4月29日の織田記念、男子110mハードルで日本記録を樹立した金井大旺(ミズノ)がリモートでの合同インタビューに応じた。
一夜明けて、「睡眠不足です」と苦笑いする金井。改めて前日のパフォーマンスに「思った以上ににタイムが出てビックリしています」と振り返る。家族や友人からも祝福のメッセージが届き、「思っている以上に応援していただいている」と実感。織田記念では「13秒32の東京五輪の参加標準記録を目指していた」というだけに、この記録で「オリンピックの決勝進出を目標にやってきたので、準決勝でどう走ればいいか明確にイメージできた」と大きな収穫を得た。
2018年の日本選手権で13秒36の日本新を樹立。その時は「福井スポーツ協会」所属だった。現所属のミズノには、これまで多くのトップアスリートが在籍。ハードルでも元日本記録保持者の谷川聡や内藤真人らがおり、「偉大な先輩たちに続きたいと思ってやってきました」と『レジェンド』の仲間入りを喜んだ。
レースについては「2、3台目までで安定していなかった」とう骨盤からの重心移動も上方向へ浮かずに「前に進められたのでタイムが落ちなかった」と振り返りつつ、「まだ完全に出し切った感じはない」と金井。「次はコンスタントに出せるようにしたい」とし、「オーバースピードで刻めるようにしていきたい」と次を見据えている。
東京五輪の参加標準記録を突破し、6月の日本選手権で3位以内に入れば五輪代表に内定する。「中学くらいの時に父の姿を見て歯科医になりたいと直感的に思った」という金井にとって、初の五輪が「最後」と決めている。今シーズンを最後に医学の道へ進むと覚悟を持ち続けており、「冬の段階から毎日、最後だと感じながらやってきました」。厳しい冬季、沖縄合宿、そして試合と、日を追うごとに最後だという「寂しさ」を感じつつ、「その寂しさをモチベーションにできている」と金井は語る。
5月9日の国立競技場でのテストイベントは出場予定だが、その後は試合をある程度選別しつつ「日本選手権とオリンピックにピークを持って行けるように強化期間を作って臨んでいきたい。オリンピックの準決勝で一番ピークがくるように」と具体的なプランを描く。精密機械のような美しく力強い金井大旺のハードルが見られるのはあと何回だろうか――。日本スプリントハードル史に残る稀代アスリートの走りを、しっかりと記憶にとどめておきたい。

|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.06.16
競歩・山西利和が愛知県スポーツ功労賞を受賞!20km競歩世界記録樹立が評価
-
2025.06.11
2025.05.28
女子10000mがレース途中で異例の中断!! 大雨と雷の影響も選手困惑/アジア選手権
-
2025.06.04
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.06.16
競歩・山西利和が愛知県スポーツ功労賞を受賞!20km競歩世界記録樹立が評価
愛知県スポーツ顕彰授与式が6月16日に行われ、男子競歩の山西利和(愛知製鋼)がスポーツ功労賞を受賞した。 同賞は愛知県出身、もしくは県内を拠点としている選手に贈られるもので、2月の日本選手権20km競歩で1時間16分10 […]
2025.06.16
砲丸投・大垣尊良ビッグショットなるか 女子短距離は山崎心愛に注目 男子中長距離は吉田星が軸/IH北海道
広島インターハイ(7月25日~29日)を懸けた地区大会が6月に各地で開催される。 インターハイ北海道地区大会は6月17日から20日まで、旭川花咲スポーツ公園陸上競技場で行われる。 広告の下にコンテンツが続きます 昨年、男 […]
2025.06.16
100mH・石原南菜が13秒33!地元で高校歴代2位・U18日本新・高2歴代最高の激走/IH北関東
◇インターハイ北関東地区大会(6月13~16日/カンセキスタジアムとちぎ、栃木県総合運動公園多目的広場投てき場)最終日 広島インターハイ出場を懸けた北関東地区大会の最終日の4日目が行われ、女子100mハードルで石原南菜( […]
Latest Issue
最新号

2025年7月号 (6月13日発売)
詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会