違いなくその方がいいので、この冬はその方向でやってきました。自分の型みたいなものが決まってきたので、今後は好条件が来るのを待っていこうかなと思っています」 今季は個人種目でオレゴン世界選手権の「ファイナル」を目指すという小池。日本選手権は100mと200mに出場予定で、両種目で出場権を勝ち取り、オレゴンでは状態を見極めながら種目を絞って世界に切り込んでいきたい考えだ。次戦は5月3日の静岡国際。「自分の走りをして勝つことが大事だと思っています」という小池が200mでどんな走りを見せるのか。 文/酒井政人

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.05

全国高校駅伝都道府県代表出そろう 前年V佐久長聖&長野東など 最速は男女とも仙台育英 6日から地区大会順次開幕

全国高校駅伝の出場権を懸けた都道府県高校駅伝が11月4日の埼玉をもってすべて終了し、都道府県代表がすべて出そろった。 昨年の全国大会は男子が佐久長聖、女子は長野東といずれも長野勢が優勝を遂げた。全国2連覇中の佐久長聖は県 […]

NEWS 神戸マラソンの招待選手発表 荒生実慧、平田幸四郎らがエントリー 21年パリ優勝のロティッチも参戦

2025.11.05

神戸マラソンの招待選手発表 荒生実慧、平田幸四郎らがエントリー 21年パリ優勝のロティッチも参戦

11月5日、神戸マラソンの主催者は16日に開催される神戸マラソン2025の招待選手を発表した。 国内からは、8月末のシドニーで2時間7分42秒の6位に入った荒生実慧(NDソフト)がエントリー。前回大会で日本人トップの4位 […]

NEWS 日本陸連と広島テレビ放送が 「スポーツを通じて誰もが自分らしく活躍できる社会づくりに関する連携協力協定」を締結

2025.11.05

日本陸連と広島テレビ放送が 「スポーツを通じて誰もが自分らしく活躍できる社会づくりに関する連携協力協定」を締結

11月5日、日本陸連は広島テレビ放送株式会と「スポーツを通じて誰もが自分らしく活躍できる社会づくりに関する連携協力協定」を結んだことを発表した。陸上競技を通じて人と人をつなぎ、すべての人が心身ともに健やかで、自分らしく生 […]

NEWS 仙台国際ハーフの来年大会の日程が決定 国内レースによる「ジャパンプレミアハーフシリーズ」

2025.11.05

仙台国際ハーフの来年大会の日程が決定 国内レースによる「ジャパンプレミアハーフシリーズ」

仙台国際ハーフマラソン大会実行委員会は、2026年大会の日程が5月10日に決まったと発表した。定員は10,000人とし、エントリーは11月18日から順次開始される。 国内主要ハーフマラソン6大会が連携する「ジャパンプレミ […]

NEWS 「アスリート・オブ・ザ・イヤー」最終候補にデュプランティス、ライルズら12人!

2025.11.05

「アスリート・オブ・ザ・イヤー」最終候補にデュプランティス、ライルズら12人!

世界陸連(WA)はワールド・アスレティクス・アワード2025「ワールド・アスリート・オブ・ザ・イヤー」の最終候補者を発表した。 トラック、フィールド、競技場外種目の各部門で、10月に発表された候補者の中から男女2選手ずつ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top