2022.03.15
3月13日の日本学生ハーフマラソン選手権(次号掲載)を終え、いよいよ学生長距離も新年度の幕開けが迫ってきた。先月号では「追跡 箱根駅伝」として箱根路で活躍した選手を取り上げたが、今月号では新年度の主役候補として、箱根王者・青学大の新4年生コンビ、岸本大紀と近藤幸太郎のスペシャル対談が実現した。
「最強世代」とも呼び声高い学年を牽引する2人。学生最終シーズンを迎える前に、この1年間の振り返り、箱根駅伝の裏話、今年度の目標などをテーマに語り合った。
構成/田中 葵
大躍進の近藤、復活の岸本
――まずは昨年のトラックシーズンをそれぞれ振り返っていただきます。近藤選手は5000mと10000mの青学大記録を更新し、9月の日本インカレで優勝するなど大活躍で
した。岸本選手もケガから1年ぶりにレース復帰しました。
近藤 昨年の箱根駅伝が終わって、最初のレースは日本選手権クロカン(13位)です。そこで強い実業団選手にラスト1周までついていくことができて、自分なりに力がついて
きたと自信になりました。そこから試合に出るたびに結果が出始めてきて、外さないレースを続けてこれましたか。それによって、今まで見たことない景色を見ることができ、自分が思っている以上の結果が出せたと思っています。
岸本 福岡クロカンは一緒に出てたけど、本当にすごいなと思ったよ。自分(44位)と中倉(啓敦、3年/ 77位)は全然ダメだったけど、走っている時に幸太郎が先頭を引っ張っているアナウンスが聞こえてきて、「今年の近藤幸太郎は違うな」と思ったよ。そこからは怒涛の勢いで、天と地の差というか、「手の届かないところへ行ってしまったな」という感じだったね。練習でも各自ジョグとかは幸太郎より走っている選手はいたけど、他で見えないところで努力していたし、それが試合の結果で違いを見せたかなと思ってたよ。
近藤 やっぱり3年間故障なしで走り続けてきたことが大きかったよ。岸本は今季も故障があって、その時は心配だったな。
岸本 それでも何もできなかった2年時と比べると良かったよね(※20年2月から1年間レース出場なし)。今季はケガをせずにやっていこうと思ったけど、3月くらいに股関節を痛めて、その後は一時的に復帰して自己ベストを更新した時期もあったけど、また繰り返してしまった。夏の2次合宿も左股間節に痛みがあったし、なかなかうまくいかない部分もあったけど、箱根だけは絶対走ろうとずっと決めていたから、それがモチベーションになったかな。
近藤 箱根に間に合って良かったよね。
岸本 うん、全日本大学駅伝後にも仙骨を疲労骨折したけど、無事に箱根に出走することもできたし、年間通してみれば、がんばったんじゃないかなと思う。幸太郎が力をつ
けてきてくれたことで、自分が無理してがんばらなくてもいいという安心もあったし、自分のことに集中できた1年だったな。
近藤 1年の時は岸本に頼りっぱなしで何もできなかったから、故障で苦しんでいる時はみんなでカバーしていこうという気持ちが世代で強かった。でも、岸本がいないと駅
伝で勝てないから、心配していた部分は大きかったよ。
――2人から見て、今季の同じ3年生世代の活躍ぶりはいかがですか。
近藤 横田(俊吾)、西久保(遼)ら新たに駅伝に絡んでくる選手も増えてきて、世代全員で強くなってきましたね。僕らの目標として「箱根で5人走ろう」と決めていたけど、1年間そこに向かって全員ががんばってくれたよね?
岸本 うん。中学時代から(同じ新潟県内の)ライバルだった横田が出雲駅伝を走ったことはうれしかったし、すごく刺激になったよ。
三大駅伝で存在感発揮
―― 次に学生駅伝を振り返っていただきます。まず出雲駅伝は2位でしたが、1区で近藤選手が学生駅伝初の区間賞を獲得しました。
近藤 高校時代から(学生駅伝の)1区を走りたくて、原(晋)監督に志願しました。結果は最低限の走りでしたが、区間賞を取ることができましたし、個人としては課題だ
ったラストスパートで勝てたのは収穫でした。チームとしては駅伝初出場の選手もいる中で非常に良い駅伝だったと思います。
岸本 出雲は寮の食堂で見ていたけど、本当に幸太郎は強いなと思ったし、区間賞の瞬間、食堂は大盛り上がりだったよ。チームが負けた悔しさもあったけど、苦手意識があ
るスピード駅伝での2位は大きな意義があったよね。
この続きは2022年3月14日発売の『月刊陸上競技4月号』をご覧ください。
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3月13日の日本学生ハーフマラソン選手権(次号掲載)を終え、いよいよ学生長距離も新年度の幕開けが迫ってきた。先月号では「追跡 箱根駅伝」として箱根路で活躍した選手を取り上げたが、今月号では新年度の主役候補として、箱根王者・青学大の新4年生コンビ、岸本大紀と近藤幸太郎のスペシャル対談が実現した。
「最強世代」とも呼び声高い学年を牽引する2人。学生最終シーズンを迎える前に、この1年間の振り返り、箱根駅伝の裏話、今年度の目標などをテーマに語り合った。
構成/田中 葵
大躍進の近藤、復活の岸本
――まずは昨年のトラックシーズンをそれぞれ振り返っていただきます。近藤選手は5000mと10000mの青学大記録を更新し、9月の日本インカレで優勝するなど大活躍で した。岸本選手もケガから1年ぶりにレース復帰しました。 近藤 昨年の箱根駅伝が終わって、最初のレースは日本選手権クロカン(13位)です。そこで強い実業団選手にラスト1周までついていくことができて、自分なりに力がついて きたと自信になりました。そこから試合に出るたびに結果が出始めてきて、外さないレースを続けてこれましたか。それによって、今まで見たことない景色を見ることができ、自分が思っている以上の結果が出せたと思っています。 岸本 福岡クロカンは一緒に出てたけど、本当にすごいなと思ったよ。自分(44位)と中倉(啓敦、3年/ 77位)は全然ダメだったけど、走っている時に幸太郎が先頭を引っ張っているアナウンスが聞こえてきて、「今年の近藤幸太郎は違うな」と思ったよ。そこからは怒涛の勢いで、天と地の差というか、「手の届かないところへ行ってしまったな」という感じだったね。練習でも各自ジョグとかは幸太郎より走っている選手はいたけど、他で見えないところで努力していたし、それが試合の結果で違いを見せたかなと思ってたよ。 近藤 やっぱり3年間故障なしで走り続けてきたことが大きかったよ。岸本は今季も故障があって、その時は心配だったな。 岸本 それでも何もできなかった2年時と比べると良かったよね(※20年2月から1年間レース出場なし)。今季はケガをせずにやっていこうと思ったけど、3月くらいに股関節を痛めて、その後は一時的に復帰して自己ベストを更新した時期もあったけど、また繰り返してしまった。夏の2次合宿も左股間節に痛みがあったし、なかなかうまくいかない部分もあったけど、箱根だけは絶対走ろうとずっと決めていたから、それがモチベーションになったかな。 近藤 箱根に間に合って良かったよね。 岸本 うん、全日本大学駅伝後にも仙骨を疲労骨折したけど、無事に箱根に出走することもできたし、年間通してみれば、がんばったんじゃないかなと思う。幸太郎が力をつ けてきてくれたことで、自分が無理してがんばらなくてもいいという安心もあったし、自分のことに集中できた1年だったな。 近藤 1年の時は岸本に頼りっぱなしで何もできなかったから、故障で苦しんでいる時はみんなでカバーしていこうという気持ちが世代で強かった。でも、岸本がいないと駅 伝で勝てないから、心配していた部分は大きかったよ。 ――2人から見て、今季の同じ3年生世代の活躍ぶりはいかがですか。 近藤 横田(俊吾)、西久保(遼)ら新たに駅伝に絡んでくる選手も増えてきて、世代全員で強くなってきましたね。僕らの目標として「箱根で5人走ろう」と決めていたけど、1年間そこに向かって全員ががんばってくれたよね? 岸本 うん。中学時代から(同じ新潟県内の)ライバルだった横田が出雲駅伝を走ったことはうれしかったし、すごく刺激になったよ。
入学直後の2019年4月に学年そろって撮影したひとコマ
三大駅伝で存在感発揮
―― 次に学生駅伝を振り返っていただきます。まず出雲駅伝は2位でしたが、1区で近藤選手が学生駅伝初の区間賞を獲得しました。 近藤 高校時代から(学生駅伝の)1区を走りたくて、原(晋)監督に志願しました。結果は最低限の走りでしたが、区間賞を取ることができましたし、個人としては課題だ ったラストスパートで勝てたのは収穫でした。チームとしては駅伝初出場の選手もいる中で非常に良い駅伝だったと思います。 岸本 出雲は寮の食堂で見ていたけど、本当に幸太郎は強いなと思ったし、区間賞の瞬間、食堂は大盛り上がりだったよ。チームが負けた悔しさもあったけど、苦手意識があ るスピード駅伝での2位は大きな意義があったよね。 この続きは2022年3月14日発売の『月刊陸上競技4月号』をご覧ください。RECOMMENDED おすすめの記事
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